「乱獲」黒ひげ海賊団の動向

ONE PIECE(ストーリー)

 【ONEPIECE】は、”ワノ国編”の中盤にあった世界会議レヴァリー後から混沌の情勢へと急変しました。その原因は「七武海制度撤廃」や「革命軍の宣戦布告」がありますが、それをさらに大きくしているのが「黒ひげ海賊団」です。様々な陣営が入り乱れる現情勢で最も動いていると考えられ、荒れた盤面で浮いた駒を即座に搔っ攫う大胆な動きに出ています。

 正直言って「”四皇”ほどの大御所の癖に腰が軽すぎないか?」と思ってしまうほどのフットワークの軽さですが、それほどの好機なのでしょう。おそらくは現四皇最大の陣営だと思われる兵力の大半を動員していて、海賊王へ至るためのピースを乱獲しています。

 そこで今回は、世界会議レヴァリー終了後からの黒ひげ海賊団の動向について本誌掲載分まで触れながら、解説とそれ以外のまだ描写されていないと思われる動向の考察を行ないました。本誌掲載分までの情報を用いているのでネタバレにご注意ください。

 最後までお付き合い頂ければ幸いです。

簡易解説「黒ひげ海賊団」

 本題に入る前に、黒ひげ海賊団についての情報を簡単に振り返っていきます。(必要無い場合は「黒ひげ海賊団の動向」へスキップ)

 黒ひげ海賊団は、後に提督となる「”黒ひげ”マーシャル・D・ティーチ」が2年前に結成した海賊団です。”頂上戦争”の引き金となる「火拳のエース」を打倒することで七武海入りし、”マリンフォード頂上戦争”後に発生した白ひげ海賊団残党との”落とし前戦争”に勝利することで四皇となりました。

マーシャル・D・ティーチ

 黒ひげは豪胆な性格とは裏腹に用意周到な人間で、長年白ひげ海賊団で望む悪魔の実を待ち続ける「信望強さ」、事前に仲間を用意しすぐさま海賊として地位を確立させる「計画性」、悪魔の実の能力に関する定説を覆す「情報力」を兼ね備えています(能力複数保持に関しては黒ひげ個人の性質に依るものかもしれませんが)。また、得た能力の弱点を補う耐久性や四皇”赤髪のシャンクス”に傷を付ける意外性を持っていて、実力の真価を見せたことは有りませんが四皇に相応しい実力を持っていることは分かります。

アニメ ONEPIECE 第486話「ショーの開幕 明かされた黒ひげの企み」より引用

 因みに、保有している能力は2つです。
「ヤミヤミの実(自然ロギア系)」…悪魔の実を優先に引き寄せ触れた悪魔の実の能力者の能力を完全無効化する”全てを飲み込む闇”
「グラグラの実(超人パラミシア系)」…触れた空間に高振動を発生させ延長線上に大破壊を促す”地震の力”

船員

 黒ひげ海賊団のメンバーは結成時の初期に(黒ひげ含む)5名、頂上戦争時の追加メンバーが5人です。その後、元四皇白ひげのナワバリを乗っ取る形で陣営拡大していったため最大の勢力になっていると考えられ、黒ひげが”提督”、残りが大幹部として”十人の巨漢船長”となっています。
 また、各メンバーの分担は以下になります。

  • 提督…”黒ひげ”マーシャル・D・ティーチ
    1. “チャンピオン”ジーザス・バージェス(操舵手)
    2. “雨のシリュウ”
    3. “音越”ヴァン・オーガー(狙撃手)
    4. “悪政王”アバロ・ピサロ
    5. “鬼保安官”ラフィット(航海士)
    6. 若月みかづき狩り”カタリーナ・デボン
    7. “巨大戦艦”サンファン・ウルフ
    8. “大酒のバスコ・ショット”
    9. “死神”ドクQ(船医)

 大幹部はそれぞれが船長なので、10の分隊それぞれに船を持っている軍勢だと考えられます(傘下は別?)。また、十番船船長はまだ判明しておらず、有力な人物は「元海軍大将”青キジ”」とされています。

黒ひげ海賊団の動向

 ここからが本題となる黒ひげ海賊団の動向です。※ここから先は本格的なネタバレです。

判明している動向

 先述の通り黒ひげ海賊団は、世界会議レヴァリー前後から大きく動き始めました。それはもう大胆に、手広く。その動きは大きく分けて2つで、「万国トッドランド襲撃」と「女ヶ島アマゾンリリー襲撃」となります。

万国〈トッドランド〉襲撃

 黒ひげは、「ラフテル」の座標を示す海図である”ロード歴史の本文ポーネグリフ“を読み解くためのピースを得るために万国トッドランドを襲撃しました。

 「万国トッドランド」とは前四皇ビッグマムがナワバリとしていたいくつもの島々からなる国です。四皇なので当然ながら大軍勢を揃えていて、ビッグマム海賊団は「”世界最高の諜報能力”を持っている」とされているので、攻め込もうとすれば行動に移す前から把握され擦り潰されます。
 そのため、同じ四皇といえど襲撃となればアウェーなので敗北する可能性は高いですし、例え勝てても被害は甚大でしょう。そのため、通常なら黒ひげも襲撃しませんでした。しかし、今回は違います。

 ビッグマム海賊団は、四皇としての面子を潰した麦わらの一味を追って、同じく四皇カイドウのナワバリであるワノ国に遠征をしていました。遠征組には船長であるビッグマムはもちろん、中核を成すビッグマムの子供たちも大勢引き連れていました。これは四皇に攻め入るので当然と言えるでしょう。しかし、これにより万国トッドランドに残っている戦力は半減しています。
 黒ひげはこのチャンスにすかさず仕掛け、十の内二つの船団を襲撃させ目的の駒を奪いに行きました。

 万国トッドランドでは、麦わら襲撃の余波が収まりきっておらず既に混乱が発生していたのも相まって、任務に徹していた万国トッドランド襲撃船団は容易に目的を達成しました。因みに、この時点でビッグマムが敗北していたかは分かりません。黒ひげの思い切りの良さを考えれば、ビッグマムがワノ国へ行くと分かった時点で仕掛けていそうではありますが、そこまで思い切れるのかどうか。

女ヶ島〈アマゾンリリー〉襲撃

 黒ひげは、海賊団の戦力アップのために女ヶ島を襲撃しました。

 凪の海カームベルトに存在する女ヶ島「アマゾンリリー」は王下七武海の”海賊女帝”ボア・ハンコックが治める国です。先述の通り王下七武海制度は撤廃されたので、海軍は先手必勝とばかりにハンコックを含む元七武海を叩きに行きました。
 そこで黒ひげは、ハンコックが海軍に負けて捕らえられる前に「九蛇海賊団を傘下に入れる」か、そうならなかった場合は「ハンコックのメロメロの実を奪う」ために女ヶ島を襲撃しました。因みに、こちらには黒ひげ本人と六番船、八番船が出向いています。

 それにより海軍の侵攻中に間に合い、黒ひげは三つ巴を制してハンコックを捕らえました。結果的に”冥王”シルバーズ・レイリーの介入により目的を果たせず引くことになりましたが、当然ながら四皇がただで引くわけがありません。
 黒ひげはレイリーにより手出しを抑止されたハンコックの代わりに、海軍の部隊指揮をしていたであろうコビー大佐を攫って行きました。

 本誌の現状でもコビー大佐を攫った理由は分かりませんが、どうやら個人的にも因縁があるようですし何かしらの理由があるのでしょう。

勝利島の決闘

 黒ひげは、ロード歴史の本文ポーネグリフを獲得するためにワノ国からの3つの航路の内1つである勝利ウィナー島でルフィ/ロー/キッドを待ち構えていました。

 先述した通り、黒ひげはロード歴史の本文ポーネグリフを解読する駒を奪うために部下を動かしましたが、肝心のロード歴史の本文ポーネグリフ保有して揃えていません。これは4つのロード歴史の本文ポーネグリフの内2つを前四皇であるカイドウ・ビッグマムが保有していたからですが、両者は既にルフィ/ロー/キッドの同盟に敗北しているのでロード歴史の本文ポーネグリフは三者に渡っていると考えるのは易いでしょう。
 そのため、黒ひげは三者の内の誰かからカイドウ、あればビッグマムの保有するロード歴史の本文ポーネグリフを奪う為に先で待ち構えていました。因みにこの時点で女ヶ島襲撃から1~2週間は経過しているはずなので、女ヶ島を襲撃した提督黒ひげと万国トッドランドを襲撃した三番船船長ヴァン・オーガーも待ち伏せに加わっています。船には万国トッドランドで攫った駒もいたので、万国トッドランド襲撃組はハチノスに戻らず直で来たのでしょう。

 勝利ウィナー島には”死の外科医”トラファルガー・ローが来たため、ハートの海賊団との交戦に至りました。始まったばかりで決着は着いていませんが黒ひげ海賊団も半数の大幹部を動員しているので、物量差も相まって黒ひげ海賊団が勝利する可能性が高いでしょう。

 以上が、世界会議レヴァリー後の黒ひげ海賊団の動向で判明しているものです。

判明していない動向

 そして、未だ明かされていないであろう黒ひげ海賊団の動向の予想になります。

 先述したように、黒ひげ海賊団は海賊王レースを制するためのピースを集めていて、3つの襲撃もそのための乱獲行為です。しかし、進行中の決闘を除いても1つの目的が達成できていません。それが女ヶ島襲撃の目的であった「戦力アップ」です。
 カイドウ・ビッグマムの旧四皇が陥落したことで四皇でも随一の陣営に躍り出た可能性は高いですが、海賊は敵が多いのでまだまだ十分と言える戦力ではありません。そのための女ヶ島襲撃でしたが、海賊団の頂点でもある船長二名はハンコックに一蹴されてしまいました。つまり、大幹部といえど元七武海以下実力不足であると証明されてしまったのです。(まあ、七武海の中でも覇王色持ちのハンコック相手なので仕方ないと思いますが…)

 用意周到な黒ひげがこの自体を放置しておくとは考えにくく、未だ勢力図が安定していない現状なら大胆な動きの出来る黒ひげが動くことは明白です。そして、その伏線と思わしき事が一つあります。それが「コビー大佐の誘拐」です。

コビー大佐誘拐案件

 個人的に、コビー大佐の誘拐は海賊団の戦力増強に繋げるための動きだと考えています。その目的とする戦力が「セラフィム」です。

 コビー大佐は”ロッキーポート事件の英雄”と名高い軍人で、海軍の女ヶ島侵攻における前線指揮を任されていました(実際は不明)。また、戦闘中にはセラフィムへの指示を行っていた描写がありました。
 セラフィムは強力な分だけ厳重に制御権を定めていて、①五老星/②ベガパンク/③戦闘丸/④威権チップ所有者のみが指示することが可能となっています。命令の優先順位は数字の通りで、電伝虫での遠隔指示は不可能。上官の中将含む戦場の海兵のほとんどはハンコックにより石化されたため、コビー大佐は威権チップを与えられていのでしょう。

 黒ひげ視点ではセラフィムの制御権は分かりませんが、少なくともコビー大佐が制御権を持っていることは確実です。そのため、同じ戦場にいた黒ひげは「セラフィムの制御権を持っているであろうコビー大佐」を誘拐したのでしょう。
 もしもコビー大佐から制御権となる何かを奪う、あるいは洗脳できれば、セラフィムを主戦力としている海軍相手のアドバンテージを得たも同義ですから。

 また、黒ひげが海軍からの侵攻を受けた場合の消極策で満足するとは思えません。そのため、私は「黒ひげはセラフィムを奪おうとする」と考えます。

セラフィム強奪

 セラフィムはDr.ベガパンクの研究所が存在する「エッグヘッド」島に保管されています。おそらくは開発して間もないためでしょうが、まだまだ調整を必要としている描写もあるので、作戦行動に動員していない時は整備のためにエッグヘッドに置いているのでしょう。

 本誌1062話ではエッグヘッドには現在麦わらの一味が上陸しただけでなく、ベガパンクと政府の関係悪化でゴタゴタしています。島内では麦わらの一味を味方に付けたベガパンク陣営とベガパンク暗殺部隊であるCP-0がぶつかっていて、時期に到着するであろう大将”黄猿”率いる海軍の部隊の存在も考えれば混沌とした状況となっています。
 私は、ここに黒ひげ海賊団も参戦すると考えています。そう考えた理由は「何者かによる迎撃システムの解除」が発生したためです。

ONEPIECE 第1071話「英雄出撃」より引用

 まず迎撃システム解除の問題は、システム制御を担うコントロールルームに人影が無いにも関わらずシステムが弄られていることから、可能性として
①「カメラに映らない人間が潜入し操作している」
②「ベガパンクのサテライトの誰かが裏切っている」
③「クラッキングで遠隔操作している者がいる」
のどれかでしょう。とはいえ、②は裏切ったところでサテライトにも暗殺指令が出ているのでうま味が無く、③も”世界最高の頭脳”というベガパンクの前提が崩れるのでほぼ無いでしょう。そのため、①が有力です。

 「カメラに映らない」というのはパターンとして
A.透明人間
B.空間との同化
C.捉えられないほどの超速
となるでしょうか。Aはスケスケの実の能力だけでなく、ジェルマが「ステルス」を開発しています。Bはガスガスの実を筆頭に自然系ロギアの能力者ならばいくらか存在しそうです。Cは速さを売りにする人間ならば、サンジのように目にも止まらない速さで移動することはできます。
 とはいえ、3パターンの内のBとCはシステムの操作中に姿をさらさなければならないので、カメラに記録されてしまい特定されてしまいます。そのため、Aの「透明人間」が有力で、そこに当てはまるキャラがである黒ひげ海賊団二番船船長”雨のシリュウ”です。

ONEPIECE 第925話「ブランク」より引用

 シリュウは黒ひげの「能力者狩り」でスケスケの実の能力を獲得し、透明人間となっています。また、元”インペルダウン看守長”と政府の人間で、圧倒的な剣術により署長のマゼランと共にインペルダウンの双璧とされていました。

 つまり、シリュウは「元政府の人間のため政府の島であるエッグヘッドを知っている可能性がある、潜入捜査に適した能力を持った人間」なのです。攻撃手段も剣術なので、隠密行動に適していると言えるでしょう。
 また、先述の通り黒ひげ海賊団はセラフィムを戦力として獲得出来る可能性があり、そうなれば強奪に来る可能性があるのでシリュウがエッグヘッドで潜入・工作している可能性は多いにあると思います。

 少なくとも、迎撃システム解除によってベガパンク陣営とCP-0の激突は激しくなり、セラフィムは制御権を持っている人間から離されています。そのため、迎撃システム解除を解除した人間の目的がセラフィムである可能性はあるでしょう。
 もしもコビー大佐から威権チップを回収していて、それを持ってシリュウが潜入していたら今がセラフィム強奪における絶好のチャンスになります。黒ひげの手広さと大胆さならやってもおかしくは無いと思いますが、どうでしょうか。

まとめ

 最後に、大雑把に黒ひげ海賊団の動向を時系列を整理し、まとめました。

エッグヘッド潜入は確定情報ではないため()

 まとめてみても万国トッドランドの襲撃時期が絞り切れません。ビッグマムの出航直後には部下を動かしている可能性もありますし、足並みそろえて一斉に動き出した可能性も十分にあります。個人的には、万国で得た駒がまだハチノスに送られていないので、ビッグマムの陥落後だと思いますが。

 また、以上の流れを踏まえた黒ひげ海賊団の動員状況は以下となっています。

  • 黒ひげ…女ヶ島襲撃→ハチノス帰還→勝利島襲撃(現在)
    1. バージェス…ハチノス待機→勝利島襲撃(現在)
    2. シリュウ…ハチノス待機→エッグヘッド潜入(現在)
    3. オーガー…万国トッドランド襲撃→勝利ウィナー島襲撃(現在)
    4. アバロ・ピサロ…ハチノス待機
    5. ラフィット…ハチノス待機→エッグヘッド潜入(現在)
    6. カタリーナ・デボン…女ヶ島襲撃→ハチノス帰還・待機(現在)
    7. サンファン・ウルフ…ハチノス待機
    8. バスコ・ショット…女ヶ島襲撃→ハチノス帰還・待機(現在)
    9. ドクQ…ハチノス待機→勝利島襲撃(現在)
    10. (青キジ)…万国トッドランド襲撃→勝利ウィナー島襲撃?(現在)

 万国トッドランド襲撃組のオーガーと攫われた駒は勝利ウィナー島にいるので、万国トッドランド襲撃組がハチノスに帰還していないと仮定すれば青キジも勝利ウィナー島にいるのでしょう。また、個人的な考察である「エッグヘッド潜入」にはシリュウだけでなくラフィットも加えています。理由は「催眠術で人間を操り人形に出来る」からです。
 もしもコビー大佐を操れるなら「威権チップを奪えるのか」という疑問も意味を無くしますし、頂上戦争時のようにシステム管理者を操り人形にすることで工作を行うこともできます。勝利ウィナー島にいる黒ひげ海賊団の初期メンバーで唯一ラフィットのみが姿を現していませんし、エッグヘッドへの潜入に同行している可能性は高いのではないでしょうか。

余談

 余談ですが、現時点で乱獲に動員されていると予想している大幹部は初期黒ひげ海賊団メンバーとシリュウなので、ハチノスに残っていると考えているメンバーは全員がインペルダウンLevel.6の元囚人たちです。インペルダウンLevel.6に投獄された海賊たちは白ひげ・ロジャーに敗北した者達とされているので、黒ひげ海賊団の元Level.6の囚人組も同じである可能性は高いです。
 そして、そんなメンバーが待ち構えているハチノスに攻め込もうとしているのが”海軍の英雄”モンキー・D・ガープ中将です。ガープ中将は「海賊王を幾度も追い詰めた」とされる”ロジャーの元好敵手”です。

 そうなると「ロジャー時代の敗北者vsロジャーの元好敵手」の構図になります。構図的に魅力的なマッチアップだと思いますが、どうでしょうか。ガープ中将は「海賊たちから悪魔のように恐れられていた」とされているので、ロジャー時代の敗北者たちを投獄したのはガープかもしれません。なので、ガープ中将は半隠居人ですがけっこう接戦になると思っています。


 以上で今回の記事は終わりです。

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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