産屋敷家最大の功績

自己解釈・妄想録

【鬼滅の刃】において、敵である鬼を殲滅する為に鬼殺隊の屋台骨として在った”産屋敷家”は、鬼舞辻無惨が”鬼の始祖”として発生した直後から「鬼の滅殺」に尽力していました。無惨が発生したのが平安時代とされているので、作中の大正時代から逆算すると実に千年間も尽力したことになりますね。

 当然ながら、千年間も同じ活動をしているならば作中に描かれずとも様々な策を巡らせてきたことでしょう(実行できたかは置いておいて)。それは作中の産屋敷家当主である「産屋敷耀哉」が様々な策を巡らせていたことからも分かります。

 今回は作中で描かれた産屋敷家の行動の内、個人的に最も大きいと感じた動きを語っていきたいと思います。

 因みに筆者は【鬼滅の刃】の原作は未読で、アニメも第1期に当たる「立志編」までしか視聴していません。ですが、鬼滅の刃のSS二次小説に嵌って色々と情報を漁っている最中ですので、間違っているところは重点的に指摘して頂けるとありがたいです。

※…鬼殺隊の屋台骨である産屋敷家の行動に関して言及するので、【鬼滅の刃】の物語の展開に関して一部ふれている部分もあります。


産屋敷家のおさらい

 本題の前にまず、産屋敷家の概要を簡単におさらいしていきます。

鬼殺隊の屋台骨

 作中において産屋敷家は「鬼殺隊の屋台骨」の立ち位置に当り、当主が代々鬼殺隊の最高責任者に着任します。

 担っている業務は以下となります。(間違ってる、あるいは不足している箇所は教えてください)

  1. 鬼殺隊への出資
  2. 鬼殺隊の情報管理
    1. 鬼の調査情報整理
    2. 隊士およびかくしへの情報伝達(隊士は鎹鴉による伝達)
    3. 隊士の実績、あるいは罰則等の行動把握(鎹鴉による監視)
    4. 隊士およびかくしの個人情報管理
    5. 関連施設(刀鍛冶の里等)の隠匿
  3. 各行事(入隊試験等)の主催
  4. 被害者の保護
  5. 人材の勧誘

 以上のように、事務処理はほぼ全てが産屋敷家によって取り仕切られています。まあつまりは、鬼殺隊の運営は完全に産屋敷家が握っているわけですね。

 また、1から分かる通り鬼殺隊の運営費も産屋敷家が全負担しているので、言ってしまえば鬼殺隊の社長でありながらオーナーでもあるということになります。そのため、大きな組織改革も自由に行うことが出来ます。

 例えば、鬼殺隊は政府非公認の軍事組織です。普通ならば、鬼殺隊士は銃刀法違反に当たりますし、鬼が神出鬼没であり捜査の手を全国に広げなければならないため、国家からの援助が無ければ成り立ちません。しかし、産屋敷家が日本の超大物資産家として名を馳せているために完全な非政府組織として成立しています。

元貴族?の資産家

 前述したように、産屋敷家は日本国内における超大物資産家として名を馳せ、私財で鬼殺隊を維持しています。これは産屋敷家に代々受け継がれる「先見の明」によるもので、その未来視にも似た力によって財力を膨らませていたようです。それにより、千年間も呪われた短命の一族である産屋敷家を存続させ、幾度もの鬼殺隊壊滅を乗り越えてきました。

 また、産屋敷家は元から貴族の地位にあったようで、国家への影響力が垣間見れます。

 例えば、作中の岩柱である悲鳴嶼行冥が死刑囚として逮捕された際、無実を証明した上で釈放させています。真実は冤罪だったとはいえ、”鬼”という公的には存在しない者が犯した罪(それも死刑に相当する罰が課されるレベル)を被せられた悲鳴嶼を、年を越さないほどの短期間で釈放させているのはさすがに資産家というだけで語れるほどの発言力ではありません。

 当時の司法がどうなっていたのかは分かりませんが、死刑宣告に対して”即座に”異議を挟み、そして”即座に”裁判官まで意見を届かせるというのは民間人では無理があるように思います。国家権力との繋がりを示唆しても深読みとは言えないでしょう。

 また、鬼殺隊のオーナーであるため内部改革を自由に行うことが出来ます。例えば作中400年前に鬼殺隊の中核を担っていた継国巌勝が起こした事件を境に、鬼殺隊の内部構造は大きく転換しました。

 産屋敷家の所在や刀鍛冶の里のような重要施設は鬼殺隊隊士からも隠匿され、そこまでの移動は新設された隠が担うことになりました。そんな組織改革を六歳の子供が当主の時に行えるのが凄いですね。若いからこそというのもあるのかもしれませんが。

 以上より、産屋敷家は「鬼の殲滅」において最も大きな働きをしており、代えの効かない最重ファクターとなっています。

産屋敷家最大の功績

 先述したように、鬼殺隊の屋台骨でありオーナーである産屋敷家は鬼殺隊の組織運営を自由に行えます。その中で「鬼を絶滅させる」という最優先事項を果たすために、個人的に最も大きな動きと考えているのが「政府からの隔離」です。

鬼殺隊の隔離状況

 先述で少しだけ触れましたが鬼殺隊は非政府組織であり、組織内部に政府の手は一切入り込んでいません。外部での産屋敷家と国家権力の繋がりを描写すれども、鬼殺隊にその影響は波及していないのです。

 だからこそ警察などの治安維持組織に見つからないようにしなければいけませんし、鬼の調査や医療などの裏方仕事も鬼殺隊で完結されています。

 これは鬼殺隊設立当初から一貫していた方針で、理由は詳しく語られていないようです。少しだけ「混乱を避ける」といったことを言及されていたと思います。メタ的な理由を挙げれば、物語をコンパクトにまとめる為の措置でしょう。組織が大きくなれば内部の問題が増えて、「人間VS鬼」の構図が崩れますから。

政府機関との提携

 この鬼殺隊のスタンスは、深読みが好きな読者界隈ではちょこちょこ否定的意見が多くなっています。理由は単純に「鬼殺隊が万年人手不足」だからです。鬼と人間の性能差、鬼が組織的でないが故の神出鬼没さ、無惨が血を与えれば簡単に増殖できる安価さなどなど、対応しなければならない範囲は多く一組織では手が回っていません。

 作中で詳細な情報は出ていませんが、命懸けの試験をクリアして入隊した隊士でも鬼との身体能力差や血鬼術の性能により簡単に敗北して鬼の餌となってしますし、鬼の最上位に位置する”十二鬼月”の”上弦”6体は鬼殺隊士の階級最上位である”柱”ですら打ち取った事例は遊郭編まで皆無です。

 鬼が神出鬼没であるが故に個体の情報が得られず、鬼殺隊が個の戦闘力を重視した軍隊であるが故に戦略はなく、育成機関が無いので隊士は実践以外で成長することがほぼありません。だからこそ、兵站や戦術、医療機関、鬼の調査、隊士候補のスカウト・育成などの現場以外の仕事を政府機関と提携することで組織としての強さの次元が変わります。

 確かに、海外との交流が急増した大正時代に「鬼の存在」を一般に公開できないのは分かります。変に動きを大きくすれば無惨に気取られて海外に逃げられたら最悪ですから。それで海外に鬼の被害でもでたら国際問題ですし、最悪「病源菌の撲滅」という名目で日本が火の海になりかねません。

 ですが、これは一般市民に知られないように非公認の秘密組織とすれば良いだけで、現場仕事以外を政府が負担すれば当時のジャーナリストでは市民に伝わるまで調査することなどできないでしょう。

 それでも産屋敷家は、鬼殺隊の存在を政府から隔離していました。

 それはなぜか。私は以下のように考えました。

「政府と連携したら鬼の始祖鬼舞辻無惨を滅ぼせても、鬼を絶滅させることは出来ないから」

政府との提携による致命的なリスク

 以上の考えを聞いた人は皆こう思うでしょう。

「いやいや、鬼舞辻無惨を滅ぼしたら鬼も絶滅するって設定だったじゃん」

と。

 もちろん覚えています。鬼は鬼舞辻無惨を始祖としており、鬼舞辻無惨が情報収集と隠蔽工作のために鬼と常時繋がっていることから、鬼舞辻無惨を滅ぼせば自動的に鬼は絶滅します。だからこそ鬼と鬼殺隊の戦いは鬼舞辻無惨を滅ぼした時点で終了します。

 ですが、私は読者に忘れないで欲しいと思っていることがあります。それは「鬼舞辻無惨は”鬼化する薬”によって鬼になった」という点です。それも千年前の平安時代の話です。

 つまり、作中では科学的に鬼を生産できるのです。実際に、無惨の側近で元医者であった珠世様は約200年(研究に着手した時期が不明な為200年未満)という時間を要しましたが、個人で「人間の鬼化」を成功させています。それも「少量の血が必要なだけで人肉を喰らう必要が無い状態」へと進歩させているのです。個人で出来た以上、政府が協力したら「鬼化」が出来ないと言う方が難しいでしょう。

 もちろん、珠世様が鬼化を成功させたのは愈史郎ただ一人であることは知っています。ですが、「一度出来たことは同じ過程、状態を再現すれば結果も再現される」のです。珠世様は解析対象が自分1人であり同意のある人間以外を被検体に出来なかったという縛りがあるので、それらを取り払えば鬼化の研究は50年も掛からないかもしれません。何にしろ、時間は大幅に短縮されるでしょう。

 そして、珠世様が鬼化させた愈史郎は無惨を滅ぼした後も生存し続けています。

 そのため政府と連携する場合、政府が鬼を兵器として生産する可能性を考慮しなければならないのです。

鬼の兵器化

 鬼の兵器化など考えにくいでしょうが、出来ないはずはないんですよね。だって無惨は出来てるわけですから、”血を介した呪い”の解析ぐらい時間を掛ければできるでしょう。

 また、”血を介した呪い”が無くても鬼の制御は可能です。例えば人肉を報酬にしたり、存在の隠匿を報酬にしたり。それに禰豆子にやったような「暗示」ではなく、「洗脳」してしまえばある程度の制御は効くはずです。

 「青い彼岸花」も政府機関が人海戦術で調査すればすぐに見つかるでしょう。

 彼岸花が見つかれば御の字、培養に成功すればさらに御の字。それが無くても、夜間しか行動出来ないという欠点を補って余りある有用性があります。

  1. 近接戦(日輪刀による斬首)以外で死なない
  2. 身体能力が異常
  3. 補給が不要(現地調達)
  4. 治療不要(敵が居る限り傷が無限回復)
  5. 証拠隠滅が不要(死んだら自動で消滅)

 さらに作中は大正時代、第一次世界大戦前後です。生物兵器の禁止条約が結ばれたのが第一次世界大戦後なので、「鬼の兵器化」は違反になりません。

 そうなれば政府が鬼の兵器化に手を出さない理由はありません。特に日清、日露戦争を経て海外との戦争機会が増えてきた以上、安価な自国の強化を模索しない方が怠惰とも言えるでしょう。

感染拡大

 そうなれば地獄の始まりです。なにせ、日本が鬼を戦争に投入してしまえば遅かれ早かれ海外にも技術が漏れるでしょうから。

 鬼は死ねば情報隠匿が出来ますが、鹵獲すれば情報収集は可能です。鹵獲は鬼殺隊という日本の一組織が出来ていた以上、国家が出来ないはずはありません。そして鹵獲されれば、海外でも鬼が生産されることが確定的です。

 それこそ、ヨーロッパみたいな戦争が日常茶飯事である火薬庫なら普及は秒速でしょう。列強なら植民地で実験といった大規模研究が出来そうですし。

 以上のように国家は清濁併せ吞む必要があり、産屋敷家や鬼殺隊のように潔癖ではいられませんので鬼の利用には歯止めが利かなくなります。そうなれば、産屋敷家は悲願である「鬼の絶滅」が不可能にです。

 だからこそ産屋敷家は鬼殺隊を政府から隔離したのだと考えられます。

 まとめると

「政府と連携すれば始祖は滅ぼせても鬼は滅ぼせないよね」

ということです。


 以上で「産屋敷家のファインプレー」解説は終わりです。

 個人的な視点での考察なので、他の方ならば別の考察が出来ると思います。なので誤字脱字報告とともにコメントでご指摘頂ければ嬉しいです。

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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