ヒカ碁逆行系SSに欲しい展開

SS要望書

 私は以下の記事で綴ったように逆行系の二次小説が好きで、特に【ヒカルの碁】を筆頭に【家庭教師ヒットマンREBORN!】や【NARUTO】などを原作とした二次小説を愛読しています。

 逆行系は原作ストーリーの焼き直しやご都合救済が多いのでつまらないものは多いのですが、偶にそういったマイナス要素を排した作品はあらゆるジャンルの中でも最も多くの高評価を得ることになります。それはどの作品を原作にしていても変わらず、上にあげた3つを原作とした二次小説は特に高い評価を得ているジャンルは逆行系ばかりです。「強くてニューゲーム」が好きな人が多いのでしょう。

 今回は私の最も好きな二次小説である「ヒカルの碁の逆行系SS」について、どんな展開を持ち出す作品が面白いと思うかを解説していきます。個人的解釈と好みのオンパレードです。ご注意ください。

 良ければ最後まで読んで頂けると幸いです。


ヒカルの碁とは

 まず簡単にヒカルの碁を解説すると、主人公の「進藤ヒカル」に千年間成仏できない碁打ちの幽霊「藤原佐為」が取り憑いてから始まる物語で、佐為の影響で興味も無い囲碁と関わらざる負えなくなったヒカルの囲碁棋士としての成長と佐為の成仏を描いた「佐為編1巻~17巻」と、佐為成仏後に独り立ちしたヒカルの最初の戦いを描いた「北斗杯編19巻~23巻」で構成されています。

 また佐為編では、ヒカルが囲碁に積極的になるほど反比例するように佐為は碁を打つ機会が無くなっていきます。佐為は囲碁への未練で成仏できないので、佐為の「打ちたい病」が発症する度にヒカルは喧嘩していました。その後佐為は、自身が教え導いたヒカル弟子の示した一手に満足を覚え成仏したのですが、ヒカルは成仏した理由は知らず「佐為を無視した結果居なくなってしまった」と考えたのでめちゃくちゃ後悔します。

 これはその後払拭するのですが、この後悔が未練になり心残りになるので、そこからヒカルの逆行へと繋げることができます。

 そのため、ほとんどの逆行系はプロ棋士として実績を残した後の描写から始まり、そこから逆行に繋がります。ごくまれに佐為成仏直後の「後悔と絶望が絶頂となった時期」を逆行の起点にする人もいますが、その時も既にプロ棋士なので”強くてニューゲーム”なのは変わりません。

展開

 ヒカル逆行前のテンプレは、佐為も貢献した”本因坊”のタイトル獲得時、そこから何年か後、あるいは死亡後など様々ですが、だいたいが「何かをやり切った後の回想」から逆行へと繋がります。逆行は、子供時代に憑依する場合逆行先の記憶無し逆行前の記憶が思い出せていなかった場合逆行先の記憶有りがありますが、時期はどちらも小学生以下がほとんどです。これはヒカルが元来子供っぽいキャラで、義務教育もろくに受けずに社会人となったので子供からのやり直しが描写しやすいためでしょう。

 実力を付け自身の地位を確立した後なので、逆行自体が有難迷惑な状態になります。それだけでなく、幼少時のヒカルは囲碁に興味すら無かったので「碁を満足に打てない環境」がストレスとなり、さらに「ライバル塔矢アキラがいない状況」に喪失感を感じます。

 そんな虚無感極まる精神状態のヒカルがすがれる存在は佐為のみです。だからこそ佐為は出さずに、ヒカルをさらに突き落して欲しいのです。

佐為不在

 これは佐為がヒカルの拠り所になってしまうからです。ヒカルは独り立ちしてプロで活躍し出した後も、佐為が重要な位置を占めています。というのも、ヒカルが佐為成仏時における後悔を払拭した理由が「ヒカル自身の打つ碁の中に”佐為の碁”がある」と気づいたからである以上、碁を打ち続ける限り佐為を支えにし続けるからです。

 実際に作中でも、厳しい状況で「佐為の手を再現することで打開する」といったこともありました。このように、窮地を佐為の思い出で切り抜けるという状況が考えられやすいので、原作終了後も佐為の存在が大きいことは容易に想像できます。

 だからこそ、ヒカル逆行系SSの最大の要点は「ヒカルの精神的な成長」にあります。佐為に依存気味だった精神を独り立ちさせることで成長を促す展開に引き寄せられます。

 なので、佐為は不在の方が面白いと思います。

 もちろん佐為が出ても面白いSSはあります。そういった場合は、「逆行前に共に過ごした佐為」と「まだ自身と会う前の佐為」の違いを、佐為卒業のきっかけに使えます。

塔矢アキラとの非接触

 これは前提の佐為不在に近い理由で、ヒカルにとっての師匠であり相棒として内側で支えていた存在が佐為ならば、ライバルであり超えるべき壁として外側から支えていた存在がアキラになるからです。例え気落ちしていても反骨神さえ生きていれば、アキラが外から押すことでやる気を煽られて壁に立ち向かうようになります。

 なので、佐為に憑かれておらず精神的に孤独な状態の場合、アキラは唯一の依存先になります。そうすると前述の通り、ヒカル自身の精神的な成長が成されません。それに逆行後のアキラはヒカルのライバルだったアキラではありませんので、変に接触すれば「ライバルが居ない」という意識に実感が籠ってしまう可能性大でしょう。

 そうすれば「碁の師も好敵手も居ない」という意識による孤独への意識は深まり、「病みヒカル」まっしぐらです。その時用の支える系のキャラが居れば良いんですが、基本的にヒカルの碁は場を繰り上げるごとに「追いかけてこない既存キャラを置き去りにしていく」という特色があるので、そんな都合の良いキャラを用意できるのかどうか。

 ヒカルの精神を支える系の原作キャラに適任者が居ないので、オリジナルキャラクターを構築するのが一番の回答だと思います。次点で家族の支えですね。というよりも精神的な支えなら家族が一番無難でしょう。【ヒカルの碁】を破綻させる、というリスクを回避できますし。

 まあ結局何が言いたいかというと、ヒカルは適役な誰かに心を癒され支えられてからアキラと向き合って欲しいということです。それならアキラにも良い影響を与える展開に持っていきやすいと思うし、不安要素が無い分ヒカルとアキラの絡みを存分に楽しめます。

 まあ、この通りの展開をすると物語の要点となるヒカルの精神的な成長が終わった後なので、アキラとの絡みは終盤および後日談になってしまうのですが。ちなみに、ヒカルとアキラを早期接触させることは嫌な展開になりがちですが、アキラを出すこと自体は序盤からちょくちょく出した方が良いと思います。

プロ以外の選択肢

 これは終盤以前にプロになって欲しくないというだけで、終盤後ならプロ棋士になっても良いと思います。というのも、ヒカル逆行系SSのヒカルはタイトル獲得後が大半であるという前提があるため、ぶっちゃけヒカルにとってプロになって成長できる点が無さそうなんですよね。

 もちろん、佐為や塔矢父のような求道的なものではなく、後進育成や囲碁の普及のための資格としてプロ棋士位を得るのは良いと思います。あくまで日本囲碁界のトップ争い以外の道を行っていた方が面白いというだけです。

 それに「視野が広がった」という分かりやすい表現になるので、他の選択肢を選ぶというのは良い展開だと思います。それこそ、海外勢と積極的に絡む展開とか欲しいです。誰か書いてください。


 以上が、ヒカルの碁原作の二次小説の内「逆行系SS」で欲しい展開の解説になります。

 綴っててここまで欲望全開な記事になるとは思ってなかったですが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 誤字脱字等の間違い、あるいは各々好みの展開や要素等をコメントで教えて頂けると幸いです。


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