続・魔法科高校の劣等生 メイジアン・カンパニー【2】から、主人公の司波達也は今後
「短所の成長」
「弱点の補完」
といった方向で成長していくのではないかと考えました。その理由はこちらの記事で解説しているので、よければ読んでみて下さい。
そこで、司波達也という人物はいったいどんな風に成長して、手札を増やしていったのかを振り返っていきます。
今回は、前作【魔法科高校の劣等生】の小説第1巻である本編原作開始前(15歳まで)を振り返り、持っている能力を簡単にまとめようと思います。
※…達也の過去についての情報のネタバレとなります。アニメでは明かされなそうな情報ばかりですが、ネタバレが嫌な方はブラウザバックをお願いします。
最後まで読んでいただければ幸いです。
司波達也生誕時
まずは生誕時の能力、つまりは生まれ持った能力である”魔法技能の特性”からとなります。
四葉家は先代当主である四葉英作の「他人の魔法演算領域の解析」を行う魔法を研究することで、精神干渉系の「魔法演算領域の特性分析」魔法を開発していました。そのため、生まれたばかりで魔法を発動することもできない赤子の魔法適正も知ることができます。
そこで達也は分解と再成に特化した魔法演算領域であることが分かりました。
分解魔法
分解は構造情報を直接改変する魔法であり、超高等魔法に分類されているようです。「情報体を改変することで事象を改変する」という”間接的な事象改変”である現代魔法では異色を極めるため、実験室レベルでしかその存在は確認されていないようです。
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分解による破壊のバリエーションは多く、
- 物体を部品から素粒子までの任意のレベルに分解・消滅する
- 任意の座標点、線あるいは面のみ消滅させることで負傷あるいは故障させる
- 魔法式の構造情報を分解し魔法を無力化する
- 魔法式の一部記述を分解・消去することで事象改変を破綻させる
- 運動エネルギーベクトルを分解し停止させる
- 質量をエネルギーに分解しエネルギーロス無しに熱量を開放させる
- 電子的な情報を分解し消去する
といった様々なことができます。
しかし、まだ生誕時なのでなにも出来ないでしょう
再成魔法
再成は「情報体の変更履歴を最大24時間まで遡及(閲覧)し、任意の時間過去の情報体をフルコピーして、それを魔法式として現在の情報体に複写することで複写した状態に上書し、任意の時間過去から現在まで状態が変化せずに時間が経過したことにする」魔法です。簡単に言うならば、24時間以内ならば「外的影響を無かったことにできる」ということです。
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この魔法は存在すら確認されていなっかったようで、もはや魔法科学技術というよりも”権能擬き”、”神の如き力”とされています。魔法の対象は当然ながら情報体なので、有機・無機物といった物理次元の物質のみだけでなく、電子情報や事象、想子情報体といったものまで多岐に至ります。魔法の本質が復元なので、事象改変後の情報体の復元作用で”現実が元に戻ろうとする力“が働かずに効果は永続します。
精霊の目〈エレメンタル・サイト〉
精霊の眼は情報体次元を直接認識する”全ての知覚能力の極限”です。そのため「存在するもの」は例外なくこの能力によって認識されます。つまり真正の千里眼ということになります。
これは眼に宿る能力ですが情報体次元を視ているので、視覚だけではなく「五感で得られる全ての情報」を認識しています。そのため、音あるいは圧力などの情報も認識できます。
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例えば”音”なら「何Hzでどの程度の大きさなのか」だけでなく、”意味のある音声”として認識することができます。
しかし、能力を宿すのは人間ですので情報体次元の全てを認識することは不可能であり、知覚できるのは現在のみです。使い方も使用者それぞれにより異なるので、同じ眼を持っていてもそれぞれに特徴が存在し、能動的に情報を選択・閲覧することが得意な場合があれば、受動的に広範囲の現象を把握することが得意な場合もあります。
達也の場合は、分解を行うための「構造情報の認識」、再成を行うための「過去へ最大24時間の情報遡及」が生来の特徴となっています。この眼が無ければ”情報体の認識力”が常人並みまで落ちるので、分解は「構造が事前に知ることができるもの」のみと限定的になり、再成は過去の情報を閲覧出来ないので使えなくなるでしょう。文字通り達也の力の全てを担っています。
現時点では”魔王の卵”みたいな感じですね。
~小学一年生(7歳)
達也は四葉家先代当主の四葉英作の命令により、生まれてすぐに戦闘魔法師戦争兵器としての効率的な育成を受けてきました。
そのためこの時点で、肉体面では魔法・飛び道具無しで軍の兵士と対等の戦闘訓練が出来る程度の運動能力を持ち、精神面ではどんな痛みにも耐えうる忍耐まで保持するレベルまで成長していました。またこれは予想ですが、達也は生まれながら精霊の眼という拡張された認識力を持ち、それにより得られる情報量を普通のものとして成長しているので、脳のあらゆる機能は既に常人レベルではないと考えます。
さらに6歳になって精神構造干渉による脳機能の一部改変人造魔法師実験を受け、魔法師になります。これによる仮想の魔法演算領域は3流程度ですが、副次的に以下の物を獲得しました。
- 大人顔負けの運動能力および忍耐力
- 拡張された認識能力に最適化された脳機能
- 高等な魔法の制御技術
- 忘却とは無縁の記憶力
高度な魔法制御技術
通常魔法師の魔法演算領域は”無意識領域”にあるので、魔法による事象改変に付随する”膨大な情報”は意識までは届かず意図的に記憶することは出来ません。しかし達也は情動感情を司る領域、つまりは意識領域に魔法演算領域があるので、魔法に使われる情報を全て意識的に処理することになります。
そのため、事象改変に伴う無駄を徹底的に排除することで魔法発動時の余剰想子の発生を無くすことが出来るようになります。
この技術により、達也の魔法は「魔法による事象改変が行われたのに魔法が使われた形跡が残らない」という究極の隠密性を持つことになります。つまり、事象改変は感知できるのに魔法の行使は感知できない状態になります。
また達也は、精霊の眼により視るだけで”魔法式“を完全に解析することができます。それにより「魔法式を記憶して、記憶した魔法式を仮想魔法演算領域に直接貼り付ける」ことが出来るので、(理論上)CADを用いずにどんな魔法でも発動することができます。もちろん、魔法技能によって実用レベルかどうかは影響します。
また魔法式を直接魔法演算領域に張り付けるので、魔法発動プロセスをCADの起動から魔法式の構築まで簡略できます。因みに、魔法の発動プロセスは以下になります(達也は2~4を省略可能)。
- CAD起動(魔法の選択)
- 起動式の読み込み
- 魔法式の読み込み
- 魔法式の構築
- 魔法発動
そのため、自身の魔法力の範疇であれば常人をはるかに超えた速度で魔法を行使することが出来ます。この技術をフラッシュ・キャストと呼びます(ver司波達也)。通常のフラッシュ・キャストは起動式を記憶領域に記憶させる刻み付ける洗脳技術の応用で、上記の3、4を省略可能になります。
忘却とは無縁の記憶力
人造魔法師実験により達也は記憶したことを忘れることが無くなりました。より正確に言うならば、どれほど昔の複雑な記憶でも、意識すれば思い出すことが出来るようになりました。
この理由は明記されていませんが、以下のような予想はできます。
人造魔法師実験では脳の機能ではなく精神機能を改変します。そこで感情を消去したため「忘れようとする感情」が無くなり、また精霊の眼を保持していることにより脳の機能が進化しているので「記憶を引き出す能力が向上した」のではないかと考えられます。そもそも人間の脳は「古く複雑な記憶を引き出すことが困難になる」ため忘れるだけで、記憶情報を脳から消去しているわけではないと言われています。なので、これだけ精神機能が改造されている状態を考えれば完全記憶も納得でしょう。
また完全記憶により、一度覚えた魔法式はイメージ記憶としていつでも取り出すことが出来るので、自身の魔法力以内に限り記憶した多くの魔法をフラッシュキャストで常時発動可能にすることが出来ます。
この時点ですでに
- 分解魔法
- 再成魔法
- 精霊の眼
- 大人顔負けの運動能力および忍耐力
- 拡張された認識能力に最適化された脳機能
- 高等な魔法の制御技術
- 忘却とは無縁の記憶力
を持っているので化け物レベルなのでは?
事実、人造魔法師実験の直後に三十路の経験豊富な戦闘魔法師と殺し合いをさせた結果、達也さんは人造魔法師としての力だけで相手を瞬殺したようです。そりゃフラッシュ・キャストは「よーいドン」形式の試合なら絶対先手取れるから勝てるでしょうね…。
~中学一年生(13歳)
成長期を迎え、成長に害の無い範囲での訓練に変更されたようですが、当然ながらその分知識を蓄え、いくつもの実践を経験しているので強くなっていきます。
この時点で深雪の護衛を一人で任されるレベルまで強くなっているようです。この時点で獲得した能力、技能、あるいは技術は以下の通りです。
格闘能力
既に一軍人を圧倒することが出来る程度に格闘能力を持っているようです。具体的には
「軍曹・伍長レベルなら余裕を持って勝つことが出来る」
といったものです。これがどの程度凄いのかは分かりませんが、軍人相手に立ち回れる時点で中学生として異常な運動・格闘能力でしょう。
魔法工学的技術力
時系列的に達也は中学時には「謎の天才魔工技師”トーラス・シルバー”」となっています。さらに、正確な時系列は分かりません(おそらく中2から)が、既にFLTのCAD開発第三課に在籍しているでしょうから魔法工学において高い技術力を保持しています。
実際に「軍で開発された特化型CADを自分用に改造する」ということを数日で、それも独力で行っています。
補足ですが、達也の中学校在学時に行ったと思われる魔法工学での功績が以下となります。
- ループ・キャストを世界で初めて実現、実用化
- 特化型CADの起動式展開速度を20%も向上させる
- CADの非接触型NCTスイッチの認識誤認率を3%から1%未満へ低下させる
これが、作中において「CADソフトウェアの技術力を十年分進歩させた」と称されている偉業です。
無力化技能
ここで言う無力化技能とは致死性魔法を含めます。
- 術式解体
- 雲散霧消
術式解体は魔法の無力化を行う対抗魔法に分類される無系統魔法であり「圧縮したサイオン粒子の塊を対象に直接ぶつけることで、付随する魔法情報を記録した想子情報体を吹き飛ばす」というものです。
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実用的な対抗魔法で最も効果が高いものとされ、射程が短い以外に弱点が無いと言われています。しかし達也の場合は精霊の眼による知覚と高い無系統魔法の技術があるので、どれだけ離れていようと捕捉してしまえば当てることが出来ます。
また、常人離れした想子保有量により高圧のサイオン粒子を人間大にしてぶつけることで、肉体に付随する想子情報体に「ダメージを誤認」させて肉体を麻痺させる、ということもできます。また、術式解体を習得している時点で無系統魔法の練度は高いと思われます。
雲散霧消は物体の構成要素を最小単位まで分解する魔法です。物体の最小単位とは素粒子レベルのため、この魔法の対象となったものは例外なく痕跡を残すことなく消滅します。そのため作中では、兵器も兵士もただ静かに消え去るだけなので、深雪曰く「グロテスクな訳でもなく現実感が薄れ、戦場がフィクションのように思えてしまう」とのことです。
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防御さえも分解して消し去り、「戦艦丸ごと」から「銃弾」まで対象を細かく絞れるので、「使い勝手の良い最強の矛」であり「最大の攻撃は最大の防除」を体現する魔法となります。
CAD並列操作
二つのCADを同時に操作するのは高等技術とされています。これは「二つのCADへ送った想子波が混線し、起動式を個別に情報体次元イデアへ発信出来ない」からです。
混線を無くすには「二つの魔法を同時に使用しながら、二つの魔法を個々で意識を分ける」といったことをしなければいけません。しかし、これはとても難しいのです。だって魔法は無意識領域で処理するわけですから。
しかし、達也は仮想魔法演算領域が意識領域にありますし、そもそも認識力の半分を常時深雪の護衛に使っています。そのため、この手の並列処理は得意分野で、このとき分解用と再成用の特化型CADを両手で使っていました。
標準技術
魔法の標準は個人の認識力に依存します。そのため魔法は物理的な距離に左右されないにも関わらず、遠ければ遠いほど標準が粗くなります。また魔法発動の対象を増やせばその分認識力を削られるので、これでも標準が粗くなります。
しかし達也さんは戦場で、襲い来る数多の銃弾やミサイルを同時に分解しています。銃弾だと物理的な距離は近くなりますが、小さく数が多くなります。ミサイルの場合は大きいので銃弾よりも認識しやすいかもしれませんが、当然速いです。それらを集合体として同時標準しながら、敵兵や敵艦の無力化、味方への再成を行っています。
また標準に意識を割けばその分魔法の発動まで遅くなるので、特化型CADでは速さを損なわないために標準補助機能を搭載しています。その弊害として特化型では標準補助に頼らない魔法の標準技術は「ドロウレス」と呼び高等技術とされています。
このとき達也も特化型CADを使っていました。逐次ドロウレスを行いながら敵の無力化と味方の支援を行っているのです。
多数を標準する以上自力での標準は必須なので、例え標準補助を使っていたとしても、標準技術は並外れているでしょう。
再成魔法の発展
達也は銃撃を受け死にかけの深雪を救うために、咄嗟に再成魔法を他者へ行使する術を習得しました。それまでも再成魔法を他者へ行使できることは分かっていたようですが、行う機会がなかったようで追憶編が初めてになっています。
これにより戦場で常時負傷兵を復活させるという無限リビングデッドを行い、味方の被害を皆無にしています。再成には「対象が受けた痛覚情報を一瞬で読み取ることになる」というデメリットがありますが、幼少期からの訓練により痛みに慣れているだけでなく、感情を消失しているため痛みを意図的に無視できるので、ほぼノーリスクで連発できます。
質量爆散〈マテリアル・バースト〉
質量爆散は「質量を完全に分解し、対象の保有しているエネルギーを変換ロス無しに熱として放出爆発させる」という質量・エネルギー変換魔法です。この魔法は”戦略級魔法”に分類される魔法で、この時は一発のライフル弾をエネルギー変換することで、一撃で艦隊を丸ごと蒸発させています。
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この魔法は対象の質量を大きくしていけば威力が向上し、達也が分解に特化している以上理論上の威力上限はありませんので、最強の戦略級魔法と呼ばれています。逆に水滴一粒で戦艦一つを蒸発させるので、威力が高すぎて使い勝手が悪い魔法とも言われています。
またこの時の達也さんは超遠距離における「精霊の眼により物理的な座標情報のみで直接標準する」ということが出来ませんでした。しかし、対象の銃弾を分解→再成することで魔法的な印を刻むことで、遠距離での魔法の標準を出来るよう加工しました。それにより、どこからでも自由にエネルギー変換を行えるようになったので、銃弾を艦隊の中心座標に撃ち込み質量爆散を発動し、敵艦隊を殲滅しています。
魔法のアレンジ
質量爆散の対象となる銃弾を打ち出すとき、弾丸の射出距離を伸ばす魔法を発動できる武装一体型CADを用いました。達也はこの魔法を発動するとき、起動した既存の魔法式を破棄して効果が倍になるようアレンジを加えた魔法式を即座に構築・発動しています。要は
「起動準備が完了したプログラムデータを破棄して、更に効果があるプログラムデータをその場で作り直した」
ということです。これは意識的な魔法演算領域という特異性により出来た「魔法式の書き換え(即興版)」になります。
通常の魔法師は無意識領域で魔法の演算処理を行うので、発動する魔法の理論を無意識直観的に理解しています。そのため、魔法を新しく定義理論化した新魔法を開発するだけでなく、魔法をアレンジするのも難しいとされています。しかし達也は、精霊の眼により魔法式を直接認識→記憶し、仮想魔法演算領域で即座に使用できるようになります。さらに意識領域での行為のため、魔法式を自分の意志のみで改変することが出来るようになります。
達也はこの「沖縄海戦」で敵大亜連合の兵士から破壊神シヴァを表す「摩醯首羅」の異名で呼ばれるようになります。
~高校入学前(15歳)
達也は原作開始1年前の時点で既にトーラス・シルバーとして活動し、特務士官として従軍し、四葉の魔法師としての非合法活動も行っていました。忙しそうですね。
それにより入学時までに得たと思われる主な手札(特技?)は以下となります。
多変数化
多変数化とは、発動する魔法の起動式に変数を多く設定した場合に必要となる技能です。変数とは「任意で値を変化させられる項目」で、例えば術者は座標を変数として逐一入力することで異なる座標に魔法を発動することができます。
変数は多いほど同じ魔法での対応幅が広がりますが、その分術者の変数処理に思考を割かれるので、一般的に多くても座標・持続時間・強度の3つを変数とするようです。しかし達也さんはそれ以上の変数入力に余裕があります。
作中では、振動系魔法を使い「波の合成」を行いました。その設定していた変数は
- 座標
- 持続時間
- 強度
- 振動数
の4項目です。また3つの波が必要になりますから×3ですので、実質的に12項目となります(持続時間をほぼ無視しても9項目)。それを合成地点に気を付けながら行います。
CADの性能によって魔法の連続発動に気を取られないといっても、この変数入力を一瞬で行うとか脳のスペックが異常ですね。
キャスト・ジャミング擬き
これは偶然の産物で、何らかの研究中に発見したもので、独力でのキャスト・ジャミング効果を発揮する魔法技術を開発したようです。
キャスト・ジャミングとは、「アンティナイト」という希少鉱石に想子を送り込むことで発生させる、魔法の妨害を行う無系統魔法です。これは「一定領域内に無意味な想子波をバラまくことで、魔法式が情報体に干渉するのを防ぐ」魔法で、四系統八種の現代魔法全てに影響を及ぼすことが出来ます。
しかし、キャスト・ジャミングの想子波長は「魔法師にとって本能的に忌避するもの」なので、アンティナイト無しでの発動は不可能とされていました。しかし達也さんは、キャスト・ジャミングの理論を応用することで「特定魔法のジャミング」を開発しました。
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これは2つのCADの同時操作が前提となる技術です。それぞれで「妨害する魔法」と「作用が対になる逆方向の魔法」の起動式を混線させ、互いに妨害しあう想子干渉波を発生させます。その想子波を複写増幅し無系統魔法として対象の情報体に投射することで、上記2つの魔法と同種類の魔法をある程度妨害できるようです。
しかしこの技術には以下の問題点が存在します。
- 相手が使う魔法を事前に知らなければならない
- 普通はCADの想子干渉波を投射できない
- 妨害指定した魔法以外は普通に使える
- 妨害した魔法も使い辛くなるだけ
- 妨害を行っている術者は魔法が使えない
そのため実用性が低く、使いどころは全くないです。達也は上記の問題点を無視できますが、これ以上の対抗魔法を行使できるので、他の対抗魔法の存在を秘匿する以外で行使する意味が無いようです。
実際に術式解体の秘匿を止めた九校戦編以降は全く使っていません。存在すら描写されません。
術式解散〈グラム・ディスパージョン〉
達也はキャスト・ジャミング擬きや術式解体といった対抗魔法を使えますが、手札を隠す必要がない場合は術式解散を使います。これは魔法式の分解消去を行う、達也の手札で最も効果のある対抗魔法です。
世界的に見ても実験室レベルでしかない「魔法式に直接干渉する魔法」であり、実用レベルで使える魔法師は記録されていないとされています。
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達也の場合は、分解に特化した魔法演算領域と情報体を認識する精霊の眼により可能となっていますが、その他の場合は魔法を感知できても魔法式を認識できないので使えません。さらに、魔法式は露出しており精霊の眼による捕捉からは逃れられないので、術式解散を防ぐ術はほぼありません。
ループキャスト
ループ・キャストとは、魔法発動の最終段階である魔法式に「魔法演算領域内に同じ魔法の起動式を組み立てる」機能を加える技術です。これを世界で初めて実用化したのがトーラス・シルバーです。
これにより魔法演算領域のキャパシティが許す限り、自動で同じ魔法を連続発動することが出来ます。また、これに最適化された特化型CAD「シルバー・ホーン」は作中終盤でも活躍しています。
トライデント
トライデントは三連の分解工程を一つの魔法式としてまとめた三連分解魔法であり、それに最適化された特化型CAD「シルバー・ホーン・カスタム〈トライデント〉」を指します。
主に対魔法師を想定しており、3つの分解の対象を変数として入力します。作中では主に
領域干渉→情報強化→肉体
を変数対象として発動することで、魔法師を消失させます。
魔法の相克
魔法式はお互いに干渉せず、個々で事象へ作用します。そのため、一つの個体あるいは座標に複数の魔法式が重なった場合、最も事象干渉力が高いものが表に出て事象を改変します。また同様の場面の時、異なる作用の魔法式が重なった場合、魔法発動時に要求される事象干渉力が魔法式の分増大し、発動を困難にさせます。その性質を利用した対抗魔法が領域干渉で、「空間に事象干渉力を付与する」魔法式を投射します。
しかし、達也さんは一般的な魔法の事象干渉力は低いので領域干渉は使えません。そして術式解体は一瞬の溜め隙が必要で、術式解散は秘匿魔法のため積極的に使えません。そこで、どちらも使えない場合に行う魔法の無力化手段が「魔法の相克」です。
これは後の先を取る技術で「改変された事象とは逆の事象改変をぶつける」ことを指します。まず魔法式同士では干渉することは出来ませんが、事象改変により発生した物理現象同士は干渉します。そのため魔法が発動した後でも、改変結果同士を相殺させることで定義破綻による魔法式のエラーを引き起こすことが出来ます。またこの場合、事象干渉力が圧倒的に上回っていなければ相殺されます。
例えば「右に10m吹っ飛ばす」移動魔法を掛けられたとしても、発動前に「左に10m吹っ飛ばす」移動魔法を掛ければ相殺されます。
しかしこの技術は高等技術とされています。それは、
相手の魔法を正確に把握して、後手で魔法の発動を間に合わせなければならない
からです。
そもそも普通の人からすれば、魔法や事象改変の気配を察知できても内容までは把握できません。せいぜい座標程度です。また、CADにより高速化した現代魔法では一瞬の遅れが命取りになるので、魔法の把握による一瞬のラグは致命的です。そのため魔法の無力化は「領域干渉」や「情報強化」などで先制することが一般的です。
しかし、達也さんは精霊の眼とフラッシュキャストにより上記二つの条件を克服しています。そのため事象干渉力の差が少なく、個体に作用する魔法ならば、魔法の相克で簡単に無効化します。
ここまでが達也が原作開始前に習得していた手札となります。
この時点で保持している能力をまとめると
- 分解魔法(秘匿)
- 雲散霧消
- 術式解散
- 質量爆散(封印指定)
- トライデント
- 再成魔法(秘匿)
- 自己再成
- 他者再成
- 精霊の眼(秘匿)
- 解析鑑定
- 遠隔認識
- 魔法の読み取り
- 構造把握
- 時間遡及
- 無系統魔法
- 術式解体(秘匿?)
- キャスト・ジャミング擬き(秘匿?)
- 高等技術
- CAD並列操作
- フラッシュキャスト(秘匿?)
- 余剰想子放出抑制
- 超速物体の多数同時遠隔標準
- 多変数化
- 魔法の相克
- 技術力
- 実験無しでの魔法アレンジ
- CADソフトシステム開発+アレンジ
- 精神力
- 痛覚への完全耐性
- 完全記憶
- 情報処理能力
- CAD
- トライデント
となります。既に出来ることが多すぎる…。
また母である深夜の永眠後、誓約により「質量爆散」を撃てないよう”能動的な意思”を制限するとともに、達也生来の魔法力を半分程度制限されます。とは言っても暴走を抑えるためのものであり、生来の魔法力は依然として常人を逸脱しているので、ほぼ弱体化はしていません。
というよりも魔法力とともに精霊の眼の認識力を制限することで意図的な「情報の取捨選択」が出来るようになったのでは、と思いました。さらに、常時深雪の安全を確保するために誓約による繋がりを辿り、深雪への直接的な害意・悪意から発生源人物を探知します。そこから「縁を辿って情報を得る」という技術を洗練させていくので、むしろ強化しているのでは?
今回は以上になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
これで劣等生とか優等生たちの立場が無さすぎて同情します。秘匿しなければならないものが多すぎて初めはちゃんと劣等生なのですが、秘匿性の低いものや少し視られただけでは解らないものは場合によって使っちゃうんですよね。
誤字脱字を含む間違い、それ以外にもご指摘等あれば気軽にコメントしてください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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