魔法補助用デーモン

設定解説/考察

 【魔法科高校の劣等生】シリーズの続編である【メイジアン・カンパニー】ではシャンバラ文明の遺産を探っていますが、そのシャンバラ文明の物である様々な新要素が登場しています。
 中でも衝撃的なものが魔法補助用のデーモンです。

 今回は、それについて解説・考察していきます。

 最後までお付き合いいただければ幸いです。

魔法補助用デーモンとは

 シャンバラ文明では魔法を社会に組み込んでいて、それを可能にしているのが魔法を与える石板です。石板には魔法演算補助用のデーモンが宿っていて、それを魔法資質保有者メイジアンに与えることで特定の魔法の使用を容易にします。
 簡単に言えば「魔法を与えることが出来る」ということです。

 ちなみに、”デーモン”と呼称されていますが独自に機能する想子サイオン情報体なので、分類としては独自に機能する霊子プシオン情報体である”精霊”と同じ様なものです。「人造精霊」の方が近いでしょうか。

メリット

 与えられる魔法はデーモン1体につき1つですが、多種類のデーモンが存在しているので与えられる魔法の種類に制限はありません。また、規模的にも小規模の魔法だけでなく戦略級の大規模魔法まで与えることが出来るようです。

 魔法の補助機能の高さは凄まじく、生来の魔法資質では使用が難しい複雑で高度な魔法も魔法演算補助機器(CAD)等が無くても即時使用可能になります。

デメリット

 デーモンは魔法演算領域に宿ります。例えるなら人工魔法演算領域のような外付けの演算機ではなく、演算領域内部の演算機構を変化させるウイルスに近いでしょう。
 そのため、デーモンが補助する魔法以外が使いにくくなります。必ずしも魔法演算領域の全てをデーモンが補助する魔法用の演算機構に変化させるわけではありませんが、それは得られる魔法の規模と与えられる人間の魔法資質に依ります。

 もしも得られる魔法に対して魔法資質が高ければ魔法使用における自由度は大きくなりますが、魔法資質が低ければ魔法使用における自由度は小さくなります。魔法資質が低すぎる場合は他の魔法が使えなくなるだけでなく、最悪魔法演算領域のオーバーヒートによる死亡に繋がります。
 そのため、魔法を与えられる人間の魔法資質も見極める必要があります。

 以上が、魔法演算補助デーモンのメリットとデメリットです。そのため、正しくは”魔法を与える”というよりも”BS魔法師にする”というのが正しいかもしれません。
 ちなみに、BS魔法師というのは”先天的魔法資質保有者”のことで、特定の種類の魔法に特化した魔法師を指します。一芸に特化しているため出来ることは少ないですが、出来ることに絞れば他よりも大きな力を発揮できます。

 また、デーモンが宿る石板は据え置き型と携帯型が存在し、より規模の大きな魔法の演算補助を行えるのが据え置き型で、規模は小さくなるものの石板自体を持ち運べるのが携帯型になります。据え置き型では戦略級レベルの規模の魔法を与えることが可能ですし、携帯型でも「バベルの塔の神罰」のような複雑で高度な魔法を仕込まれています。

考察

 ここからは、魔法演算補助用デーモンについての考察を行っていきます。考察する事項は以下です。

  1. 魔法演算補助デーモンとパラサイトの関係
  2. BS魔法師とデーモンの関係

魔法演算補助デーモンとパラサイトの関係

 先述の通り、デーモンはシャンバラ文明を先史魔法文明として成立させていた一因であると考えられます。そのため、デーモンおよびそれを宿す石板はシャンバラ文明が創り上げたと考えて良いでしょう。
 しかし、だからといって魔法演算補助用のデーモン自体が完全に人工的な存在ではないでしょう。さすがにモデルがあるはずです。
 そして、デーモンと類似した存在がシャンバラ文明の遺産以外にも登場しています。それがパラサイトです。

 パラサイトは人間の精神に寄生する精神生命体で、”人間よりも魔法に近い存在”とされています。その理由が様々な魔法への恩恵にあり、寄生主が魔法に適正の無い人間であっても特定の魔法の適性が与えられます(魔法師に寄生した場合は宿主の得意魔法に適正が偏る)。特に魔法の発動速度は”超能力”と呼ばれている一点速度特化の魔法と同レベルになり、通常の魔法師では太刀打ちが出来ない速さになります。
 また、パラサイトは物理的な身体を得ていない状態でも魔法を使える為、生命体以外機械等に寄生した場合でも変わらず魔法を使えます。そのため、パラサイトには魔法演算領域がデフォルトで備わっていることが分かります。

 つまり、パラサイトは「宿主に魔法を与える存在」だということです。魔法を与えるデーモンと似ていますね。
 そこで、パラサイトとデーモンの共通点を挙げてみます。

  1. 物質的な存在ではない
  2. 魔法を与える(特化させる)
  3. 宿主が行動不能死亡等になった場合は宿主から抜け出す

 3つだけですが、似たようなシステムに見えます。シャンバラ文明はパラサイトへの理解が深いことが伺えるので、以上も踏まえると魔法演算補助デーモンはパラサイトをモデルに開発されたのではないかと考えらます。
 パラサイトが魔法関連で大きな恩恵を与えると分かったからこそ理解を深め、同様の存在を創り出したのではないでしょうか。

BS魔法師とデーモンの関係

 先述の通り、BS魔法師は先天的に特定の種類の魔法に特化した魔法師で、それによって他の魔法における使用の自由度が少なくなっています。その極端な例が主人公である司波達也であり、生来保有する魔法演算領域の全てが「分解」と「再成」の2種類の魔法に最適化されているため他の魔法が使えません。
 言ってしまえば、既に魔法演算補助デーモンに取り憑かれているのと同じような状態となっているわけです。

 あくまで、BS魔法師がデーモンに取り憑かれているのと同じ状態となっているだけで、実際に取り憑かれているわけではないでしょう。しかし、一部には知らずに魔法演算補助デーモンに取り憑かれている者もいるのではないかと考えられます。
 これは、魔法演算補助デーモンに類似した存在がパラサイトやシャンバラの遺産以外にも存在してることから考えたことです。

 第2巻の九島光宣にやられたFAIRの構成員は、死亡直後に肉体から想子サイオン情報体が抜け出ていました。そして、死亡したFAIRの構成員は特異な魔法を操るBS魔法師です。
 これについて、魔法演算補助デーモンと類似、あるいは同様の存在ではないかと作中でも言及されています。

 第6巻で、USNAのシャスタ山にもシャンバラの遺産が存在していると判明したことから、USNAにあるシャンバラの遺産をFAIRの構成員が偶然手に入れたのかもしれませんし、シャンバラ以外の遺産を手に入れたのかもしれません。ここで重要なのは、BS魔法師の中には知ってか知らずか自身の魔法適正を後天的に調整されている者もいるということです。精霊の眼エレメンタル・サイトを持つ達也も光宣でさえ死亡後の抜け出た剥き出しの瞬間のみしかデーモンを認識できないので、生来のBS魔法師かどうかを判別する術はありません。
 そのため、BS魔法師の一部には魔法演算補助デーモンを肉体に宿している者がいると考えます。

 シャンバラは北半球の中緯度帯に点在するとされていますし、各地で先史魔法文明の痕跡はあるので偶然遺産に触れる者は多くいるでしょう。このシリーズにはサイエンスよりもオカルトが増えるとされていますし、もしかしたらこれから先史魔法文明の影響を受けたBS魔法師が多く登場するのかもしれません。

まとめ

 今回は、魔法演算補助デーモンについて解説していきました。まとめると、以下のようになります。

  1. 先史魔法文明であるシャンバラ文明が創造した存在で、パラサイトをモデルとしていると考えられる
  2. 魔法資質保有者の魔法演算領域を調整し、BS魔法師にする
    • 魔法資質が不足していた場合は死亡する危険性がある
    • 魔法資質が大きければ使用できる魔法の種類の自由度が大きくなる
  3. シャンバラを含む先史魔法文明は各地に存在したことから、BS魔法師の中には知らずに先史魔法文明の遺産に触れて後天的にBS魔法師となった者もいると考えられる

 今回の記事は以上です。

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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