【ONEPIECE】海軍の危機

ONE PIECE(ストーリー)

海軍…大丈夫か?

 いったいこれはどういうことなのか。

 現在の【ONEPIECE】は波乱の世界情勢となっています。

 特殊科学班SSGの貢献と元帥交代による海軍本部の強硬姿勢、世界会議レヴェリーの議決によって齎された王下七武海の解散、革命軍による世界政府天竜人への宣戦布告、新世代海賊同盟による四皇の代替わり。これらは単体でも世界を揺るがすほどの影響力を持っていますが、全てが一気に進んだため世界的な動乱に発展しました。
 この中でも海軍本部は、世界最大の組織である世界政府のバックアップもあり優勢に動いているように見えました。しかし、エッグヘッド編が進行中の現在では海軍本部の動向どころか、体制さえ危うくなっていると感じてきています。

 そこで今回は、現状の“海軍の危機”について語っていきます。

 最後までお付き合い頂ければ幸いです。

※…本誌エッグヘッド編までのネタバレを含みます。

海軍の動向(おさらい)

 海軍の危機について語る前に、現在の政権交代後の海軍の動向についておさらいしていきます。

徹底的な正義

ONEPIECE第1054話「炎帝」より引用

 頂上戦争にて前元帥センゴクが引退したことにより発生した跡目争いで勝利したのは“赤犬”ことサカズキです。彼が掲げる正義は“徹底的な正義”のため、海軍の敵である“海賊の殲滅”を徹底的に押し出す事になりました。それを示しているのが本部の移転と世界徴兵です。

海軍本部の移転

 政権交代前はセンゴクの掲げる“君臨する正義”の名の下に世界の中心であるマリンフォードに座し、秩序機構として世界の安定に尽力していました。しかし、政権交代後は“四皇の海”である新世界にあるG-1支部に本部を移しています。
 これは海賊勢力との徹底抗戦の構えを示していますが、それだけではなく海軍内部への志気向上を促しているでしょう。「市民を護る」という守備的なスタンスから「海賊を滅ぼす」という攻撃的なスタンスに変えることで、海兵の志気を高めています。

世界徴兵

 海軍は、サカズキ政権始動前に発生した頂上戦争で多くの兵を失っています。さらに追い打ちを掛けるように、センゴクから元帥の後釜として推薦されていた元大将“青キジ”ことクザンがサカズキに敗れたことで辞職し、軍は大幅な戦力ダウンとなりました。
 これでは本部を移しても構えを見せるだけの威嚇にしかなりません。そのため、戦力補強として世界中から強者を召集し急造の海兵とする“世界徴兵”を行いました。

 世界徴兵では、単に兵の補充をするだけでなくサカズキの昇進(センゴクの引退)とクザンの辞職により空いた2名の大将枠を埋めることに成功しました。大将はどちらも急造らしく模範的な海兵とは言い難いですが、相応しい実力と思想を有しています。これにより、サカズキ政権の強硬姿勢が現実的なものとなりました。

SSGの貢献

 世界徴兵で海軍の戦力を取り戻しましたが、それはあくまで戻したにすぎず、サカズキ政権を“前政権以上”としているのはSSGの貢献にあります。

 政府に雇われている科学者Dr.ベガパンクがトップを務める海軍特殊科学班ことSSGはセンゴク政権から存在し、政権交代前からパシフィスタを代表とする兵器等を開発して海軍に貢献していました。しかし、ベガパンクが殺傷性のある兵器の開発に乗り気でないこともあり、メインの戦力というよりもその他の便利道具の開発で治安維持のサポートに徹していました。
 それが政権交代後に活動規模を広げ、軍艦や電伝虫、パシフィスタの改良等で海軍の主戦力となり、サカズキ政権を盤石にしました。そして、その結果が「王下七武海制度の撤廃」に繋がっています。

 王下七武海制度の撤廃は新参の大将“藤虎”ことイッショウの後押しで各国政府が決定したことであり、海軍のトップであるサカズキは撤廃に乗り気ではありませんでした。しかし、イッショウが後押しを決断し、サカズキが七武海という戦力の損失を許容出来たのはSSGの新兵器“セラフィム”があったからこそです。

ONEPIECE第905話「美しい世界」より引用

元王下七武海の殲滅

 王下七武海とは世界政府が味方に引き込もうと考えるレベルの強力な海賊です。だからこそ、対四皇などの軍だけでは手に余る強敵と相対する際は積極的に利用していました。そのため、海軍にとって王下七武海制度の撤廃は大きな戦力を失うだけではなく強力な敵を生み出す行為になります。だからこそ、制度の撤廃時は七武海が迎撃体制を整える前に奇襲を行い、早々に潰す必要がありました

 世界会議レヴェリーで決議がなされた直後に元七武海全員に奇襲を行う。これは、SSGが開発したセラフィムおよびパドルシップの軍艦があってこそ成り立つ荒業です。

Dr.ベガパンクの抹殺

 海軍はSSGの活躍により対海賊勢力に優位を取っていましたが、それは自身に牙を向ける危険性も孕んでいました。SSGの班長であるベガパンクは海軍には好意的なものの、世界政府の中心である天竜人を敵視している危険因子です。さらに禁止されている“空白の百年”に関する研究を行っていたことが判明し、敵対の可能性を無視できなくなりました。
 そのため、世界政府はベガパンクを“用済み”と判断し、海軍へバスターコールの準備指令が下しました。SSGがベガパンクの指揮下である以上はそれらと戦火を交える可能性が濃厚なので、通常の約10倍の人員を導入した特大のバスターコールとなっています。

 以上が作中で明記されているサカズキ政権下の状況です。軍隊なんてどこもそんなもんですが、政府の思惑に大きく振り回されています。それでも、市民を護る正義として手を尽くしています。

海軍の危機

 ここからは本題の「海軍の危機」について語っていきます。

 海軍は世界政府という統一政府の下に作られた巨大な軍事組織で、崩すにはそれこそ四皇二勢力分は必要なはずです。そして、四皇は互いに敵であるため手を組むことがまずありません。だからこその三大勢力の均衡です。ちなみに、セラフィムが七武海の代わりを務めているので七武海の消滅も大きな問題にはなりません。
 つまり、海軍を崩すなら“内部から崩壊させる”くらいしかなく、「海軍の危機」ということはそれが発生しかけているということです。これは大別して2つに起因しています。

クロスギルドの台頭

 1つ目はクロスギルドの台頭です。

 クロスギルドは四皇の一角であり、戦争市場を牛耳るバギー、900年以上存続している大国であるアラバスタ王国を転覆しかけた智略を持つクロコダイル、四皇シャンクスと肩を並べられる最強の個であるミホークの元七武海が結託した結果生まれた組織です。詳しい話はこちらで解説していますが、クロスギルドは対世界政府を想定した組織だと考えていて、その影響をもろにくらうのが海軍です。

 クロスギルドが行っている“海兵狩り”は海兵が市民から狙われる懸念を発生させるものでしたが、既に事例は発生してしまいました。それも市民からの支持がないアウトローなタイプが非加盟国の市民に襲われたのではなく、市民からの信頼が厚い正統派なタイプが加盟国の市民に襲われたのです。市民のために命を懸けているのに市民からも狙われるとなれば、海兵は正義を見失いかねませんし、そうでなくても海兵の不安や不満、疑念は大いに溜まるでしょう。

ONEPIECE第1082話「取りに行こうぜ」より引用

ベガパンクの裏切り

 2つ目がベガパンクの裏切りです。

 先述の通り、海軍の強硬姿勢にはSSGの貢献が大きくあります。そんな中、エッグヘッド編にてベガパンクの裏切りが判明しました。
 これが歴史研究だけならば海軍的に直接的な害は無いので、「いつもの天竜人の理不尽か…」でまだ納得がいきます。しかし、パシフィスタの威権改ざんは許容できません

 既にパシフィスタは海軍の主戦力として活躍していて、サカズキ政権の強硬姿勢を支える存在となっています。つまり、パシフィスタが使えなくなる可能性があるということは現在のスタンスを維持できなくなるということにもなってきます。
 さらに、SSGの貢献は元よりサポート的なものが多くあるので、ベガパンクが裏切ってSSGの発明品に不信感が募れば今まで通り海軍を運営できなくなる可能性もあります。このあたりは、海軍のSSGへの依存度によって変わるでしょう。

 また、志気的な面でもサカズキ政権の攻撃的なスタンスはSSGあってのものでしたし、前のめりになっていた分だけ意志を挫かれることでしょう。要は、ベガパンクの裏切りは七武海が敵に回る以上の致命的な痛手ということです。

ONEPIECE第1108話「応答せよ、世界」より引用

 以上の2つ、クロスギルドの台頭とベガパンクの裏切りが同時発生しています。どちらも単体で海軍全体への負の影響が無視できない事項であり、それが重なっている現状は海軍にとって致命傷となる可能性が大いにあります。

 SSGが無くなるのは決定的で、クロスギルドへの対処も迅速に行わなければならず、派手に動き回る黒ひげやついに動き出した赤髪に対する準備も必要で、宣戦布告してきた革命軍への対処もしなければならない。海軍ほどの巨大組織でも手が足りないのではないしょうか。

まとめ

 海軍の危機についてまとめると、以下のようになります。

  1. クロスギルドの海兵狩りにより、海兵が正義を見失う懸念がある
  2. ベガパンクの裏切りにより、海兵の志気を保てなくなる懸念がある

 致命的な2つの懸念が重なることで、海軍を崩壊させる危機となっています。どちらも海軍以外の組織を発端としているだけに、治安維持組織の不憫さを感じざるをえません。

 何か迅速に状況を改善させられる策はあるのでしょうか。または、海軍の地力であればこの程度は難なく乗り越えられるのでしょうか。その辺りも注目しながら、これからの物語を追っていきたいと思います。


 今回の記事は以上で終わりです。

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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