呪術とは

呪術廻戦(能力)

【呪術廻戦(原作:芥見下々)】における超常要素である”呪術”は、物語序盤において馴染みやすさを重視したためか単純で分かりやすい術式あるいはそんな効果の描写のみ登場していましたが、物語が進む度に読者の馴染みに合わせて複雑で奥深い条件(縛り)を出してきました。特に〔死滅回遊編〕が始まってからは分かりやすいですが奥深い、妄想しがいのある術式が多数出てきています。

 その仕組みは解釈次第で様々な術式の考察が飛び交うので、【HUNTER×HUNTER(原作:富樫義博)】の”念能力”と比較されることが多く、実際に念能力と比較して考えると理解しやすい人は多いと思います。

 今回はそんな解釈次第で様々な発展を遂げるであろう”呪術”を、考察を交えながら解説していきます。今後ますます面白複雑な術式が出てくると思うので、「本誌のみ購読している」という方は特に復習のために見ていってください。

※…物語のネタバレはアニメまでで抑えますが、漫画や週刊誌で既出の設定等は引用しています。極力分からないようにしますが、そこまではどうかご了承ください。

呪術

 呪術とは、”呪力”を燃料にして稼働する”術式”を指します。作中では「呪力=電気」、「術式=家電」に例えて説明されていますね。

アニメ呪術廻戦第6話「雨後」より引用

 電気(呪力)を家電(術式)に流す(出力)ことでW数(出力)に応じた機能を発揮します。もちろん呪力というエネルギーのみで扱うこともできますが、出来ることと言えば”基礎能力強化”ぐらいなので、便利さでは術式には勝てません。

 そして呪術を扱う者を”呪術師”、あるいは”呪詛師”と呼びます。因みに、両者の違いは「呪術を扱う目的」で、呪霊を祓う者が”呪術師”、呪術で人間を呪うのが”呪詛師”となります。

呪力

 術式を解説する前に、その力の原料である”呪力”を解説します。とはいっても呪力自体はそう難しいものではありません。

 呪力とは人の”負の感情”から捻出された魂の”マイナスのエネルギー”です。そのため恐怖や怒りが呪力の火種となり、強い感情を抱けばそれだけ高い出力になります。また、逆に言えば平常時は呪力を捻出しにくいということになるので、呪術を扱うということは「負の感情をコントロール」するということになります。

 僅かな火種感情、あるいは強い火種からでも自身が安定して扱える呪力出力を維持出来るように、訓練するのです。虎杖もやってましたね。

基礎呪術

 基礎呪術は呪力操作の応用です。身体能力強化や簡単な結界術、式神などの単純なものならば、人が意識的に操作できる範囲なので術式が無くても可能なようです。そのため、術式が無くとも呪術師になれます。

 身体能力強化の仕組みとして単純なものならば、呪力を「運動エネルギーに変換して打撃力を強化」、「武器の結合エネルギーに変換して頑丈にする」といった感じでしょう。

 また、結界術の代表は”帳”でしょうか。呪霊を祓うときに、その場を非術者の認識から隔離する結界で、隔離出入り条件の設定などが出来るようです。隔離の仕組みは、外向きベクトルの運動エネルギーに変換した呪力を障壁として展開すればいけますし、視覚効果なども光子を弾くほどの密度に呪力を圧縮すれば可能だと考えられます。性能は天元様の加護で後押しされているようですが。

 それ以外の詳しい条件付けは術式や呪具を使わないと出来ないでしょうが。

 また呪力操作の訓練していない場合、呪力は負の感情を抱いた時に無意識的に放出されるようで、放出された呪力は負の感情を抱いた原因となる場所に滞留するようです。

 例えばいじめられっ子だったら学校、ブラック企業のサラリーマンなら勤務先の会社に呪力が溜まっていきます。これは建物のような”人が正確に認識できる規模スケール“のみではなく、”海”や”森林”などの自然、”台風”や”火山(噴火)”などの災害のような「全体像の把握が困難な対象」にも呪力は溜まるようです。

呪霊

 そうやって溜まっていった呪力は澱重なって、次第に明確な形をとるようになります。それが”呪霊”です。人々に共通されている認識が多いほど呪霊となった時に多い呪力を溜めているので、より強い呪霊になります。つまり、「枠組みの境が認識しきれず、曖昧で規模スケールの大きい概念」ほど強い呪霊になるということです。

 呪力は負のエネルギーなので、生産性のある用途には使えません。そのため、呪力に依って発生した呪霊は絶対的に有害な存在となります。負の感情から生まれたことを考えれば当然ですね。

 また身体が呪力で構成されており、肉体が無いので光を反射した実像が映りません。これは、物理由来の存在ではないので、呪力が操作出来ない非術師は干渉出来ない為です。そのため、呪力を認識できない者には見えないということです。

 ですが呪霊が活発化した場合は別です。活発化した呪霊の呪力に曝された影響で、魂の防衛本能が発動し呪力を見ることが出来るようになるのでしょう。さらに危機的状況への恐怖により、自身の呪力出力が上がるのもあるのでしょう。

 生態?として、怨念に近い存在なので基本的に発生した場所に留まるようですが、等級の高い呪霊は自我を保有しているため好きに移動することが可能です。また、そうなると確固たる自己の魂を持っていることになるので、術式を保有している者も出てきます。中には言語を介するほど高度な知性を持つ者もいるようです。因みに、術式を保有する呪霊は”準一級”以上の等級になるそうです。

術式

 以上の解説から分かるかもしれませんが、魂由来の呪力を以って稼働する”術式”もまた起源的に魂由来の力になります。そのため、魂由来の存在である呪霊も術式を保有できます。

 ですが、真人曰く「魂と肉体は同じ形になる」とのことなので、肉体にも術式は刻まれているのでしょう。羂索は術師の死体に乗り移ることで肉体に刻まれた術式を使用できますし、五条先生も虎杖が術式を得られることについて「君の体には宿儺の術式が刻まれる」と言っています。さらに、夜蛾学長も肉体の情報に魂の情報があることを明言しています。

 まあ呪霊が術式を持っているので、術式の形式によって刻まれる部位が違うのでしょう。

 それこそ東道葵は「拍手」が条件なので、手に術式が刻まれているのでしょう。この”発動条件”が任意で設定できるのかで、話はまた変わってきますが。

アニメ呪術廻戦第20話「規格外」より引用

 術式は基本的に、各々が生まれながら体に刻まれている先天性の物になります。また、術式には親や祖父母から継いだ”相伝の術式”が存在するため、魂にも”遺伝子”は存在し遺伝という現象が起こることがわかります。そのため、親が非術師であっても隔世遺伝のように祖先の術式を保有していることがあるようです。

 また、相伝ではない新しい術式を獲得する場合もあるようです。これは術式の記録漏れではない限り、魂に記録された祖先の術式情報が足し引きされて、新しい術式が発生しているのでしょう。肉体の遺伝形式と同様に考えれば良いと思います。

 ですが、非術師が隔世遺伝で術式を獲得した場合、術式を獲得していても覚醒/起動させることが出来ない者もいるようです。

 例えば、吉野順平は元から術式を保有していましたが、真人に出会うまで呪いを視認すら出来ませんでした。ですが、真人の術式『無為転変』により脳の構造デザインを術師使用に調整チューニングされ、術式を覚醒させるに至っています。

アニメ呪術廻戦第12話「いつかの君へ」より

 この調整が何なのかを考察するには「何故術式を保有している(呪術方面の才能がある)のに、今まで呪いが見えなかったのか」を考えなければなりません。

 なぜ術式を持っていた場合でも、一般人には呪いが見えないのか。これは、脳が「呪力を見る」機能を忘れているためだと考えます。

 一般人は呪霊が活性化して「嫌でも目に入る」ようになれば呪いが見えますが、呪霊とは負の感情という「人が目を背けようとするもの」で形成されている為、呪いから目を逸らします。そのため、呪いを一度見たとしても自己防衛のためにすぐ見えなくなるのだと考えられます。

 対して、吉野順平には以下の点がありました。

  1. 術式を保有していた(呪術方面の才能があった)
  2. 普段から他人に負の感情呪力の元を向けられており、一般人よりも呪力に免疫があった
  3. 他人に対して強烈な負の感情呪力の元を向けていた
  4. 人が「目を背けたい」と思う事を見ようとする勇気があった
  5. 真人が呪術師を誘うために残穢を残していた

 1と5が最も重要でしょうが、それ以外も軽視はできません。普段から負の感情呪力の元と向き合ってきたからこそ、呪術を扱う為の最低限の土壌は揃っていたのです。

 以上を考えれば、術式を保有している非術師が術式を覚醒させられない理由は「呪いを認識するきっかけが無かった」からでしょう。知らなかったからこそ自身の力に気付けず、脳が術師使用に成長しなかった。

 要は「才能術式はあったが、才能を扱う適性センスを磨いてこなかった」ということです。才能とは違って、適正センスとは磨く物であって経験によって補完できますから。

 そのため、術式を自力で覚醒させるには「呪力を見慣れていること」が前提として必要なのだと考えられます。そして、真人は吉野順平に「気付き」を与えるだけでなく、魂を直接弄ることで呪いへの順応をショートカットしたのでしょう。

 なので呪いと向き合う為の時間があれば、真人が居なくとも術式を覚醒させられたのではないかとも考えました。真希?天与呪縛は例外。

非術師の術式獲得

 また、術式は先天性と言えど後天的に獲得することが不可能なわけではありません。それが「呪物を取り込んだ場合」です。

 呪物とは「呪霊を封印した物」ですが、それを取り込めば呪力が体に巡るので呪力を扱えるようになります。そして、取り込んだ呪霊が術式を保有していれば肉体に術式が刻まれていくようなので、術式を獲得することが出来ます。

 例えば虎杖悠仁です。虎杖は、元から”宿儺の指”を取り込めるほどに呪力への耐性魂の強度?がありましたが、そもそも才能術式が無かったので呪術師にはなれませんでした。ですが宿儺の指を取り込み、宿儺の呪力に馴染むことで呪力を扱えるようになりました。また、宿儺が虎杖の肉体で術式を行使することで術式が刻まれるのでしょう。まだ術式は刻まれていませんが。

 ですがこの場合だと、呪力という害悪的作用しか及ぼさない「負のエネルギーへの耐性」が必要です。簡単に言ってしまえば「呪力への免疫」です。あるいは「魂の強度」でしょう。

 免疫が無ければ呪力によって体調を崩したり、気分が悪くなったり、最悪生命に関わります。これは呪力が負の感情を火種にしているので、「精神的に病んだ状態」を想像すれば分かりやすいと思います。

 しかし、魂の強度が高ければ負の感情が肉体に害となることはありません。そのため「呪力への免疫」が必要なのです。「毒を以て毒を制す」が呪術師ですからね。

 それが無ければ「呪霊に身体を乗っ取られる(受肉)」、「肉体を維持する為に呪力を抑える(休眠)」あるいは「呪力に耐えられず肉体が崩壊する」といったことになるでしょう。

 以上から術式を扱うには才能は前提として、他に呪力への「適性センス」と「免疫」が必要だということが分かりました。そして、別に「無為転変」で無理やり改造チューニングしなくとも、適正を養うならば呪力に目を慣らせばいいですし、免疫力が無いならば呪力を少量ずつ取り込めば勝手に免疫が付くでしょう。

術式の形成

 また個人的解釈によるものですが、「呪物を取り込んで術式を獲得することはあくまでシュートカット」であると考えました。つまり、呪物を取り込まずに術式を獲得することができるのではないか、ということです。

 これは、呪霊が非術者(呪力操作の出来ない者)の漏れ出る負の感情によってのみ形成されることから閃いたことです。

 呪霊は例外なく負の感情のみで形成されるならば、術式を保有する準一級以上の呪霊も負の感情のみで形成されています。そこで、負の感情だけで構成されている呪霊に術式が宿るということは、「負の感情が積み重なることで術式さえ形成できる」ということが分かります。

 それならば、準一級以上の呪霊を形成できるだけの負の感情呪力を向けられた人間が居れば、その人間には術式が宿るのではないでしょうか。

 例えば、芸能人等のメディアに露出する人間は負の感情を向けられやすくなりますし、現代では犯罪者の情報等も報道されます。それが国民にとってバッシングを行い易い「嫌われる条件」の多い人間ならば、負の感情を溜め込みやすいでしょう。それこそ、上級国民なんかの犯罪が世に広まれば日本の人口1億人の叩きやすい的です。

 まあ、これが「人への呪い」という広義的な概念に収まってしまえば真人に還元されると思います。ですが、呪力の送られる対象は「より明確な方」だと思うので、あやふやな枠組みには還元されないでしょう。病院や学校は「明確に不満を向けやすい場所」だからこそ呪力が溜まっているわけですし。

 以上より、向けられた負の感情呪力が準一級呪霊以上を形成するほどならば、一般人にも術式が宿ると考えました。もちろん気付いた方も多いでしょうがでしょうが、ここでも問題があります。

 それは

「一般人が準一級呪霊を形成するほどの毒呪力を盛られたら免疫不全で死ぬわ」

ということです。当然ですよね。ありふれた四級呪霊でも取り憑かれたら体調悪くなるわけですし。

 だからこそ以上の話を成立させるには、以下の二点が前提になります。

  1. 魂の強度が足りているレベルの呪力
  2. 長期間の受容

「一度に取り込む呪力を少量にする代わりに、長期間服用しよう。」

ということです。負の感情を向けられる環境から逃げてはいけません。さらに、自身の発する負の感情で自らの魂を傷つけば速度は上がるでしょう。そこまでいくと最早「自傷行為」ですが。

 そうして、じっくり時間を掛けて少しずつ魂に負荷を掛けていけば、無事脳に術式を宿らせることができるでしょう。そこまで耐えてしまったら、肉体は無事でも価値観が歪んで呪詛師になってそうですが。

 まあ、害悪環境に身を窶すドМにしか新たな力は舞い降りないのは【呪術廻戦】っぽいと思います。後天的に得た術式を「”生得”術式」と呼べるのかは分かりませんが。

縛り

 ここが最も【HUNTER×HUNTER】と類似すると言われる要素でしょう。念能力では、能力の発動条件となる”制約”と、能力の使用条件となる”誓約”を意識的に設定します(制約と誓約)。これがより厳しい条件であるほど、能力の出力や規模といった威力が高くなります。

 そして縛りとは、誓約で「特定の行動に対して自身に課する制限」です。それは術式云々に関係なく効果を発揮するもので、縛りプレイを自身で設定することで達成後に呪術的な報酬バフを得ます。また、報酬バフの大きさは縛りの厳しさで決まります。

 例えば、七海の「時間外労働」は日中の呪力を制限することでその分夜間の呪力量を上げています。要は残業手当を用意しているということです。

 個人単位ではなく、共同で何かを成すときにも”利害の一致”を基に縛りを課すことができます。個人での縛りと違う点は、自らで課した縛りではないが故の「ペナルティの不確定さ」です。個人の場合は縛りを課したことで得た者を失う程度で済みますが、利害の一致の場合は縛りを課すのが相手なので罰は相手に依存します。

 また「天与呪縛」も縛りの一種です。違いは自身の意思による後天的枷ではなく、生まれた時から制限されている先天的枷であるという点です。自身で課したものではない為解除不能で常時的な縛りになりますが、その不利益(理不尽)の分報酬バフも普通の縛りとは桁違いです。

 例えば、禪院真希の「フィジカルギフテッド」は呪力が無くなる代わりに銃弾を素手で掴むことすら可能にしています。

呪術について

 次からは、分類的にどんな呪術があるのかを解説していきます。

※個別の術式についての解説ではありません。

拡張術式

 術式を独自に開発した結果、元々あった術式に追加する補助術式です。”強化”というよりも”開発”なので、術者の資質に依存した性能となります。そのため、使い勝手の良い術式にするなら機能を低くする必要がありますし、機能を重視した拡張術式すれば相応の”縛り(発動条件)”を課することになります。

 例えば、伏黒恵の術式「十種影法術とくさのかげほうじゅつ」で独自に開発した拡張術式「不知井底せいていしらず」は、二種の式神を組み合わせて複製召喚することができ、さらに破壊されても再召喚可能ですが、弱く脆いようです。

極ノ番

 これは後述する「領域」を除いた、それぞれの術式における”奥義”です。「極ノ番」は型に嵌まった術の最上位なので、「領域」を”規格外”だとするならば「極ノ番」は”奥義”という扱いになるのでしょう。

 例として、23話の八十八橋での戦いにおいて「呪胎九相図」の特級呪霊”壊相”が使っていました。「蝕爛腐術」は「血液を付着物ごと腐蝕させる」術式ですが、極ノ番「翅王」は、一定空間内で放出した血液を矢のように操ります。

 弱そうに感じますが、物理防御は腐蝕により抜かれ、当たったら「朽」で確実に嬲り殺されます。

アニメ呪術廻戦第23話「起首雷同―弐―」より引用

 単行本の方でもあの不憫な方が使っていますが、そちらの方が分かりやすく奥義感を出してますね。劇場版の「0巻」でも、夏油さんが「呪霊操術」極ノ番「うずまき」を使っていましたし。

領域展開

 「領域展開」は呪術における到達点です。基礎呪術である結界術を組み合わせることで、術式を付与した「生得領域心の内?」を呪力で周囲に構築する呪術になります。作者である芥見下々先生は「TYPE-MOON」作品である「Fateシリーズ」のキャラクター「ギルガメッシュ」が好きとのことなので、「TYPE-MOON」で登場する奥義「固有結界」を参考にしているのでしょう。なので、”生得術式”は”心象風景”と考えれば良いと考えます。

 現実を塗り替えるほどの術なので、呪力消費が通常の呪術の比では無いほどに膨れ上がり、領域解除後に術式が過剰起動で数秒間ショートしますが、それを度外視できるほどに利点があります。

 それが”必中必殺”である点です。

  1. 術式効果の上昇(120%)
  2. 術式への必中効果の付与

 生得領域という”自身の心の内側”擬きで現実を上塗りしているので、環境要因による「バフ」が得られます。領域は現実空間とは異なる体積の空間を結界で閉じるので、相手は逃げようにも領域の端が分からず逃れられません。だからこその”必中必殺”です。

 そのため領域展開には領域展開で対抗し、「領域を押し返して空間の主導権を奪う」というのが最も有効な対抗手段となっています。

 アニメでは五条先生、漏瑚、陀艮、真人、宿儺が使っていましたね。花は使おうとしたけど機会がありませんでしたが。伏黒は結界を閉じることが出来ていない未完成の領域なので、必中効果が付与されていません。また、結界で閉じ込めていないので逃げることもできます。

 また、昔の領域展開は”必中必殺の領域”ではなく”必中の領域”だったようで、あくまで必中効果のみを追求した呪術のようです。そのため難易度は下がっており、呪術全盛の時代であることも含めれば現代ほど稀な呪術では無かったようです。

 また、領域を規模を抑えて使うことで術式対策としても利用することができます。それが「領域展延」です。

領域展延

 領域展延は、領域を展開する際の初動「領域を自身の内側から引き出した瞬間」を維持することで、自身のみを領域で保護します。相手を領域の内側に引きずり込まないので必中効果は望めませんが、生得領域をそのまま身に纏っているので近接防御として無類の硬さを発揮します。

 また、展延により引き出した領域に術式を付与しないことで「術式付与容量の空いた領域」を作りだすことが出来ます。これによって空白領域に術式を流し込ませることができるので、術式を中和することが出来ます。

 これは領域展開を行われても効果のある防御手段です。とはいっても「領域展延」を使うには「必中必殺の術式を搭載出来る領域」を使えることが前提なので、普通は領域展延を使える術師は「領域展開」で対抗するでしょう。

 そのため、領域を展開出来ない者達は「領域展開」に巻き込まれれば成す術も無く…。

 というわけではなく、領域を展開できない者なりの「領域展開」の対策が以下になります。

シン陰流・簡易領域

 領域展開における二つの利点の内、「必中効果」を無効化するための術です。

 領域を展開できない者どころか、術式を保有しない呪術師でも使えるようなので、分類的には基礎結界術に当たるでしょう。シン陰流の一門相伝なので、門外不出となっています。

アニメ呪術廻戦第14話「京都姉妹校交流会-団体戦⓪-」より引用

 結界術の応用により、自身を覆う程度の簡易的な領域を展開することで、術式の付与された「結界」を中和し、領域による自動標準を無効化しています。そのため「領域に自分の領域をこじ開ける」といった感じではなく、「相手の展開した領域の一部に、さらに自分の領域を上書きする」といった感じなのでしょう。

 あくまで基礎結界術の応用なので術式のショートはありませんし、消費呪力も少ないため何度でも張り直すことが出来ます。簡易でも領域は領域なので、”必中”までは行かずとも”標準補正”には使えます。まあ領域半径は数メートルが良いとこなので、中・遠距離には使えませんが。

 これに剣士(武士)を組み合わせてしまったから、【HUNTER×HUNTER】の「」と被ってしまうのでしょう。

秘伝「落花の情」

 蘆屋貞綱が考案した簡易領域はシン陰流の一門相伝なので、それ以外の者達は別の領域対策が必要です。御三家(五条・禪院・加茂)も当然ながら対策を取っており、その秘術が「落花の情」です。

 小さい領域で”身を隠す”のが簡易領域ですが、落花の情は”自動迎撃オートカウンター“です。必中の術式が発動し、触れた瞬間にカウンターで纏っている呪力を解放し、迎撃します。反射に集中力を全振りしているのか、呪力に設定できるのかは分かっていません。

 これが【HUNTER×HUNTER】の「疾風迅雷」に似ていると言う人もいるのでしょう。

 こちらも簡易領域と同様で術式を必要としていないようなので、術式を持たない呪術師も使えるのでしょう。御三家配下の”術式無し”は積極的に教えられていそうです。

反転術式

 呪術は呪力という「負のエネルギー」を用いているため、破壊的作用に向いていますが生産的な作用には向いていません。それは傷の治療のような回復なども同じで、呪力では再生が出来ません。ですが「反転術式」を使えば別です。

 反転術式はややこしいですが術式ではなく、あくまで呪力操作の一種です。呪力マイナス呪力マイナスを掛け合わせることで生まれる「プラスのエネルギー」を用いる術のことで、正のエネルギーなので治療にもぴったりとなってます。というよりも治療以外ではそんな使わないかも?

 この「呪力の掛け算」が難しい感覚のようで、完全にセンスに依存しています。なので、出来ない人間はどこまでいっても出来ません。また、正のエネルギーを扱う事自体も難しいようで、傷の治療と言っても規模は人に依るようです。

 例えば、軽傷しか治せない人がいれば致命傷も一瞬で治せる人もいるし、自分だけじゃなく他人も治療することが出来る人もいます。五条先生は致命傷も治療できるほどの反転術式を行使できますが、対象は自分だけです。ですが、家入硝子や乙骨優太は他人の致命傷も治せます。臓器や部位欠損等も治せるので反則ですね。

 因みに、宿儺が虎杖の腕や心臓を直したのも反転術式です。呪霊は身体が呪力で形成されているので再生は呪力で行えますが、宿儺は受肉しているので肉体を再生させるには反転術式が必要です。

術式反転

 反転術式が正のエネルギーを生成する術だからと言って、呪術に応用できないわけではありません。それが「術式反転」です。術式は呪力という負のエネルギーを流して稼働するものですが、反転術式で生成した正のエネルギーを流すことも可能なのです。

 正のエネルギーによって稼働する術式は、負の術式作用が反転します。例えば、五条先生の術式「無下限呪術:順転〔蒼〕」は「無限の収束」を生じさせる術式ですが、反転〔赫〕は「無限の発散」を生じさせます。

 虚式〔茈〕はよく分かりません。収束と発散を掛け合わせることで架空の質量が押し出されると説明されていますが。

アニメ呪術廻戦第7話「急襲」より引用

 今回の記事は以上になります。調べ直してて思いましたが、やはり簡単そうに見えてけっこう奥が深い設定ですね。

 ちなみに、自力で術式を獲得する方法を考えたのは「高羽さん」と「日車さん」が強すぎたからです。術式覚醒させてから2週間もせずあの強さは、例えショートカットを使ったとしても異常過ぎる。そこで術式を扱う土壌を揃える環境を考えてたら「あれ、これってゼロから術式を獲得できるのでは?」と過ってしまったんですよね。

 まああそこは考察というより妄想ですが。

 今回は個別の術式については詳しく触れませんでしたが、その内紹介記事を載せるかもしれません。

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 誤字・脱字や間違いなどだけでなく、他にも「自分の解釈」があればコメントで教えていただければ幸いです。


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