現代魔法

設定解説/考察

 魔法科高校の劣等生の作中における”魔法”とは主に「四系統八種」の”現代魔法”を指し、たった半世紀しか経っていないにもかかわらず世界的に主流となっている魔法の学問です。学問なので科学的に確立された魔法理論を用いており、情報を改変することで事象を改変し四系統、八種類の作用力を発生させます。

 今回の記事ではその現代魔法を解説し、作中に存在する魔法がどのような構成になっているのかを考察します。

 最後まで読んでいただければ幸いです。


現代魔法

 まず現代魔法かに関係なく、魔法の大前提である「魔法演算領域を用いた情報体エイドスの改変と、情報体エイドスに付随する事象の改変」があります。これは、魔法学で”魔法演算領域”と呼称される情報体次元イデアから精神へ送られた外界情報を知覚情報として認識するための精神領域の機能を逆に利用して、先に認識情報を改変し情報体次元イデアへ送信することで付随する情報体エイドスを改変するというプロセスになります。

 現代魔法は、情報体エイドスの改変に使われる”魔法式”という事象改変図を”起動式”という構築設計図を用いて投射する方式を用いています。

起動式

アニメ魔法科高校の劣等生
第3話「入学編III」より引用

 起動式を現代魔法確立前の言葉に置き換えると、呪文や印などの魔法演算補助具に当たります。現代魔法ではそれを2進数の電子データを携帯電子機器「CAD」に保存する方式に移行しており、その情報量は「単一」の一番単純な作用を促す起動式でも画像データのテキストのようなものなので、人間が意識的に読み取ることは出来ません。

 また内包する情報量を増やし、起動式の出力を簡略化することでより複雑で迅速な事象改変を可能にしました。

 起動式は人間の精神領域の内、無意識領域の一部である魔法演算領域に出力されるので、魔法師は魔法を意図的に発動しますが意識的に組み立てることは出来ません。情報量的にも意識的に読み上げるには脳の処理が追いつきません。なので、起動式の出力は意識的に、読み取りは無意識的に行います。

 魔法の発動プロセスは以下になります。

  1. CADから起動式を受信
  2. 起動式に変数を追加して魔法演算領域へ送信
  3. 起動式から魔法式を構築
  4. 構築済みの魔法式を”ルート”に転送し、”ゲート”から情報体次元イデアへ出力
  5. 指定座標で情報体エイドスに干渉し、事象改変

 起動式の変数とは魔法師がその場で変更できる数値です。座標、作用強度、終了条件などがあり、起動式によっては定数にして融通性を減らすことで、処理する情報量を減らし処理速度を上げたりできます。

 また、ルートとは精神階層における意識領域の最下層にして無意識領域の最上層のことです。さらにゲートとは意識と無意識の狭間であり情報体次元イデアに露出する情報の通路です。

 以上によって起動式から魔法式が構築され、四系統八種あるいは系統外魔法が発動します。

四系統八種

 現代魔法では魔法を”見かけ所の性質”ではなく”作用”から分類しています。その分類が四系統八種にあたり、以下になります。ちなみに、何に作用するかは予想です。

  • 運動量を操作する系統
    • 加速…速度操作
    • 加重…重力操作
  • 運動を操作する系統
    • 移動…ベクトル操作
    • 振動…振動数操作
  • 存在確率を操作する系統
    • 収束…密度操作
    • 発散…三態操作
  • 粒子の状態を操作する系統
    • 吸収…組成操作
    • 放出…結合操作

 この八種を魔法を構築可能な最小要素として定義し、それぞれを単一工程として構築することで魔法を成立させます。以下はそれぞれの単一工程の魔法例です。

  • 加速系魔法〔アクセル〕
    • 物体の特定方向への加速を増加
  • 加重系魔法〔プレス〕
    • 物体の特定方向の圧力を増加
  • 移動系魔法〔ランチャー〕
    • 物体に移動座標を指定
  • 振動系魔法〔ヒート〕
    • 物体の振動数上昇により加熱
  • 収束系魔法〔スモークボール〕
    • 気体を一塊に収束
  • 発散系魔法〔ドライアップ〕
    • 水を蒸発させて水蒸気化
  • 吸収系魔法〔ラストメーカー〕
    • 物質に酸素を吸収させて錆びさせる
  • 放出系魔法〔スパーク〕
    • 物質から電子を強制電離させて空中放電発生

代表的な魔法の解説

 いくつかの代表的な魔法を工程の面から紹介します。九校戦で使われた魔法が分かりやすそうです。

浮遊

 これは九校戦ではありませんが、作中で「魔法の工程」の説明に用いられた魔法なので紹介します。

 例えば「浮遊」魔法ならば以下のように4工程に分かれます。

  1. 加重系反重力制御魔法:物体の浮遊
  2. 移動系停止魔法:物体の空中静止
  3. 加重系重力制御魔法:物体の落下
  4. 移動系停止魔法:物体の静止

 安全性のために4番目の工程が入っていますが、殺傷性や攻撃性を求めるならば必要無くなります。

 このように工程を連続させることで魔法を作り上げます。ちなみにこの場合での変数は

  1. 浮遊対象
  2. 反重力加速度
  3. 停止座標
  4. 静止時間
  5. 重力加速度
  6. 停止座標

となります。これらを独自に定数へと変更し、魔法処理の負担を減らしていくわけです。

ニブルヘイム

 司波深雪がアイス・ピラーズ・ブレイクで使った広域冷却魔法であるニブルヘイムは振動系単一の魔法ではありません。

  1. 振動系魔法…指定領域内の分子運動を均一に”減速”し、冷却
  2. 振動系魔法…魔法終了直前に同領域内の分子運動を”加速”し、元に戻す(加熱)

 一般に知られている術式は1のみの工程となっているようなのですが、深雪用に達也さんがアレンジを加えています。その理由は「魔法使用時のエネルギー収支の均衡」を図ったもので、冷却時に生ずるエネルギーの余剰を無くすことで魔法終了後の不確定要素を排除する為です。

 魔法にはエネルギーと一定の関係があり、「エネルギー収支の辻褄を合わせる相殺法則」が働いているとされています。今回の「振動減衰による熱エネルギーの減少」の魔法のようにエネルギーが奪われる作用の場合は、余剰エネルギーとして取り出され情報的に近い他の事象に使われるとされています。

 そのため、ニブルヘイムの冷却により奪われた分子の熱エネルギーは続く工程で使用されなければ、現実が大気圧の増加などの現象でエネルギー収支を合わせます。ですが事後的に熱エネルギーを戻す工程を加えることでそれらの不確定要素は無くなります。

 また1のみだと魔法が終了したと同時に氷点下と常温の空気が同一空間に存在することになります。そうすると空気の対流による乱気流が発生するので、2により気温を戻すことで乱気流を無くすことができます。

 さらに、ニブルヘイムのような領域を指定する魔法は領域の内外を隔離するので、領域の隔離自体にも魔法が使われているはずです。この場合は「温度」という現象に関して隔離する定義があるので、おそらくは収束系の魔法工程で氷点下以下の分子とそれ以上の分子を選別していそうです。なので

  1. 収束系魔法…指定温度の分子を指定領域内へ”収束”し、隔離
  2. 振動系魔法…指定領域内の分子運動を均一に”減速”し、冷却
  3. 振動系魔法…魔法終了直前に同領域内の分子運動を”加速”し、元に戻す(加温)

といった工程かもしれません。「外と内に分ける」なので収束系のはずです。もしかしたら空気の対流を利用して、領域内を「下方」で領域外を「上方」とした定義の移動系魔法で分子の移動を操作し、存在領域を隔離しているかもしれません。

ドライブリザード

 七草真由美がスピード・シューティングで使用したドライアイスを作成し亜音速で撃ち出す射撃魔法で、工程は以下になります。

  1. 収束系魔法…指定地点に二酸化炭素分子を”収束”
  2. 振動系魔法…収束した二酸化炭素の振動数を”減速”し、凝華(トライアイスの形成)
  3. 移動魔法…作り上げたドライアイスを亜音速で指定方向に”移動”(射出)

 1で弾で材料を集め、2で銃座を作り、3で撃ち出すという工程です。前述したように、魔法によって無理やりエネルギー量を変化させても近い事象で補完されます。この魔法でも冷却により奪った”熱エネルギー”は移動時の”運動エネルギー”に加算されるので、効率が良い魔法となっています。

 簡単に言えば、冷却温度や質量が増えてもその分熱エネルギーが回収されるので移動速度は変わりません。

偏移開放

 一条将輝がモノリス・コードで使用した空気弾の魔法で、工程は以下になります。

  1. 収束系魔法…片側が空いた筒状空間に空気を収束
  2. 収束系魔法…筒状空間を完全隔離
  3. 収束系魔法…反対側の低面を開放し、空気を吐き出す

 単一種の魔法でも工程に分けることができるので、このように収束系魔法工程のみで1つの魔法を作り上げることができます。また、断熱圧縮ではないので「ボイル・シャルルの法則」の通り空気は高温になっているでしょう。空間内の温度を一定に保つ魔法工程を挟めば、吐き出された空気の運動エネルギーが高くなるかもしれません。最後に加速系魔法工程を挟めばそうなるでしょう。

ヘビィ・メタル・バースト

 アンジェリーナ・シールズが使用した高エネルギープラズマをばら撒く魔法で、工程は以下になります。

  1. 放出系魔法…指定した重金属原子から電子を”放出”させ、電離(プラズマ化)
  2. 移動系魔法…電離した電子のみをプラズマ雲から全方位に”移動”され、排出
  3. 加重系魔法…プラズマ化により上昇した外圧を外側への”加重”により更に上昇
  4. 加速系魔法…陽イオンプラズマ同士の反発を”加速”

 これは難しいので合っているか分かりませんが、作中の説明から考えてこんな感じだと思います。

 3が怪しくて、外圧上昇は収束系でも出来そうですが、3と4は同時に行われるはずなので同一系統の加重系と加速系魔法の工程の方が相性が良さそうです。

 また、「ブリオネイク」は収束系工程を最初に行うことで特定のルートを進むようになります。また収束により電子と陽イオンの終点を同一になるので、エントロピーの増大によりプラズマが解除されます。

 ヘビィ・メタル・バーストは全体的に予想ばかりなので怪しいです。


 今回の記事の為に色々調べましたが、魔法の工程を予想するの難しいですね。「慣性制御」の魔法とかは加重系魔法という表記はありますが。「慣性を制御する」ってことは等速運動を制御するってことなので、所謂”勢い”を制御する事は解ります。そこで加重系ということは、連続的に発生する運動ベクトルをゼロにするという事でしょうか。

 ひとまず以上で終わりです。

 最後まで読んでいただきありがとうございます。

 誤字脱字等の間違い、ご意見等ありましたらコメントでご指摘お願いします。


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