天魔大戦の動向

ストーリー解説/考察

 転生したらスライムだった件の文庫版16巻で、メインストーリーにおける最終章である「天魔大戦」に突入しました。作者である伏瀬先生もこちらで語っていますし、(刊行間隔から考えて最終巻は2023年の春頃発売になりますが)残り僅かとなっています。

 天魔大戦は序盤からチラッと出るだけの”天上の存在”扱いであった魔王すら手を組むほどの規模となり、「魔陣営が負ければ世界の崩壊」という結果を招くほどの被害になることが予想されています。これは、攻め手である「天陣営」は魔王達が存在している基軸世界から外れた「異界」に存在しているからで、構成している2勢力では目的が違うとはいえ「基軸世界の存在が邪魔」という共通認識があるからです。

※ちなみに

  • 天陣営…異界の侵略種族アグレッサー
  • 魔陣営…基軸世界の住人(主に戦力となる魔王勢力)

を指しています。

 妖魔勢力はヴェルダナーヴァ創造主復活の為に障害となる魔王達が邪魔だし、ヴェルダナーヴァに愛された人類が憎い。蟲魔勢力は安住の地を獲得するために目先にある基軸世界の土地が欲しいが、そこにいる存在が邪魔。魔陣営の魔王達も生存戦争となるので、自国防衛のために全力で敵を殲滅します。

 どちらも構成する勢力の上位存在が諸々単体で世界に影響を与えることが出来るレベルの強者なので、それらが揃って戦争しているわけですから自然と戦火は世界中へ飛び火します。そうやって天魔大戦は苛烈になっていくでしょう。

 そこで以下では、天魔大戦参戦勢力の天魔大戦緒戦までの状況と立ち位置を解説しました。

 今回は、「天魔大戦の動向」という観点で準備期間から19巻の「天魔大戦”緒戦”」までの解説と、それ以降の考察を行います。

 最後までお付き合いいただければ幸いです。


準備期間

 15巻で魔国連邦テンペストが帝国を打倒することで露見した「帝国の世界征服を隠れ蓑にした天陣営の侵攻」は失敗に終わりました。ですが、あくまで化けの皮が剥がれただけで天陣営の最優先項目である、ミカエルが完全顕現するための「ルドラの魂の崩壊」とヴェルダナーヴァが復活する為の「ヴェルグリンドの”竜の因子”の獲得」が成功しているので、後はヴェルザードとヴェルドラの”竜の因子”の獲得が目標となります。

 この際、天陣営はヴェルドラを燻り出した迷宮の穴を利用して、今後の障害となるであろうラミリスとマサユキの暗殺を計画し妖魔勢力が攻め込んでいました。ラミリスは無二である迷宮の権能が厄介な為で、マサユキはルドラの転生者であるからです。

 しかし、リムルによる”配下の進化”とマサユキの究極能力獲得もあって撃退され、顕現したヴェルグリンドにより妖魔勢力最高幹部”三妖師”の1人であるコルヌが死亡しました。

 これにより妖魔勢力は敗走、各勢力の天魔大戦への準備に入ります。

天陣営の準備

 ひとまず基軸世界の”人魔二大巨頭の一角”とも言えたルドラの始末を終え、ヴェルグリンドの追放を完遂し、さらに魔王の一角であるディーノとその付き添い2人を引き抜き魔陣営の戦力は下げました。ですが、もう一角であるギィは健在で、そこにはヴェルザードが存在しています。

 とはいってもヴェルザードは、ヴェルダナーヴァより美徳系究極能力『忍耐之王ガブリエル』を与えられていることが判明しているので支配可能です。自陣営の戦力アップ、敵陣営の戦力ダウン、さらに竜の因子収集を一手で行うために、早速白氷宮へ侵攻し、成功。コルヌの代わりに「ギィという最強を抑える駒」を獲得した形になりました。

 ミカエルはヴェルザードから獲得した”竜の因子”を取り込むために五か月間の休眠を取りましたが、拠点は異界にあるので攻められることはありません。

 休眠を終えた後、次に問題となるのは「妖魔勢力の器」です。これは、妖魔族ファントムが精神生命体であり物質世界では器がなければ、弱体化させた分体を構築しなければ存在を維持出来ないためです。しかし、この問題はカザリーム改めカガリの”妖死冥産バースディ“を利用して器を創造しているので、解決しています。

 器は9体ですが「戦争は質」なので、三妖師とその副官を含む選抜された強者が受肉すれば戦力的には問題ありません。そこに熾天使セラフィムを召喚、憑依、融合させることで覚醒を促し、さらに「代行権利オルタナティブ」を与えることで全員が究極の権能を獲得しています。

 そこに蟲魔勢力も合流し、質、量ともに戦力は万全の状態に整えました。これにより軍勢は大雑把に、以下のようになっています。

妖魔勢力
  • ミカエル
  • フェルドフェイ
    • ザラリオ
      • 30万の妖魔軍団保有
    • ユウキ
      • 7名の妖天
    • ディーノ(魔陣営に内通)
    • ピコ
    • ガラシャ
蟲魔勢力
  • ゼラヌス
    • 十二蟲将(8名)
      • 計300万以上の軍団

 拠点となる”天星宮”に入るには専用の鍵が必要なので、防衛に戦力を割く必要がありません。そのため、少数精鋭の戦力が整ったタイミングですぐさま仕掛けることが出来ます。

魔陣営の準備

 天陣営の露見後、魔国連邦テンペストが戦争の事後処理に追われている内に白氷宮を強襲されてヴェルザードの引き抜きが行われたので、ギィがすぐさま動きました。魔王達の宴ワルプルギス発動です。

 裏切ったディーノを除く八星魔王オクタグラムで天陣営の指導者である「ミカエルの情報共有」、「自身らの権能確認」、「ヴェルダナーヴァ復活計画に対する考察」を行います。それにより、最初に狙われるであろう場所を絞り込みました。ヴェルザードと同じく美徳系究極能力を保有するレオンの領地”黄金郷エルドラド“です。

 魔陣営はそれぞれ統治している領地があるため、容易に動けません。つまり、守備側に回らざる負えないため、後手で常に主導権を握られる側になります。そのため、魔王間での連携を強化する目的で「魔国連邦テンペストを中心とした連携網」を確立しました。

 覚醒者が多く、ラミリスの迷宮により侵攻難度が高い魔国連邦テンペストは余裕があるので、自国の戦力を割いて他の魔王各国に”聖魔十二守護王”を数名ずつ派遣します。さらに迷宮への転移魔法陣を設置することで避難経路(戦力追加派遣経路)を確立、迷宮から派遣員への定期連絡により情報共有を円滑にしました。ちなみにギィは白氷宮に居ますが統治しているわけではないので、第一の侵攻先候補であるレオンの領地に滞在しています。

 また、ディーノを内通者としており、三妖師の1人であるオベーラが妖魔軍団の片翼ごと裏切ってミリムの配下になることが決まっているため、天陣営の準備状況と戦力ダウンを行えています。ちなみにリムルの他の魔王の戦力は大雑把以下になっています。

黄金郷〈ルべリオス〉
  • レオン
    • 騎士団
      • 黒、白、銀、赤、黄、青が既出
      • 数は不明
    • 魔法騎士団マジックナイツ
      • 数は不明
  • ギィ
    • レイン
    • ミザリー
      • 6名の配下悪魔公デーモンロード
        • 配下の数不明
  • ディアブロ
聖虚ダマルカニア
  • ダグリュール
    • グラソード
      • 配下の数不明
  • ウルティマ
    • ゾンダ
    • ヴェイロン
ミリム領
  • ミリム
    • ミッドレイ
      • 武僧神官僧
      • 雇われ後方支援軍
    • カリオン
      • 飛獣騎士団
    • フレイ
      • ミリム親衛隊
    • オベーラ
  • カレラ
    • エスプリ
  • ゲルド
    • 黄色軍団イエローナンバーズ
    • 橙色軍団オレンジナンバーズ
      • 計35000名
  • ガビル
    • 飛竜衆ヒリュウ
      • 100名
  • 総計20万強
神聖法皇国ルべリオス
  • ルミナス
    • ヒナタ
      • 聖騎士団クルセイダース
        • 計百数十名
    • ルイ
      • 法皇騎士団ルークジーニアス
        • 計30名
    • ギュンター
      • 吸血鬼族ヴァンパイア
        • 数は不明
  • シオン
    • シオン親衛隊
      • 約1万名
  • アダルマン
    • アルベルト
    • ウェンティ
      • 死霊アンデッド
ジュラ・テンペスト連邦国
  • リムル
    • ベニマル
      • ソウエイ
        • 月影衆クラヤミ
      • 赤色軍団レッドナンバーズ
      • 青色軍団ブルーナンバーズ
      • 緑色軍団グリーンナンバーズ
      • 黒色軍団ブラックナンバーズ
    • ゼギオン
      • アピト
    • クマラ
    • ランガ
  • ラミリス
    • ベレッタ
    • トレイニ―
      • 迷宮管理員(樹妖精ドライアド
    • 竜王ドラゴンロード4名
  • ヴェルドラ
    • カリス

 また、人間国家ですがカガリより「三勢力の魔王」とも張り合えると称された帝国は、魔国連邦テンペストに敗北したとはいえ3/4以上の戦力を維持出来ているので戦力と考えても良いかもしれません。というかヴェルグリンドが強化されて、大軍バフ&統制のマサユキが帝王に座し、テスタロッサの派遣される、と言った感じで、技術力の高さを維持出来ていることも相まって強化されているのではないでしょうか。

 これで魔陣営の迎撃準備も整いました。後は天陣営の侵攻を待つのみです。

 ちなみに、基軸世界における魔陣営の大雑把な位置関係は以下になります。

転生したらスライムだった件13.5巻,p148より引用

前哨戦

 前哨戦はレオン攻防戦となります。攻め手は天陣営ですので、天陣営の思惑を解説します。

前哨戦:天陣営の思惑

 天陣営としては、大前提としてヴェルドラの”竜の因子”を獲得するために魔国連邦テンペストの迷宮を攻略する必要があります。しかしマサユキ&ラミリス暗殺作戦から分かるように、迷宮は防衛側が圧倒的に有利な領域で天陣営も無策で突っ込むわけにはいきません。迷宮内に隔離されて消耗戦でも仕掛けられれば、補給路が多い魔国連邦テンペストに完全敗北の憂目に遭います。

 そこで、まずは魔国連邦テンペストの周りから墜とす必要が出てくるわけです。少数精鋭で周囲を固める国を次々に崩すことで、手足からじっくり切り落としていく作戦になります。

 また、ミカエルには天使系究極能力保有者を強制的に支配する「天使長之支配アルティメットドミニオン」があるので、ヴェルザードの時と同じように戦力補充と敵戦力ダウンの両取りをすることが出来ます。なのでレオンを最初の侵攻候補としました。

結果

 天陣営の導入人員と、エルドラドの防衛人員は以下です(〇は超級覚醒者ミリオンクラス)。数は圧倒的に多い防衛側ですが、戦闘に参加できる超級覚醒者ミリオンクラスが少なすぎるため天陣営が圧倒的に有利となります。

侵攻サイド
  • フェルドフェイ〇
    • ザラリオ〇
    • ピコ〇
    • ガラシャ〇
    • ユウキ〇
      • 妖天7名〇
防衛サイド
  • レオン〇
    • 騎士団
  • ギィ〇
    • レイン〇
    • ミザリー〇
      • 配下悪魔
  • ディアブロ〇

 本来なら魔陣営の事前準備によりすぐさま魔国連邦テンペストの援軍が増員されるはずでしたが、ヴェルザードの隔離結界により事前に設置した設置型転移魔法陣が起動不可。周りは海なので、海路や空路が発展していないエルドラドは孤立無援となりました。

 そこに侵攻の裏で発生したオベーラの裏切り発覚により、フリーだったフェルドフェイが指揮を二の次にしてレオンを支配。その後、カガリの要請により参戦したラプラス、レオンの要請により参戦した”神祖高弟第三位”シルヴィアの2名による奮戦、ユウキの被支配状態脱却による反抗およびカガリの被支配状態解除などがありましたが防衛側の不利は覆らず。

 飛車角であるギィとディアブロはヴェルザードとザラリオに抑えられ、王であるレオンを獲られた状態でフェルドウェイが終始フリー。さらにフェルドフェイの仕込みにより神祖高弟第一位である魔導大帝ジャヒル参戦および不意打ちによりユウキ負傷。(神祖高弟第二位はルミナスとのこと)

 リムルが周辺海域に転移し到着したものの時すでに遅し。ユウキとラプラスは消滅し、レオンを獲り返すことは出来ず天陣営は撤退。天陣営側は妖天が数名敗北したものの、大した損害は無し。

 前哨戦は天陣営側の勝利となります。

魔陣営の収穫

 とはいえ魔陣営の損害も抑えています。レオンを獲られたとしてもリムルが相対すれば被支配状態を解除できるので、事前に「獲られた場合は次の戦場でレオンを足掛かりに反撃する」とレオンを含めて決めていたとのこと。

 また、天陣営の目的がレオン個人だったこともありエルドラドに被害はあれど致命的ではなく、リムル達増援が来るまで騎士団や悪魔達が上手く立ち回ったおかげで人的被害も抑えれたようです。さらに厄介種である「天使長の支配アルティメットドミニオン」の発動条件だけでなく、究極能力『正義之王ミカエル』を「並列存在」で複製しミカエルをフェルドフェイの二人が所有していることも看破しました。

 オベーラも自身の軍団を犠牲にしたものの、ミカエルの追撃を振り切りミリムに合流しています。またエルドラドに出撃した天陣営の内4名が戻らず、質的には十分な補填が出来ていてもただでさえ少ない人員がさらに少なくなったので、天陣営の手を確実に殺いでいるとも言えるでしょう。

 ちなみに、レオンを失ったエルドラドはギィが滞在を延長して面倒を見るようです。

天陣営:再編

 レオンを奪い魔陣営の戦力を削ぐとともに、ジャヒルを獲得し、ユウキの部下であった妖天のヴェガが強化されることで戦力の補填は出来ました。とはいえオベーラが裏切ったため妖魔軍の再編は必要です。以下にように再編されました。

最高指揮フェルドフェイ
三星師フェン/ザラリオ/ジャヒル
七天凶将ヴェガ/レオン/ディーノ/ピコ/ガラシャ/アリオス/古城舞依マイ・フルキ
妖魔軍の指揮系統

 最高指揮は変わらずフェルドフェイが行い、その下となる軍団の指揮官はザラリオ、ジャヒルに加え魔王ダグリュールの弟であるフェンを勧誘し配置。さらに下に7人の凶将を置く形になりました。ヴェルザードは対ギィ専用戦力なので、天陣営所属ですが妖魔軍には配置されていません。エルドラドに滞在し続けるギィをそこに封じる役目を与えられているのでしょう。

 妖魔軍再編が終わり、天陣営のもう一角である蟲魔軍団の侵攻先も決定したため、早速次の侵攻作戦へ移行します。

緒戦

 冒頭で言ったように火種が世界中へ一気に広がり、本格的な大戦が始まります。

天陣営の作戦

 天陣営は人員を全て使い魔陣営を攻め立てます。

 魔国連邦テンペストへの侵攻が最後で、まずは周辺の手足からというのは変わらずの趣旨です。なので、次の魔王領域に移ります。ヴェルザードにより隔離可能なギィと最終目標のリムルを除けば、残りの魔王はミリム、ダグリュール、ルミナスの三名です。

 そこでまず、地形上隔離しやすいダマルカニアへ妖魔軍精鋭を注ぎ込み侵攻し、ダグリュールを墜とします。同時に蟲魔軍を魔陣営最大勢力であり魔国連邦テンペストに隣接するミリム領へ侵攻させ、ミリムを抑えます。

 また、マサユキを媒介にしたルドラ復活の可能性は未だ健在です。ギィに並ぶ二大巨頭としての実力もそうですが、ミカエルはルドラの肉体を使っていることから不具合が発生するかもしれないため、復活阻止は優先度の高い任務です。そこで西と東で同時に勃発する大戦を囮にして、失敗していたマサユキ暗殺計画を再実行します。

 ちょうどマサユキはイングラシア王国の世界会議出席の為に西欧へと赴いていました。なので暗殺はイングラシア王国で行われることになります。

ダマルカニア侵攻組
  • フェン
    • レオン
    • ディーノ
    • ピコ
    • ガラシャ
  • ジャヒル
ミリム領侵攻軍
  • ゼラヌス
    • 蟲将8名
      • 蟲魔全軍
マサユキ暗殺組
  • フェルドフェイ
    • ヴェガ
    • アリオス

 残る三星師のザラリオはルミナスへのけん制のために妖魔全軍を率いて待機します。なので情勢図は以下になるでしょう。

戦況

 まずミリム領は拮抗状態に嵌まります。

ミリム領侵攻サイド
  • ゼラヌス〇
    • 蟲将8名〇
      • 蟲魔全軍

計300万以上

ミリム領防衛サイド
  • ミリム〇
    • ミッドレイ〇
      • 武僧神官僧
      • 雇われ後方支援軍
    • カリオン〇
      • 飛獣騎士団
    • フレイ〇
      • ミリム親衛隊
    • オベーラ〇
  • カレラ〇
    • エスプリ
  • ゲルド〇
    • 黄色軍団イエローナンバーズ
    • 橙色軍団オレンジナンバーズ
      • 計35000名
  • ガビル〇
    • 飛竜衆ヒリュウ
      • 100名

総計20万強

 規格外のミリムと未知数のゼラヌスは戦場に出ず互いに睨み合いで、蟲将は全員が超級覚醒者ミリオンクラスというわけではないようなので、質という面では拮抗しています。しかし、蟲魔族インセクトは圧倒的な数が存在し、主流の遠距離範囲攻撃手段である魔法に対し絶対の耐性を有しています。さらに、異界の種族故の高い存在値や生態故の「上位者を絶対とした恐怖を排した精神性」から、士気が落ちることはなく殲滅されるまで止まりません。

 だからこそ消耗戦になれば防衛サイドは数に呑まれて敗北します。単純に考えて戦力比が15:1ですからそれも仕方がありません。そこで、魔国連邦テンペストから追加でベニマル直属の精鋭である紅炎衆クレナイ300名と緑色軍団グリーンナンバーズの精鋭である狼鬼兵隊ゴブリンライダー100騎、さらにゴブタの補佐としてランガも送られました。

ミリム領への増援
  • 紅炎衆クレナイ
    • 300名
  • 狼鬼兵隊ゴブリンライダー
    • 100名
  • ランガ〇

 19巻ではここまでですが、開けた戦場なので遊撃部隊である狼鬼兵隊ゴブリンライダーが重要になるでしょう。さらに言えば、隊長であり広域殲滅の権能を保有するランガと同一化できるゴブタに注目です。

 次にダマルカニアです。

ダマルカニア侵攻サイド
  • フェン〇
    • レオン〇
    • ディーノ〇
    • ピコ〇
    • ガラシャ〇
  • ジャヒル〇
ダマルカニア防衛サイド
  • ダグリュール〇
    • グラソード〇
      • 配下の数不明
  • ウルティマ〇
    • ゾンダ
    • ヴェイロン

 妖魔族ファントム巨人族ジャイアントも生まれながらの強者でなので、軍団の実力は拮抗するでしょう。またジャヒルは遊撃の指揮のため戦場に出ず、ディーノとピコ、ガラシャはやる気の問題で手を抜き、レオンは支配状態でも心核ココロは切り離しているので全力を出さないようにセーブしています。

 そのため、勝敗の行方はフェンとダグリュールの兄弟対決に左右されます。結果的にフェンがダグリュールと魂を同期させ、ダグリュールが天陣営へ鞍替え。配下の巨人族ジャイアントも取り込んだ大勢力へ膨張し、派遣されていたウルティマは孤立しました。

 しかし前哨戦で打ち合わせていたように、レオンを反撃の糸口とするためにリムルがダマルカニアへ出撃します。レオンは無事支配状態を解かれ、反撃かと思われました。ですが、さらに上手を行った天陣営は、そこにミカエルを潜ませていました。

天陣営の保険

 天陣営はヴェルグリンドが支配状態を脱却出来たことをリムルに関連付けています。「リムルには直接相対することで支配を解除できる」と予想し、レオンを糸口に反撃に出ることをフェルドフェイは推測したようです。

 そのためフェルドフェイはレオンが居る戦場にリムルが釣れる可能性が高いことから、そこに保険としてミカエルを配置し確実に討っておくことにしたわけです。レオンと同じく支配により天陣営へ協力させているディーノをセットで置いたのも、リムルを誘き出せる可能性を上げるだめでしょう。

 まんまと引っかかったリムルはミカエルの時間停止により絶体絶命に陥ります。とはいえ、リムルが打たれる可能性はシエルが出来る限り対処しています。

シエルの保険

 そもそも、リムルは殺されたとしてもヴェルドラが居る限り死にません。これはヴェルドラにも言えるので、リムルとヴェルドラを討つには同時に倒すしかないわけです。

 ですがシエルは、リムルが一度死亡することを許容出来ないので秘密裡に護衛を着けていました。シエルが想定できる攻撃手段でリムルが対処できないのは時間停止ぐらいなので、予め時間停止に対処できるクロエを配置していました。

 クロエは並列存在のミカエルを打倒し、吸収することで覚醒。さらに、その場に潜んでいたもう一人のミカエルも時間停止を習得したリムルに打倒されました。これによって、魔陣営最大の障害を討つはずだった天陣営は、逆にまとめ役であった主導者を討たれる形になりました。

 ですが天陣営のダマルカニア勢力はミカエルが先に行かせた影響で、健在なままルべリオスへ進軍しています。

 最後にイングラシアのマサユキ暗殺です。

 イングラシア王国出身であったヴェガが王国の裏側で行われている魔人作成実験の実験体を取り込むことで、妖魔軍の為の器を多数獲得します。それにより魔王種クラスの妖魔族ファントムだけでなく、覚醒者である妖天も新らたに発生しました。

襲撃サイド
  • フェルドフェイ〇
    • ヴェガ〇
      • ライナー〇
      • 受肉した妖魔族ファントム約100名
    • アリオス〇
防衛サイド
  • マサユキ
  • ヴェルグリンド〇
    • 帝国近衛騎士数名
    • ヴェノム
  • テスタロッサ〇
    • モス〇
    • シエン
  • ヒナタ〇
    • 聖騎士団

 受肉後に暴走した妖魔族ファントムを攪乱に使い、ライナーのような暴走しなかった妖魔族ファントムとヴェガで主戦力を引き付けている間に、殺人特化のアリオスがマサユキを暗殺するシナリオでした。

 しかし、マサユキの幸運により暗殺が失敗するだけでなく、味方へのバフにより戦況が拮抗。その後ヴェガが妖魔族ファントムを犠牲に邪龍獣を生成したり、ヴェルグリンドがフェルドウェイに傷を負わされたりするも、ヴェルグリンド負傷により引き出された怒りとミカエルの並列存在がクロエに打倒されてルドラの肉体情報が還元されたことが重なり、マサユキが覚醒。

 死んだ過去の英傑を召喚する反則技でグランベルとダムラダを召喚し邪龍獣を倒すだけでなく、ヒナタの勇者覚醒やモスの完全体披露により邪龍獣の討伐が完了。さらにヒナタとテスタロッサのタッグによりヴェガが、マサユキ(ルドラ)によりフェルドウェイが敗走しました。

 これによりイングラシア王国でのマサユキ暗殺作戦は完全な失敗となっただけでなく、「ルドラへの覚醒」という懸念していた最悪の事態を引き起こしてしまいました。また、アリオスが死亡しフェルドウェイ自由に配置できる配下妖天が古城舞依のみとなり、層の薄さが露呈してきました。

今後の動向

 ここからは20巻以降の大戦についての考察になります。

天陣営の現状

 現状の天陣営は以下の構成に変化しました。

妖魔軍
  • フェルドウェイ
    • フェン
    • ダグリュール
      • グラソード
        • 巨人族ジャイアント
    • ジャヒル
    • ザラリオ
      • 妖魔族ジャイアント
      • ヴェガ
      • ディーノ
      • ピコ
      • ガラシャ
      • 古城舞依
蟲魔軍
  • ゼラヌス
    • 蟲将8名
      • 蟲魔族インセクト

 妖魔軍はミカエルがクロエ、リムルに取り込まれ、アリオスが邪龍獣の生贄とされ死亡、レオンも奪い返されました。複製した『正義之王ミカエル』はフェルドフェイに与えられたままですが、保有者であったミカエルが消滅した影響は分かりません。最悪の場合は権能が消滅するかもしれません。まあ並列存在での複製なので、普通ならば一方が消滅してももう一方は無事でしょう。

 ですが、リムルは『豊穣之王シュプ=ニグラド』によりヴェルグリンドの『炎神之王クトゥグア』の権能「次元跳躍」を用いて”時空連続攻撃”が行えるので、並列存在だとしてもまとめて吸収される懸念があります。もしも権能が消滅していたら支配により協力していたディーノ、ピコ、ガラシャの凶将が抜ける可能性があります。

 とはいっても、それでもまだ天陣営が有利です。なによりダグリュールの加入が大きいでしょう。レオン達凶将が抜けても、ダグリュールが居るだけで穴が埋まります。また、成長著しいヴェガが上手く逃げおおせたので、まだまだ強くなるでしょう。そういう意味では、凶将はヴェガが居れば十分とも言えます。

 また蟲魔軍も底を見せておらず、ゼラヌスが眷属を生成すれば数はいつでも補充出来そうです。

 そのため、天陣営は打撃を受けていながらもなんだかんだ戦力を維持しています。主導していたのはミカエルなので、ミカエル亡き後のフェルドウェイの手腕が試されます。蟲魔軍はもう手綱を握る必要が無い段階に来ているので、妖魔軍の統制さえ出来れば大戦の有利は覆りません。

戦線俯瞰

 そのため現状の情報から推測される天陣営の今後の動向は以下になります。

 ミリムとゼラヌスの膠着はそう簡単に崩れないとすれば、大戦の今後を決める主戦場はルべリオスになります。というのもルべリオスへの侵攻には幹部を含めた妖魔全軍が加わることになるからです。

 ダグリュール、フェン、ジャヒルに加えルナミスけん制のために待機していたザラリオ軍も合流し、撤退したヴェガとフェルドウェイ以外が参戦することになります。そうなれば超級覚醒者ミリオンクラスが少なく、三星師の全員に単体での戦闘力で劣るであろうルナミスでは進軍を食い止めることはできません。

 ルべリオスを墜とせば西欧諸国が落ちたも同然です。魔国連邦テンペスト以西の征服は容易でしょう。そうして西に目が向けば、東の帝国内に存在するであろう地獄門が奇襲用に生きます。そうなれば迷宮にいるヴェルドラを引っ張り出すことが出来るでしょう。

 フェルドウェイの本体を出てきていませんし、巨人三兄弟の巨神合体もあるでしょうからまだまだ余裕があります。

 ですが逆に言えば、ルべリオス攻防戦で魔陣営に敗北すれば大戦での勝利はありません。

魔陣営の今後の対応

 魔陣営も拮抗できているミリム領攻防戦よりも、妖魔軍が進軍しているルべリオス攻防戦の方が優先だということは分かっているのでしょう。

ルべリオスでの対応

 ダマルカニアへ派遣されていたウルティマはルべリオスへ移動。ディアブロもレオンを魔国連邦テンペストに移送し終わったらすぐにでも合流するでしょう。

 また、世界会議に出席していたヒナタたち聖騎士団クルセイダースも帰国し防衛に回るでしょう。そうなるとルべリオス戦で予想される戦力図は以下になります。

ルべリオス侵攻サイド
  • ダグリュール〇
    • グラソード〇
      • 巨人族ジャイアント
  • フェン〇
  • ジャヒル〇
  • ザラリオ〇
    • 妖魔族ファントム
    • ディーノ〇
    • ピコ〇
    • ガラシャ〇
ルべリオス防衛サイド
  • ルミナス〇
    • ヒナタ〇
      • 聖騎士団クルセイダース
    • ルイ
      • 法皇騎士団ルークジーニアス
    • ギュンター
      • 超克者
  • シオン〇
    • 親衛隊
  • アダルマン
    • アルベルト
    • ウェンティ
      • 不死軍
  • ウルティマ〇
    • ゾンダ
    • ヴェイロン
  • ディアブロ〇

 存在値1000万以上が四名居り、超級覚醒者ミリオンクラスの多い侵攻サイドですが、ディーノは士気問題で足を引っ張る可能性が高く、同じような理由でピコとガラシャはウルティマ1人で抑えることが出来ます。またアダルマン、アルベルト、ウェンティは超級覚醒者ミリオンクラスではありませんが、究極贈与アルティメットギフトを有する覚醒者です。アダルマンは大軍バフと大軍生成に長けているので、数は問題にはなりません。

 聖属性の攻撃が有効打にならない妖魔族ファントムを不死軍が担当し、ルミナスが長年対策を考してきたであろう巨人族ジャイアントを聖騎士団等が担当すれば拮抗可能でしょう。ザラリオもディアブロが抑えられることを考えれば、残りのダグリュール、フェン、ジャヒルと対峙するであろうルミナス、ヒナタ、シオンの女性陣が全てを握っていると言っても過言ではありません。

 勇者に覚醒したばかりのヒナタならば、これから更に進化すればジャヒル辺りには万が一があるでしょう。また、神祖高弟第2位でもあり神祖を討った本人でもあるルミナスの神聖魔法は防御無視なので、フェンやダグリュールにも通用するでしょう。シオンも正攻法で唯一リムルを倒せる可能性がある配下なので、究極の権能獲得を視野に入れれば防衛サイドで最もフェンやダグリュールを討てる可能性が高いでしょう。

 リムルがミカエルの保有していた「7つの天使系究極能力の情報」と「ヴェルザードの竜の因子」を獲得したことも、今後の配下の強化に繋がるかもしれません。また東の帝国内に存在するであろう地獄門があることはリムルも考慮しているので、テスタロッサに地獄門を捜索し潰すように命じれば天陣営の奇襲が行えない可能性があります。テスタロッサには捜索で絶大な力を発揮するモスが居るので、地獄門破壊の可能性は高いでしょう。

ミリム領での対応

 また、ミリム領攻防戦も蟲魔軍が未知数な為不安要素は多いですが、近藤の権能と技量レベルを継承したカレラやミリムによって鍛えられたランガinゴブタも未知数です。また、ガビルも現在成長中とされていますし、カリオンやフレイは危機に陥れば究極能力を獲得する可能性が高いです。

 こんな感じでまだまだ天陣営が有利ですが、魔陣営へ戦況が傾く要素も多くあります。なので重要になるのは第三勢力の介入です。

第三勢力の出現

 一番の注目は、19巻の最後で進化の眠りについた”滅界竜”イヴァラージェでしょう。眠りが覚めれば確実に参戦してきますし、そうなれば基軸世界に幻獣族クリプテッド大量発生なんてことがあるかもしれません。

 幻獣族クリプテッド含むイヴァラージェの対処は妖魔族ファントム蟲魔族インセクトが長年手を組んできた事案なので、基軸世界に乱入してくれば大戦は混乱必至でしょう。というか敗走したフェルドウェイが本体を使ってイヴァラージェを基軸世界に開放する可能性も高いので、確実に大戦をひっくり返します。

 またそれに乗じて、ユウキが動く可能性も考慮しなければなりません。ユウキはラプラスと共にジャヒルの攻撃で消滅しましたが、ユウキを召喚したカザリームがレオンに討たれた後「肉体を求めて魂のみでさ迷っていた」ことを考えれば、ユウキ復活の可能性は高いです。というか、ちょうどイヴァラージェが”悪意”を獲得し進化しているので、物語の序盤から”悪意”を振りまいてきたユウキの器としては最高なのではないでしょうか。

 イヴァラージェに憑依したユウキとかありそうです。そうなったらもはや「ギィ&ヴェルザード姉夫婦」と「ルドラ&ヴェルグリンド妹夫婦」のコンビカルテット?が手を組んで対処しなければいけない事態でしょう。というかそれを観てみたい。

 ともかく、イヴァラージェが復活直後に発生する場所によって戦況は簡単にひっくり返るという事です。フェルドウェイが誘導するならば帝国にある地獄門を使うでしょうか。ユウキならば孤立しており、以前痛い目に合わされたギィを狙うかもしれません。

 魔国連邦テンペストには悪魔組が居り地獄門は存在しないと思われるので、初手から魔国に出現することは無いでしょう。ソウエイに捜査を命じたダマルカニアの”天通閣”もまだ何かありそうです。「ミリムとギィの衝突による大破壊をダマルカニア周辺から逃がしたために、次元の綻びから破壊の衝撃が漏れ出ている」となっていたので、ダマルカニアに発生する可能性も高そうです。

 もしダマルカニアに出現したら、ルべリオス攻防戦がどうなろうと「両軍諸共壊滅」なんて言う結果にもなりかねません。その後は威容を見せつけるように西欧諸国を滅ぼしていき、魔国連邦テンペスト本国で対処することになったり。


 ひとまず現状で予想できることは以上でしょう。魔国の迷宮防衛戦は発生しようにも、どういう経過で行われるかが分かりませんし、迷宮浸蝕編で活躍するとされるゼラヌスが迷宮で暴れるのかミリム領で暴れるのかによって色々と状況が変わります。

 迷宮浸蝕があるということはヴェガが魔国連邦テンペストに赴くということでしょうが、その経緯も分かりません。テスタロッサにやられた後、過激化する大戦を囮にして魔国連邦テンペストに到着するのでしょうか。フェルドウェイが舞依にヴェガの回収を命じていれば動きも代わるのでしょうが…。

 ゼラヌス対ミリム、ヴェルザード対ギィ、ダグリュール対シオンなどまだまだ気になるマッチアップも多いですし、今後の展開には期待が高まります。

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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