転スラ19巻 ネタバレ感想/解説

ストーリー解説/考察

 18巻発売から8ヶ月の間を置いて、ついに【転生したらスライムだった件】19巻が発売しました。18巻ではラスボス候補勢力であるミカエルが本格的に始動しました。そのため今巻ではミカエル陣営と魔王勢の本格的な大戦となりました。

 そのためか、新しい情報の挿入や波乱の展開が広がり情報過多になりそうな具合でした。なので、今回の記事では転スラ19巻「王都動乱編」の内容の整理を行いながら、感想や解説を挟んでいきます。

 良ければ最後までお付き合いください。


天使長、動く

 まずはミカエル視点の話です。フェルドウェイがレオンを襲撃している間に最高幹部”三妖師”のオベーラの離反が発覚しました。天使系究極能力アルティメットスキルの所在地を知れるミカエルは、オベーラが保有していた『救済之王アズラエル』の反応が無くなったことから裏切りを感知し、直接オベーラとその軍勢を単独で討つことを決めます。

 『正義之王ミカエル』を保有するミカエルは究極の防御壁「王宮城塞キャッスルガード」があるので、何人であっても傷を負わされることなく勝利できます。ですがいきなり、「王宮城塞キャッスルガード」が発動しないという誤算が発生しました。これはミカエルへの忠誠や信仰が存在せず、「王宮城塞キャッスルガード」を維持するエネルギーが無いためです。ミカエル陣営は利害一致で結ばれている蟲魔族インセクトと三軍がそれぞれ最高指揮官である三妖師に忠誠を誓った妖魔族ファントムで構成されているので、ミカエルに忠誠や信仰を向けている者はいません。

 そういった誤算はありましたが、竜種を超える存在値を保持するので大した攻撃にはなりえません。さらにミカエルには回収した竜の因子と「被支配者の権能を自由に行使できる」という権能があります。なので、ヴェルグリンドの因子やジャヒルへ与えた『救恤之王ラグエル』を行使することでヴェルグリンドの最高の攻撃であった”灼熱竜覇加速励起カーディナルアクセラレーション“を再現し、支配下にあるヴェルザードの因子や『忍耐之王ガブリエル』を利用してヴェルザード最高の防御であった”雪結晶盾スノークリスタル“(初出し)を再現しました。

 そのため、オベーラはなんとか離脱できましたが麾下の軍隊は壊滅しました。

最初の戦い

 ここで18巻最後の場面に移ったリムル様視点です。ヴェルザードの発生させた吹雪は魔素で汚染されているため万能感知さえ狂わせる中、リムルはベニマルとともにジャヒルの最後の一撃に居合わせます。前衛だったユウキとラプラスは消滅、ティアは致命傷を負いながらリムルの捕食が間に合い無傷のカガリととに救出されました。それにより「フェルドウェイvsリムル」、「ジャヒルvsベニマル」が始まります。

 フェルドウェイvsリムルは、フェルドウェイが「王宮城塞キャッスルガード」の絶対防御に守られていますがその間は攻撃が出来ないのでいきなり膠着状態に。ジャヒルvsベニマルは、存在値の差が大きくベニマルが押されるも踏みとどまる状況。そのため、状況を変化させたのは他の戦場でした。

 リムルに着いてきたランガ、ソウエイ、クマラは転移してすぐに散開してミカエル陣営の妖天を討ちに行きます。ランガは早々にヴェガ相手に優位に立ちますが逃亡され、逃亡先でクマラに負けたオルリアを喰らい究極付与アルティメットエンチャント武創之王マルチブルウェポン』を強奪。”天星九尾ナインテイル“から”神弧”へと進化していたクマラは強化されたヴェガを警戒し膠着。ソウエイはアリオスに致命傷を負わせるも、フェルドウェイの判断でヴェガとともに古城舞依マイ・フルキにより撤退されます。これにより他の戦場も収束することになりました。

 今回の襲撃によりレオンは支配されて連れ去られ、”黄金郷エルドラド“は大きな被害を受けました。しかしレオンがミカエル陣営に引き抜かれるのはリムルとギィの想定内だったようです。これは「天使長之支配アルティメットドミニオン」の仕組みを解析するためのサンプルとして利用しただけでなく、レオンが出てきた戦場にリムルが出向いて支配を解除することでカウンターを食らわせるという予備の作戦でもあったためです。

 また『正義之王ミカエル』を並列存在で複製してフェルドウェイが保有していることが周知されるだけでなく、レインの酒盛りにより「天使長の支配アルティメットドミニオン」は直接の視認による発動という条件までリムル達に明かされました。

 その際のディアブロの犠牲は見て見ぬふりをします。

 その後はカガリやシルヴィアとの交流や黄金郷エルドラドの復興に関することだけでなく、ユウキとラプラスの復活フラグ、サポートAIクレイマンさんの登場フラグまで立ちました。

正義の軍勢

 フェルドウェイは撤退後、オベーラの離反やジャヒルの登場により変化した軍の再編を行いました。フェルドウェイを最高指揮官、三妖師は”三星師”へと変更し、その下に”七凶天将”という幹部を配置しました。メンバー構成は以下です。

  • 最高指揮官
    • フェルドウェイ
  • 三星師
    • フェン
    • ザラリオ
    • ジャヒル
  • 七凶天将
    • ヴェガ
    • レオン
    • ディーノ
    • ピコ
    • ガラシャ
    • アリオス
    • 古城舞依

 三星師のフェンは新キャラで、ダグリュールの弟です。遥か昔ヴェルダナーヴァに挑んだダグリュール三兄弟は負け、次男であるフェンのみ改心しなかったため封印されていたそうです。滅界竜イヴァラージュに次ぐ厄災として有名なようで、封印されてたフェンを唯一見舞っていたフェルドウェイを友としています。

 その後は侵攻作戦会議ですが、中身は結構大雑把です。

  1. ミリム領をゼラヌス軍が侵攻
  2. ダマルカニアをフェンを筆頭に侵攻し陽動
  3. 他所に釣られて手薄になったマサユキを暗殺

 魔王勢力間でもっとも強いミリムにゼラヌス達蟲魔族インセクター全軍をぶつけて釘付けにし、同時にフェンがダグリュール領のダマルカニアを侵攻します。フェンは同じく三星師のジャヒルと七凶天将のディーノ、ピコ、ガラシャ、レオンを率いて進軍し、ダグリュールを落とします。そしてそれらを囮に16巻で失敗したマサユキ暗殺を再決行し、ルドラ復活の芽を摘みます。マサユキ暗殺を行うメンバーはフェルドウェイ、ヴェガ、アリオスの三名で、ザラリオは妖魔族ファントム全軍の統括とルミナスへのけん制、舞依は移動補助要員です。

 それ以外は現場の判断で好き勝手と言う感じで、大筋は出来ていますが適当感は拭えません。それに幹部全員出張らってるところから手が足りなくなりそうな予感も感じます。これで作戦に不備が起きたら、ミカエルが直接出なければなりませんし。

 とはいってもミカエルの強さなら、ギィ以外は余裕を持って対処できるはずですし、ギィはヴェルザードの相手で手一杯になるのでどうにでもなるのでしょう。それに、常に攻め手に回れて大戦の主導権を取れる以上、多方面に同時に仕掛けて地道に手足から削いでいくという作戦も有効でしょう。

大戦の始まり

 視点は戻り魔国連邦テンペストへ。リムルは世界各国の人間勢力の舵取りをするリーダーですので、大戦のゴタゴタはあってもそれ以外の普段の仕事は変わらずに積もってきます。特に、西欧諸国評議会カウンシルオブ・ウエストに東の帝国ことナスカ帝国が出席し、初の世界会議が実現するので特に忙しくなっています。ですがミカエル陣営の対策は最優先事項ではあるので、自然とそっちの、今回はディアブロとフェルドウェイの話をしていました。

 フェルドウェイは自身の考えを曲げない頑固者で、他人の話は参考程度にも聞かず融通の利かない性格とされています。拠点の天星宮にはヴェルダナーヴァが天使の中で唯一フェルドウェイのみに送った「フェルドウェイの肉体」が保管されており、普段は子機の端末にあたる肉体に精神を映して活動しています。親機と子機は常に繋がっているわけではないためどこかで記憶の同調によるデータの共有をしなければいけませんが、普段繋がりを維持していないためヴェルグリンドの”時空連続攻撃”も親機には届きませんし、親機での強さはギィを上回る可能性もあるほどです。

 だからこそフェルドウェイはギィ、ミリムとともに”天災級カタストロフ“の脅威度となるでしょう。それなのに、なぜかディアブロを猛烈に苦手としている模様。ディアブロもまた、赤の王ルージュと引き分けた黒の王ノワールということでしょうか。「意思の強さがそのまま力の強さになる」ため精神生命体の力の制限が存在しない異界では、フェルドウェイとディアブロはずっと引き分けていたようですし納得はできます。

 その後はオベーラ離脱成功の報があったり、マサユキの地毛が金髪になって背が伸びていたりと気になる描写はありましたが、特に焦点は当たらず会議は恙なく終わりそう。というところでミカエル陣営の襲撃作戦が開始しました。

 ベニマルからミリム領への蟲魔族インセクター進軍、ラミリスからダマルカニアの通信途絶が伝えられます。さらに現地のイングラシア王国の地理に精通していたヴェガが地下道を伝い潜入、地下で行っていた魔人化実験の被検体を妖魔族ファントム受肉のための依り代とし、それらを王国への恨みのままに暴れさせリムルの状況を混沌とさせます。

 通信途絶したダマルカニアでは、ウルティマの指示で通信途絶のエリア外へゾンダが急行し本国への通信を行います。また、ダグリュールとの打ち合わせにより、ダグリュールがフェンを、三男のグラソードがレオンを、ヴェイロンがディーノを、ピコとガラシャをウルティマが相手取ることに決まりました。なのでジャヒルがフリーとなります。

 また、ミリム領でも初手にカレラの最大火力”終末崩宿消滅波アビス・アナライゼーション“を投げ返されたことを口火に、正面衝突がなされます。蟲魔族インセクターの幹部”十二蟲将”の総員八名とその麾下軍隊八つが勢ぞろいしているので、ちょうどカレラ、ゲルド、ガビル、カリオン、フレイ、オベーラ、ミッドレイ、エスプリの八名が幹部を相手取り、ミリムはゼラヌスの警戒となります。因みに”十二蟲将”なのに八名なのは四名の欠員が出たからで、それはゼギオン、アピト、ラズル、ミナザの四名です。

王都炎上

 リムルはダマルカニア侵攻軍にレオンがいることを伝えられ、現地をテスタロッサとヒナタ、マサユキをヴェルグリンドに任せてダマルカニアに転移します。転移先ではダグリュールとフェンが記憶を同調することで、ヴェルダナーヴァに逆らった狂王時代に逆行し裏切り。それによりダグリュール軍はミカエル陣営に鞍替えすることとなりウルティマたちが孤立しますが、リムル、ディアブロ、ソウエイが到着しすぐさまレオンを取り返すことでルべリオスへの侵攻を食い止めます。

 ですがこれがミカエルの策略で、ヴェルグリンドに行ったような”天使長の支配アルティメットドミニオン“の解除をレオンに施すことでカウンターを行う策を読み、リムルを釣っていました。ディアブロとレオンはミカエルの時間停止による攻撃を喰らい戦闘不能となりフェン軍の侵攻を許し、さらにリムルはミカエルと一騎打ちを強いられます。

 残った王都では妖魔族ファントムと融合した被検体達が暴れ出し、ついでにヒナタはヴェガが率いる被検体達に呼び出しを受けテスタロッサと二人で対処することになります。テスタロッサはヴェガ相手に決め手が無くじり貧、ヒナタは自身の存在値が100万強ですが相手は存在値が200万EPを超えた被験者ことライナー(10巻にてヒナタに瞬殺され出オチとなっていたキャラ)や”災禍級”の取り巻き達を一人で相手取らなければならないので不利となっています。

 ですが、そんな不利状況を打ち破る最強の一手ことマサユキルールブレイカーが登場します。マサユキにはラッキースケベが、味方には『英雄之王シンナルエイユウ』の強化・幸運補正が入り、状況は好転しました。しかしここでヴェガが動きます。

 ヴェガは『邪龍之王アジ・ダカーハ』の権能で地に根を張ることで被検体達やその他死体、生物等、さらに幹部の1人であるアリオスを収喰し、四体の邪龍獣を生成します。邪龍獣の存在値は各240万EPと高く対応できる者がほぼいないので、これにより状況は厳しくなります。

 『邪龍之王アジ・ダカーハ』はリムルの権能に似ているので、結構応用範囲が広く不死身な権能となっています。

集う英傑達

 リムル視点に戻ります。時間停止に対応できないリムルは万事急須、と思いきやシエルが停止世界の観測を可能にするとともに、万一の場合に備えていつの間にか支配を脱していたクロエを密かに護衛として付けていたので危機を逃れました。

情報子

 ここで難しい解説が入りました。13巻で解説された「世界の最小単位」となる粒子である”情報子”は魂の質量です。集合体が心核ココロで、それを覆う結晶が魂となります。この情報子が”停止世界”で動くカラクリを担っています。

 情報子は「時空の影響を受けない粒子」で、それを操ってあらゆる地点に任意の情報を伝えます。その情報は思念や言語だけでなく、肉体や装備など物理的な情報も送信可能です。その性質を利用することで、タイムラグ無しで自身の座標を転移し続け、それにより時間が停止した世界でも動くことができます。

 また停止世界を認識する場合も、情報子を周囲に放射して反射してきた情報子を読み取ることで周囲の状況を認識します。

情報生命体〈デジタルネイチャー〉

 とはいっても情報子を認識し、理解するためには前提として精神生命体でなければいけません。そうでなければ魂を認識することは出来ないからです。そして精神生命体ならば、全ての物質を情報子へと変質させることで情報子を掌握した生命体、”情報生命体デジタルネイチャー“へと至ることができるようです。

停止世界

 停止世界では、あらゆる物理作用は働いていません。ゆえに頑丈さや俊敏さは関係なく、停止世界でのパフォーマンスは情報子への干渉力に依存します。さらに、情報子への干渉が出来ない者は停止世界で少しでも力を受けると、その作用に抗う反作用が働いていないので崩壊していきます。

 また時間停止は単独で行うもので、停止を維持する方はそちらにも気になければならず、時間停止を維持している方が不利になります。なので、停止世界で動ける者同士の戦闘で時間停止を行うメリットはありません。このように「格下をボコすだけの能力」であり同格同士の戦闘では有用性を感じなかったため、格下への縛りプレイが好きなディアブロは時間停止への魅力を感じず習得しなかったようです。

 本編に戻ります。『希望之王サリエル』を昇華したクロエはミカエルと渡り合い、『時空之王ヨグ・トソース』の権能でミカエルを究極能力『正義之王ミカエル』へと逆行させることで勝利します。目的を見失った『正義之王ミカエル』はクロエの手を取り吸収されました。

 そこで”世界の言葉”が奏でられます。クロエに「勇気・希望・正義」の三要素が揃ったため、『時空之王ヨグ・トソース』が『時空之神ヨグ・トホート』へと”完全進化”したのです。権能の詳細は明かされていませんが、これにより”神智核マナス“クロノアがクロエと完全に同化しました。

 クロエはリムル(シエル)に『希望之王サリエル』の残滓を渡し、休養のためにテンペストへと帰ります。そして残ったリムルは、”並列存在”で死を偽装していたミカエルと正真正銘の一騎打ちをすることになります。ですがリムルは、クロエの戦闘中にシエルによる情報生命体デジタルネイチャーへの進化を完了していたので時間停止は通用しません。そうなれば、約1億の存在値エネルギーや強力な権能による暴力しか取り柄の無いミカエルは『虚空之神アザトース』の捕食に成す術も無く、あっけなくリムルに吸収されました。

 これによりリムルはミカエルの保有していた物も獲得した事になるので、ミカエル達が目指していた”竜の因子”、ついでに”美徳系究極能力アルティメットスキル“の情報エッセンスをコンプリートしました。これでヴェルダナーヴァの復活が叶うかどうかが分かります。

 ところ変わって危機的状況の王都。邪龍だけでなくフェルドウェイも参戦し、ヴェルグリンドですら余裕のない状況となりました。そこにミカエルの時間停止が重なります。ここに居る者は全員停止世界を明確に認識できるものはいませんが、テスタロッサやヴェルグリンドクラスになれば感じ取ることはできるようです。

 ヴェルグリンドは時間停止の違和感に気を取られ、その隙にフェルドウェイに致命傷を負わされます。ヴェルグリンドが崩れれば次はマサユキとなりますが、ここでマサユキが覚醒します。

英魂道導〈ハシャノヨルベ〉

 自分の女ヴェルグリンドを傷つけられた怒りから『英雄之王シンナルエイユウ』の権能「英魂道導ハシャノヨルべ」を発動させました。「英魂道導ハシャノヨルべ」は「自身を器として、死者の魂を導く」と言う権能で、マサユキは自身との繋がりを辿ってルドラの魂をマサユキの身体に顕現しました。イタコに近いかもしれませんね。ちょうどクロエがミカエルの並列存在を打倒し肉体が昇華した時だったこともあり、それを吸収してマサユキに足りない「ルドラの肉体情報」も統合されて完全顕現に至ったのです。

 さらにルドラは、ヴェルグリンドとの繋がりを利用して”並列存在”を勝手に発動して肉体を2体複製、そこに別の英傑の魂を顕現させます。それが全盛期のグランベル・ロッゾとダムラダです。ダムラダはルドラの古い友、グランベルは「勇者の師弟」としての繋がりを利用して呼び寄せたようです。 

 この権能で呼ばれた存在はあくまで”実体を持つ虚構”ですので、マサユキの権能の効果が切れれば消滅します。しかし、前述した”情報生命体デジタルネイチャー“と同質の存在となっており、能力や人格などは魂の記録通りに完全再現されています。つまり、グランベル・ロッゾは『希望之王サリエル』や勇者時代の神話級ゴッズ装備を保有していますし、ルドラに至っては自力獲得した『誓約之王ウリエル』だけでなく譲渡された『正義之王ミカエル』も保有しているのです。

 召喚されたグランベルとダムラダにより二体の邪龍獣は討伐され、さらにグランベルに導かれ”真なる勇者”として覚醒したヒナタとダムラダに発破を掛けられた完全体モスによりもう二体が討伐されます。ヒナタはそのままヴェガ相手に苦戦するテスタロッサの助力に入ります。ヒナタはこの時点でユニークスキル『数学者カワラヌモノ』を究極能力『数奇之王フォルトゥーナ』に進化させていました。

数奇之王〈フォルトゥーナ〉

 『数学者カワラヌモノ』が演算系の権能だったように、このスキルも演算系の権能を保有しています。中身は「思考加速、万能感知、神聖覇気、時空間操作、多次元結界、森羅万象、演算領域、仮想世界」となっています。目を引くのは「演算領域」と「仮想世界」でしょう。

 簡単に言えば「未来予知」を可能にする権能で、演算領域により敵の行動を読み切ります。仮想世界は描写されませんでしたが、おそらくはシュミレーターのような権能でしょう。取り込んだ対象を解析し、事前に戦闘シュミレーションを行うことが出来ると考えられ、「仮想世界内で負けても現実には一切反映されず、勝てば敵の状態を現実に反映させることが出来る」と言った効果であることが考えられます。

 私は前にヒナタが”真なる勇者”に覚醒し、究極能力アルティメットスキルを獲得すると予想していましたが、名前や権能は思いっきり外してしまいました。その考察は以下の記事でしています。

 二人一組ツーマンセルを組んだヒナタとテスタロッサは、決定力の低いヒナタが前衛で時間稼ぎ、殺傷能力の高いテスタロッサが後衛で必殺の一撃を準備するフォーメーションとなります。ヴェガはそれに嵌り、簡単にやられましたが、そこは権能を含むヴェガのしぶとさが上回ったようで、本体は逃走していたようです。

 残るルドラvsフェルドウェイも同じような結末を迎えました。ルドラは『正義之王ミカエル』の練度でフェルドウェイを上回り、さらに『誓約之王ウリエル』の「繋がりを辿り、集積される想いを力に変える」権能と”絶対防御アブソリュート・ガード“を攻撃に転用した技で「王宮城壁キャッスルガード」をぶち抜き、撤退に追い込みました。

 「王宮城壁キャッスルガード」が抜かれた理由は単純なエネルギー量の違いです。フェルドウェイには数十万の妖魔族ファントムが付いていますが、ルドラ(マサユキ)には帝国の約八億人の人民と西欧諸国のマサユキファン数百万人に信仰されています。そのため絶対的なエネルギー量の差を以って押し潰されたようです。

 フェルドウェイはすぐに傷を回復するも不利と視て撤退、ルドラはマサユキの権能が切れて消滅しました。それにより王都の騒乱は鎮火されます。

進化する悪意

 異界にて。

 ミカエルによるオベーラ軍の殲滅を視ていた”滅界竜”イヴァラージェは、対幻獣族クリプテッド軍であったオベーラ軍との縁故か、その跡地に足を運びます。自身の退屈を慰めてくれたオベーラ軍の死が少々不満だったのか、死体を喰らいながら惜しんでいるようです。

 それは知性の発露、本能のままに暴れ喰らうだけだったイヴァラージェに変革を齎します。オベーラ軍の残した「ミカエルへの怨念」を喰らい、憎悪を抱きました。その芽生えた純粋な悪意意思により、基軸世界の法則通りの進化を迎えます。

 ”邪神への進化ハロウィン・カーニバル“による眠りに就く直前、ミカエルが開いた異界への門が開くのを視認します。その先に、抱いた憎悪をぶつける相手が居ることを期待しながら、イヴァラージェは眠りに就きました。


 以上が波乱の19巻の解説となります。正直言って、色々ありすぎでした。序盤もヴェガが出世していることに驚きましたし、「まだミカエル陣営に味方が居るのか」とも思いました。まあ、フェンはWeb版でも巨人三兄弟の1人として出ていましたから、いつか出るのだろうとは思っていましたが。

 またWeb版と同様の点としてクロエが『時空之神ヨグ・トホート』を獲得したことを挙げられますね。獲得方法も「神智核マナスを吸収しての獲得」と、共通点のある流れとなっています。

 他にはミカエルの退場がこんな早いという事が驚きでした。確かに、他にイヴァラージェやユウキ、ゼラヌスなどのラスボス候補がいるので退場しても不足はありませんが、まさか大戦の序盤で落ちるとは。直後のフェルドウェイの反応が気になりますし、竜の因子と美徳系究極能力アルティメットスキルの情報をコンプリートしたリムルの状態も気になります。

 個人的にミカエルが早々に落ちた理由は、部下を簡単に切り捨て過ぎた結果手が足りなくなり、自身で出向くことになったことが原因だと考えました。フェルドウェイもですけど、せっかく手にした妖天をあっさり切るものですから、元々少ないのに更に少なくなっています。いくら攻め手は少数精鋭が向いているとはいえ限度があります。

 単純にリムルとミカエルの手数の差が出た気が感じですね。まあ存在値1億とか自惚れるのも仕方ないでしょうが。

 マサユキは相変わらずぶっ壊れで安心しました。ヴェルグリンドのピンチに覚醒することは大体予想出来ることでもあるので、特に驚きませんでしたね。とはいっても強さが予想以上過ぎて驚きましたが。まさかフェルドウェイを圧倒できるとは。序盤で近接戦のリムルと互角になっている時点でフェルドウェイがあんまり強くないと思いましたが、予想以上の圧倒ぶりを魅せてくれて興奮しました。

 この他にもミリム軍とゼラヌス軍の正面衝突がどうなったのかとか、ルべリオスに侵攻する巨人軍はミカエルが居なくなっても統率が取れるのか、色々と楽しみです。一応、伏瀬先生によると次巻はダグリュールが大活躍する予定だそうですが。

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 誤字脱字等の間違い、ご意見等ありましたらコメントでご指摘お願いします。


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