今回は前回に引き続き魔法科高校の劣等生における主人公「司波達也」が、「どの時期までにどう成長し、手札を増やしたのか」に観点を置いて時系列順に振り返っていきます。
今回で最後の三年生の部となります。
※…取得時期が割り出せない手札は開示時期に掲示します。
※…アニメ以降の情報が主となります。ネタバレが嫌な方はブラウザバックをお願いします。
最後まで読んでいただければ幸いです。
動乱の序章編(三年生4月)
このとき国防軍情報部と小さないざこざが起きていますが、主な話は横浜事変で達也さんがマテリアル・バーストを使ったことにより世界中で顕在化した影響の話でした。
達也周辺は大人しかったため、今回得た達也さんが手札は自ら開発したものではなく、四葉家から与えられたものです。
花菱兵庫
花菱兵庫は四葉家の荒事担当である執事序列二位の花菱の息子であり、最近までイギリスの民間軍事会社PMSCで武者修行をしていた人物だそうです。そこで独自の日本国外用ネットワークを構築しており、その伝で国外の動きをある程度把握出来るようです。
そのため主に四葉家の特に過酷な戦闘任務が多い達也さんに補佐役として付けられ、主に直接戦闘以外での補助を担っています。要は裏方ですね。
例を挙げるなら
- 達也への物資の輸送
- 黒羽以外での達也への連絡手段
- 道、四葉の施設あるいは任務の案内
等ですかね。
フリードスーツ
これは四葉家が開発した飛行装甲服で、独立魔装大隊国防軍が開発したムーバルスーツを参考にしているようです。
主な性能として
- 戦術データリンク
- 対物防御
- 防弾
- 耐熱
- 対BC兵器
- レーダーステルス
となっています。
主に達也専用として作られたため、ムーバルスーツとの対比として
- 多人数共有型戦闘用データリンク
- パワーアシスト
を犠牲にして
- 防御性能
- ステルス性能
を強化しています。
それにより弱点となる防御面をカバーし、強みである隠密性を強化しています。また、データリンク機能の一つとして搭載された「遠距離標準補助用CAD接続機能」は「サード・アイ」にも接続が可能なようです。これらにより白兵戦用武装および大陸間魔法標準に国防軍独立魔装大隊の助力が必要なくなりました。
軍の物をパクるとか無茶苦茶やってる気はしますが、「サード・アイ」も「ムーバルスーツ」も元々は達也さんが設計し提出した物です。また、サード・アイを行使するための大陸間魔法標準は達也さんしかできませんし、ムーバルスーツを使う上での前提となる飛行魔法を開発したのは達也さんです。
それを考えたら「やっと働きが自分へ還元された」と考えても良さそうですね。
ウイングレス
ウイングレスは軍用車であり、フリードスーツの飛行機能とリンクすることが出来る「空陸両用バイク」です。
バイクなので側面からの攻撃には弱いですが、前面は装甲車並みの防御性能があり、バイク機構自体もかなり頑丈にしているようです。また空陸両用なので、機動性能は通常の軍用車を超えています。障害物や姿勢制御を飛行魔法で無視できるから当然ですね。万一壊れても再成で復元できますし。
フリードスーツとウイングレスにより達也さんのワンマンアーミーは激しくなりました。そっちの方が強いのは確かですが。
また達也さんの手札にはなっていませんが、深雪専用の対抗魔法『術式凍結』をしれっと開発しています。これは無系統魔法、領域型魔法および発動途中の魔法を無力化する魔法です。
孤立編+エスケープ編(~6月下旬)
序章が終わり、世界的に本格的な動乱が始まるのが「孤立編」です。ここからサクリファイス編までは時系列物語の時間軸的に急展開なので、二月未満で区切ります。
達也さんは四葉家の手駒と自分用の装備を得て敵なし状態かと思いきや、USNA(エドワード・クラーク)が企画し、新ソ連(ベゾブラゾフ)およびイギリス王国(ウィリアム・マクロード)が共謀した『ディオーネー計画』により一気に孤立状態に追い込まれます。『ディオーネー計画』は人類の救済地球人口問題の解決による魔法の平和的利用を大義名分に、達也さんを強制参加されることで「司波達也という戦略級魔法師を木星圏に追放する」米ソの計画でした。
しかし達也さんは『ESCAPES計画』という独自の人類の救済策による魔法の平和的利用という大義名分を以って、真っ向からの参加拒否を世界に発表しました。それにより、達也さんは十三使徒「ベゾブラゾフ(新ソ連)」およびエシェロンⅢの所有者「エドワード・クラーク(USNA)」と敵対することになりました。
また、水波の脱落や光宣の闇落ち?、リーナ合流など、状況が刻一刻と変化していきます。それにより孤立やディオーネー計画から脱却するために、多くの手札を使うことで大きな後ろ盾を得ます。
ESCAPES〈エスケイプス〉計画における後援
ディオーネー計画のカウンターとして急遽発表することとなったESCAPES計画は、以下のような圧倒的な準備不足となっています。
- 専門家による恒星炉プラント事業の採算を行っていない
- 建設企画が行われていない
- 財源が無い
- 国家との交渉をしていない
- …etc
しかし
- 十師族四葉家当主である「四葉真夜」から
- 四葉家の新たな本拠地である「巳焼島」に恒星炉プラント建設の許可
- 東道青波への顔つなぎ
- 元老院四元老日本政府の黒幕にして四葉家のスポンサーである「東道青波」から
- 日本政府の妨害除去と計画の支援
- 北山潮へESCAOES計画の後援依頼
- 企業複合体「ホクザングループ」のオーナーである「北山潮」から
- プラント建設、経営および実用工学技術における専門家の誘致
- 財界の有力者達からの投資
を獲得しました。東道青葉からは代償として「抑止力としての役割」を強制されましたが、
戦力・権力・財力
の三拍子の支援が揃いました。
これが数日で揃っています。詰みの状態から一気に抜け出していました。
一応、ESCAPES計画発表の記者会見時にトーラス・シルバーのソフト面担当と名乗っていますが、世間は「トーラス・シルバーの理論担当」=司波達也と認識しているようなので、「司波達也=トーラス・シルバー」とみなされているようです。達也さん本人の名声の一つですね。
幽体の視認
達也さんは孤立状態のとき十文字先輩と国防軍情報部を同時に相手をすることになりました。そこで深雪が誓約の解呪を願い、達也さんが誓約を消去したことで二人の本来の魔法力が復帰しました。
達也さんが封印解呪により得た最大の利益は、精霊の眼の認識力向上です。精霊の眼は全てを視ることが可能な眼ですが、個人の認識力や演算力により視認範囲は限定されます。
達也さんの場合、霊子を直接視ることは不可能であり、霊子で構成されているであろう精神を視ることは不可能でした。付随して、肉体と精神を結ぶ想子情報体『幽体』を視ることは出来ても、詳細な構造情報の取得は出来ませんでした。しかし十全の精霊の眼は、『幽体』の構造情報を取得することが可能になったようです。
これは幽体が視認できるということが凄いというよりも、そこまで視認できるほどに精霊の眼が進化しているということが凄い感じですね。
魔法発動元の逆探知
これは、ベゾブラゾフの戦略級魔法『トゥマーン・ボンバ』を防ぐ撃たせないために行った技能です。
封印の解呪により精霊の眼の対応領域が広がるだけでなく、従来の能力も向上しています。そのため「魔法発動元の逆探知」は、遠隔情報探知の原型とも言えます。
まず『トゥマーン・ボンバ』は達也さんの術式解散とは致命的に相性が悪く、無力化が出来ません。そこで取った対策が、「魔法発動前に投射した魔法師を無力化する」というものです。
これは情報的に近い「過去の縁」による探知ではなく、投射されている魔法式から発動した魔法師の現在座標を探知するという手段です。
魔法式は構築が終了し完成すると、物理次元あるいは情報体次元に固定されます。そこで魔法師は魔法式からの情報の逆流を防ぐために、魔法式が固定された段階で繋がりを切ります。このことから、現在進行形で投射している魔法式は発動している魔法師と魔法的に繋がっています。
そのため達也さんは、精霊の眼により構築中の魔法式から魔法師への経路を辿り、一瞬で捕捉することが可能です。
ちなみに個人的な感想ですが、エスケープ編〈上〉のベゾブラゾフのトゥマーン・ボンバによる奇襲は作中通して最も達也さんを追い込んだと思っています。あの達也さんが、無効化も回避も出来ずに「再生により結果的に生き残る」ことに賭けていました。
再生に頼るのは今まで何度もありましたが、あくまでも敵を倒すための行動の内で、そこには余裕がありました。また追憶編では深雪が殺されかけていますが、それは母深夜の命令で離れていましたし、達也自身は五体満足でした。
ですが、ベゾブラゾフによる奇襲では自分どころか傍にいる深雪の安全を諦めています。結果的に水波が受け止めましたが、水波の防御は完全に計算外でしたから、精神的に最も追い詰められたといっていいのではないでしょうか。
イノベーション編+急転編(~7月上旬)
達也さんは、ベゾブラゾフ、パラサイト、光宣と同時に敵対しています。幸い、三方の最優先順位が違うので乗り切っていましたが、ギリギリでした。しかし、急転編では三方が間接的に手を組んだので、光宣のみ目的を達成水波の拉致が成功しています。
しかし、ベゾブラゾフとスターズへの対抗手段は生きていました。
エアカー
これは文字通り、空陸両用四輪車であるエアカーです。「ウイングレス」と同様に四葉家が独自に開発したもので、達也さんが提出した「大質量物体用の飛行魔法新スキーム」により完成まで扱ぎ付けたようです。
公道用に登録されているので公道上での通行にも巳焼島の往来にも使えて便利。と思いきや、この車両は軍機と勘違いされるくらいのスペックを持っていました。
- 宇宙空間対応の気密性
- 高度6000km衛星軌道までの範囲で走行飛行可能
- 900km/h亜音速まで加速可能
- 魔法により急発進・停止・旋回が可能
以上のような性能となっています。宇宙飛行はともかく、気密性が高いので海中でも走行可能な全環境型車両です。
4人乗りのワゴン者とのことです。
封玉
これはパラサイトなどの独立情報体を封印するための無系統魔法です。達也さんはパラサイトを無害化する手段として封玉を習得しました。
パラサイトを含む霊子情報体は精霊の眼で視れないため、達也さんの現代魔法では干渉することが出来ませんでした。しかし、精神を含む霊子情報体は想子情報体を通じて物理および情報次元この世に干渉します。そのため、想子を直接操作する無系統魔法ならばパラサイトを含む霊子情報体に干渉できます。
術式解体や徹甲想子弾では撃ち漏らす可能性がある。そこで想子の球体で独立情報体を押し固める封玉を以って、確実に捕らえる方法を作り上げました。とはいっても効果は30分程度と一時的なようです。
チェイン・キャスト
戦略級魔法『トゥマーン・ボンバ』は、達也さんが便宜上『チェイン・キャスト』と呼んでいる魔法技術により、対人レベルから戦略級にまで精密な威力調節が成されます。達也さんはベゾブラゾフと三度の対峙を経て、トゥマーン・ボンバの一部であり戦略級たらしめる要因である魔法機構を盗みました。
パクリです。まあ秘匿魔法で特許も何もあったもんじゃないので誰も咎めませんが。
連鎖的魔法式複製機構『チェイン・キャスト』は「情報体上に投射した魔法式が魔法式を組み立てる」システムです。複製された魔法式は変数である場所座標および起爆タイミング時間がそれぞれ異なり、複製・展開された魔法式群が一斉に起爆されるように操作しています。そのため小規模な対人魔法でも、何百何千と連ねることで空間的に大規模な魔法を作り上げます。
この機構は数数百~万以上の魔法式の変数座標・時間を一瞬で正確に入力しなければいけないため、魔法師の独力で発動は不可能です。そのため変数入力用の演算機構による補助が必須となります。
トゥマーン・ボンバの場合は演算、シュミレーションおよび超遠隔標準補助機構を大型CADと統合して、魔法の起動式の制作すら自動化しています。
達也さんは超遠隔精密標準補助システムを開発しているので、魔法式の複写・展開機構のみを『チェイン・キャスト』として盗み、一条将輝用の戦略級魔法の基礎設計および深雪用の戦略級魔法の開発をします。
追跡編(~7月中旬)
新ソ連およびスターズは撃退によりほぼ沈黙しましたが、即座に光宣の追跡が始まります。しかし、仮装行列と鬼門遁甲により隠蔽・遁走が得意な光宣を捉えきれません。また、意外な邪魔も入り逃走を許します。
それらに対抗するために習得した手札が以下になります。
アストラル・ディスパージョン
達也さんは長年苦しめられてきたパラサイトへの有効的な殺傷手段である「アストラル・ディスパージョン」を獲得しました。封玉が捕獲/封印なのに対して、アストラル・ディスパージョンは殺傷/消滅手段す。
封玉で説明した通り、パラサイトは想子情報体を介することでこの世および情報体次元に干渉しています。それは「存在すること」自体も例外ではなく、パラサイトには存在基盤となる想子情報体が存在します。
その想子情報体は「霊子情報体をこの世に存在させている」という作用を保有する想子構造体なので、術式解散の応用で分解することが出来ます。存在基盤を失えばこの世に存在する術すら無くなるので、実質的に霊子情報体を殺害する魔法となります。
正式な名称は「霊子情報体支持構造分解魔法『アストラル・ディスパージョン』」となっています。こっちの方が中身が分かりやすいですが、名前が長い…。
接触型術式解体〈グラム・デモリッション〉
術式解体は想子操作によって圧縮した想子弾を情報体にぶつけて圧力を開放することで、付随する想子情報体を吹き飛ばす無系統魔法です。
対して接触型術式解体は自身の周囲に想子を押し固め、想子の密度を上げることで、想子情報体の侵入を阻む無系統魔法です。達也さんのクラスメイトである「十三束鋼」の特殊体質、想子を極端に引き寄せる体質:「レンジゼロ」によって発生していた「混沌の想子鎧」による接触型術式解体を参考にしています。持ち前の想子操作技術によって完成させました。
これにより自身の周囲約50cmに直接干渉している魔法を無効化しています。
この二つの他にも、「過去一瞬前の事象改変の結果の痕跡から現在の隠蔽された情報を解析する」という精霊の眼の技能を使っていました。しかしこの技能は未完成のようですし、何より説明が難しいというか私の理解が追い付いていないので省略します。
ちなみに私は、最後の方で達也さんと八雲が対峙するところがかなり好きです。互いに目的は殺し合いではないですが、1巻から引っ張ってきた「司波達也と九重八雲の本気の戦闘」を前に高ぶってしまいます。さらに達也が戦いを制したとはいえ勝負を事前・事後的に完全に隠蔽しているところから凄さが伺えます。
奪還編(7月下旬)
光宣に振り切られ日本からの脱出を許しましたが、それによる利益が明るみになりました。また、ESCAPES計画が続編「メイジアン・カンパニー」へ繋げる重要なピースが描写されました。
奪還編では「今の達也さんで無双ゲーをやってみた」みたいなことになっていますが、戦闘面での手札は得ていません。しかし、その他の人脈面での大きな手札縁を獲得します。またESCAPES計画に必須の道具であり、魔法界に革命を起こすオーパーツの開発をいつの間にか終えていました。
アーシャ・チャンドラセカールとの協力
アーシャ・チャンドラセカールとはインド・ペルシア連邦IPUにおける魔法工学分野の第一人者と見做されている博士で、戦略級魔法『アグニ・ダウンバースト』の開発者です。そんなIPUのVIPは達也さんにとある事案に対し協力を求めてきました。それが「魔法師の境遇の改善」です。
魔法は属人的技能であるため、魔法師は社会で極少数派の人種に当ります。しかし魔法は暴力という面で通常兵器よりも強力で多彩であるため、優れています。その結果、魔法師は国家にとって軍事力として結び付けられ、政府主導の元強力な魔法師の家系を開発されてきました。
例として十師族が挙げられます。十師族は研究成果を背景に政府と交渉し人権を獲得しましたが、強力な魔法師が民間組織に居られるのは稀で、基本的に強力なほど軍の犬に甘んじているのが現状です。
また魔法を兵器的に利用してきた結果、非魔法師一般人が魔法を忌避恐怖するようになり、反魔法主義などを代表に一般社会からも排斥されかけています。さらに政府は上記の民衆の声反魔法主義などを受けて、魔法師をさらに締め付け飼育しようとしています。
その結果一部の魔法師実験動物は不満を発散するために魔法犯罪に手を伸ばし、さらに一般社会から忌避されるという活躍してもしなくても立場が悪くなる悪循環に嵌っています。
こんな風に、魔法師は基本的人権すら認められない奴隷未満になりかけています。
だからこそ達也さんはESCAPES計画を以って、経済的に魔法師の市場価値を上げることで、兵器としての宿命から逃れることによる境遇の改善を目的としていました。アーシャ・チャンドラセカール博士は過去に魔法師の境遇を改善するため、様々な軍事用魔法を開発し魔法師を「国家の軍事力として不可欠な存在」にすることで社会的な価値を引き上げようとしたようです。しかしそれも、上記の悪循環により失敗しました。
そこで博士はESCAPES計画の恒星炉を基にメイジアンの経済基盤を産み出し、国境を越えた魔法師の団結を以って国家的に人権闘争を行うため、達也さんに接触しました。
この計画は、本質的な目的を同じくする達也さんにとっては渡りに船でした。それにより博士は、数年後を目処にメイジアンの国際結社設立を目指し、達也さんも協力を行うことになりました。
そして設立された国際NGOがメイジアン人権組織「メイジアン・ソサエティ」であり、そのための具体的な活動を日本で行うための組織が「メイジアン・カンパニー」となります。
戦闘用エアカー
エアカーは魔法による機動の為、戦闘用でなくても機動性能のみなら戦闘機を軽く凌駕しています。そのため戦闘用としてのニーズは高く、四葉家では即座にSUVタイプの戦闘用エアカーを開発しました。作中で記載されている性能は以下となります。
- 機動性
- 魔法による急停止・急発進・急旋回を行うヘリコプターの完全上位互換
- 最高速900km/h亜音速以上の直進性
- 空気の繭で車体を覆うことで発生するスーパーキャビテーションによる海中走行速度400km/h
- 地球の重力に干渉する仕組みのため、高度6000km衛星軌道までの範囲で走行飛行可能
- 環境耐性
- 宇宙空間OKの気密性
- 空気の繭で覆うことによる自然影響耐性
- ステルス性
- 電磁波迷彩による対可視光・磁気ステルス
- 放射周波数制御による対熱・音波ステルス
- 低出力魔法の為、想子センサーに探知されにくい(対想子センサー)
気密性以外は魔法による補助となるので魔法師の力量によって性能が上下します。
と思いきや人造レリック内蔵による魔法式保存機能を搭載しているので、魔法師の力量に左右されず一度の点火で最大12時間の常駐型ステルスが可能です。また、ステルスと飛行は別の機構であるため分担による性能向上が可能です。
人造レリック
達也さんは1年と10ヶ月ほど前にレリックの解析および人造レリックの合成を軍から?依頼されていました。これは、そのレリックが魔法式の保存効果を保有するとされているからです。魔法式が保存されるということは、魔法師が一度魔法を点火するだけで一時的に魔法が持続されるということです。
その効果は魔法を軍事利用する側にとっては、よだれを抑えられない程のものです。達也さんもまた、恒星炉に魔法師を縛り付けないために、魔法式保存効果を持つ人造レリックの生成は必要不可欠でした。
4月の時点で、レリックに魔法式を自由にインプット出来る程度には解析が終わっていたようですが、いつの間にやら人造レリックの生成が完了していたようで、戦闘用エアカーに内蔵されています。
ワイアット・カーティスの後援
ワイアット・カーティスとはUSNAバージニア州の政治家で、州政府の上院議員に就任しています。カーティス上院議員は、達也さんに今後の双方の関係を作るための交渉を持ちかけてきました。これは、スターズ第一隊隊長「ベンジャミン・カノープス少佐」の投獄から端を発したものです。
発端はスターズの一部一等星級の隊員がパラサイトに変質し、パラサイトが総隊長であるリーナに反逆したことから始まっています。カノープス少佐はリーナの逃亡を助け、パラサイトと交戦しました。それによるリーナの逃亡補助はバランス大佐のおかげでお咎め無でしたが、パラサイトスターズの隊員に対する過失傷害の罪を着せられ、交渉の末、ミットウェー海に隔離された監獄に収容されました。
そこで黙っていられないのがカノープス少佐の身内です。カノープス少佐の血縁には政治家が多いようで、ワイアット・カーティス上院議員はカノープス少佐の大叔父祖母の弟であるそうです。その身内であるベンジャミン・ロウズ少佐が無実の罪で投獄されたことは面子に傷を付けられた、つまり「舐められた」ということです。
舐められたまま黙っているのは政治的に負けたも同然です。どうにかしてワイアット・カーティス派閥の都合投獄した側の都合による釈放以外の方法で監獄から出す必要があります。またUSNAはパラサイトの影響力が日に日に増しているようで、民主主義の為にもパラサイトを駆逐する必要がありました。
そこで目を付けたのが、リーナからカノープス少佐の脱獄依頼を受けていた達也さんです。カーティス上院議員は監獄までの道案内を後始末を担当する代わりに、脱獄およびパラサイト駆除の実働を達也さん四葉家に任せることを依頼しました。
達也さんは依頼達成により「将来にわたってワイアット・カーティス上院議員の派閥が後援する」という報酬を得ました。カーティス上院議員はラングレーにある中央情報局に多大な影響力を持っており、影のCIA長官と呼ばれているそうです。つまり、実質的にUSNA情報局の一部を得たようなものです。
奪還編は達也さんが国防軍と完全に決別したり、裏取り引きなり工作なりしてました。そのため戦闘シーンは少なかったですが、監獄脱走中の手榴弾キャッチボールが面白かったです。また、監獄を強襲した達也さんを討伐するために出動したアンタレス少佐とサガレス中尉の状況もとても面白かったです。
後方の基地ではブチ切れた光宣が報復虐殺を行っていて、前方からは監獄を墜とした達也さんが自分たちパラサイトを滅ぼす為に迫ってきている。押しても引いてもデッドエンド確定の詰んだ状況です。というか光宣と達也さんに挟まれるとか、前門の虎・後門の狼どころじゃないですね。前門の魔王・後門の神人って感じ。
未来編(8月上旬)
未来は未だ来たらず。を謳うこの章では、魔法師を兵器道具としての役割から解放することを目的としていた達也さんが、兵器抑止力としての自身の役割を世界に示しました。
USNAの司波達也抹殺強硬派の舵をとるエドワード・クラーク、およびそれに便乗するベゾブラゾフ新ソ連極東軍との完全な決着を果たします。達也さんはそれ付随して、世界に抑止力としての宣言を行います。
それにより、人として当たり前の未来を失いましたが、得たものは絶大と言っていいでしょう。
北アメリカ大陸合衆国〈USNA〉との同盟
北アメリカ大陸合衆国は日本とは別枠で、達也さん個人との同盟を結びました。これは、元々USNAの司波達也攻略戦略が「始末/排除派」と「協力/利用派」に分かれていたため成立したことです。
戦略級魔法『質量爆散マテリアル・バースト』は、その威力と射程を以って同盟国のUSNAすら脅威として排除を具体的に検討するほどでした。しかし、同盟国の人間であり自国へ敵対しているわけではない者を表立って実力行使で排除するのは躊躇われます。だからこそエドワード・クラークが達也さんに対する作戦を決める役割を持てた訳ですが、当然ながらそれが劣勢になれば「協力/利用派」が勢いづきます。
「協力/利用派」の主な狙いは二つ
- 太平洋地域での防波堤
- エネルギー的余裕の確保
- これは戦力的な意味での利用案で、主に国防総省ペンタゴンなどの意見です。現在の世界情勢はUSNAと新ソ連の対立を中心にIPU、大亜連合、西EUの大国が鬩ぎ合っています。なのでUSNAにとって日本は太平洋側にいる新ソ連と大亜連合に対する防波堤の役割を期待して同盟を結んでいます。そこで現れたのが日本政府および軍との仲が良くない達也さんです。その力が自国に向く危険性はありますが、その分敵国へのけん制効果は高いです。それに日本政府と仲が悪いので上手くいけばUSNAに取り込めます。だからこそ個人への同盟を願いました。
- これは経済的な意味での利用案で、主に経済産業省などの意見です。地球の深刻なエネルギー不足に端を発した第三次世界大戦後は、再生可能エネルギーの自給率が上がり普及していきました。とはいえ再生可能エネルギーは不安定で無駄遣いが出来ませんから、USNAでは声には出ない不満があったようです。しかし達也さんの恒星炉技術はそれらの不満を消し去って、経済的に大きなメリットを与えると予想されていました。「大量生産・大量消費の豊かな社会」を取り戻すために同盟を願いました。
以上により達也さんからは「対新ソ連・大亜連合の軍事協力」と「恒星炉技術の提供」をすることで、USNA政府と個人的な同盟を結びました。
この同盟は建前さえしっかりしていれば、結構な要求でも出来るようです。(達也さん側からの要求)
アンジェリーナ・シールズ
これは上記の同盟に付随するもので、協力の意志を示すために
アンジェリーナ・シールズ中佐を無償無期限で司波達也に貸し出す
という条約に基づいています。
アンジェリーナ・シールズ中佐というのは、リーナは既にアンジー・シリウス少佐として退役届を出していますが、USNA国家公認戦略級魔法師であり世界最強の魔法師部隊総隊長であるアンジー・シリウスが「日本に亡命」となると体裁が悪いので、亡命という形での出国にならないよう体裁を整えた結果です。
無償無期限なので、実質達也さんの手駒入りです。これからは深雪の護衛役になりますね。
リーナは射程、殺傷力、白兵戦能力などで達也さんに、仮装行列の技量で光宣に、制圧力で深雪に劣っています。しかし全てで相手の得意分野に肉薄するレベルの能力を持っているので総合的な戦闘力では作中No.1 だと思います。
達也さんは抑止力としての役割があるので自由に動けなくなりましたが、代わりにリーナを自由に使えるようになりました。
- 深雪に匹敵する演算規模・事象干渉力
- 超能力に匹敵する魔法発動速度
- スターズの一等星級を凌駕する白兵戦能力
- ほとんどの地理的条件に左右されない戦略級魔法(重金属が無い場所に撃つことは無い)
- 仮装行列による偽装・隠蔽
以上が大雑把なリーナの戦闘能力ですが、なかなか達也さんに見劣りしませんね。
~大学二年生春休み
達也さんはUSNAと同盟を結んだ結果、日本政府からご機嫌取りをされるようになったり、CIAだけでなくFBIに直接協力を頼めるようになっていました。また、ESCAPES計画が忙しく高校や大学には通えてい無いようです。しかし、その甲斐あってか色々と名声を泊しているようです。
さらに二年半以上経っているので、強敵との戦いは無かったようですが、順調に手札を増やしているようです。
四葉家の配下
今まで達也さんは四葉家内であまり、というかほぼ人望がありませんでした。これは実力を知っている四葉家上層部が下の使用人に冷遇されるように情報操作してきた結果です。しかし、次期当主の婚約者になるだけでなく実力に基づく対外的な実績から、四葉の内部でも支持者を集めていったようです。
そのため既に四葉で二番目に偉くなっているようで、達也さんの事業関連では四葉家の戦力を優先的に回せるようです。
衛星軌道居住施設〈オービタル・レジデンス〉「高千穂」
これは回帰軌道上に存在する宇宙住宅です。未来編にて巳焼島を攻撃してきた新ソ連の潜水艦「クトゥーゾフ」を接収して、改造したようです。
宇宙「船」ではなく宇宙「住宅」である理由は、回帰軌道上でしか移動できないからです。高千穂が魔法以外の推力が無い移動システムを採用しており、推力なしの人工衛星の「同一軌道を周回する」という定義が破綻してしまい、周回軌道ができなくなります。
高千穂は疑似瞬間移動の刻印魔法により地球と物資(人を含む)のやり取りを行っています。仮想衛星エレベーターの刻印は巳焼島と高千穂の内核に存在し、互いに移動先が視えていれば行き来が出来ます。
巳焼島側の仮想衛星エレベーターは大規模な刻印となっており、主に物資の輸送に使われます。大規模な分高い魔法力が要求されるようですが、その分大きな、あるいは多くの物資が運搬出来ます。
高千穂側の仮想衛星エレベーターは巳焼島よりも小規模な刻印になっており、主に人の行き来のみに使えます。小規模な分大きさや数の限界が低いですが、行き先は有視界内ならどこでも設定でき、帰りも地上から高千穂の刻印を発動させることが出来ます。
九島光宣
九島光宣はパラサイトになることでラスボスに昇格しており、作中で最も達也さんを苦戦させたと考えています。光宣はサクリファイス編にて、水波と一緒に眠る人工冬眠することを選び、巳焼島で自発的には起きることはない眠りに着きました。
しかしその能力を惜しんだ達也さんは、日本に住めなくなった光宣の隠れ家を作りました。それが宇宙軌道居住施設「高千穂」です。魔物が人間社会で生活基盤を持てないならば宇宙に拠点を持てばいいという暴論ですね。三年足らずで実現していますが。
そんなわけで光宣は宇宙で水波と生活し、達也さんの手駒として依頼を受けて過ごしています。
そんな光宣の能力は簡単に表せば
- 精霊の眼による無差別探知
- 超能力に匹敵する魔法発動速度
- 九重八雲に追従する幻惑能力
- パラサイトへの絶対的制御能力
となります。対人に特化気味ですが、パラサイト兵を増やせば対軍相手にも抗うことが出来ます。というか時間稼ぎをする能力なら作中1かもしれません。
以上までが作中で司波達也が得た手札となります。最後にまとめると以下になります。
- 分解魔法(秘匿)
- 雲散霧消
- 術式解散
- 質量爆散
- トライデント
- 領域設置型分解魔法
- バリオン・ランス
- ゲートキーパー
- アストラル・ディスパージョンnew
- 再成魔法(秘匿)
- 自己再成
- 他者物体再成
- 術式複写
- 精霊の眼(秘匿)
- 解析鑑定
- 遠隔認識
- 遠隔情報探知
- 印による探知
- 印からの個人情報取得
- 魔法の読み取り
- 構造把握
- 幽体の視認new
- 時間遡及
- 過去から現在の追跡new
- 個人情報取得
- 因果律の俯瞰的視野
- 魔法発動元の逆探知new
- 事象の復元力の認識new
- 無系統魔法
- 術式解体
- キャスト・ジャミング擬き(秘匿?)
- 誓約の自力解除
- 徹甲想子弾
- 封玉new
- 接触型術式解体new
- 高等技術
- CAD並列操作
- フラッシュキャスト(秘匿)
- 余剰想子放出抑制
- 超速物体の多数同時遠隔標準
- 多変数化
- 魔法の相克
- 技術力
- 実験無しでの魔法アレンジ
- CADソフトシステム開発+アレンジ
- 常駐型重力制御飛行魔法
- 汎用型CADへの特化型サブシステム標準補助の接続
- 魔法式の書き換え
- チェイン・キャストnew
- 恒星炉new
- 精神力
- 痛覚への完全耐性
- 完全記憶
- 情報処理能力
- CAD
- トライデント
- サード・アイ
- 完全思考操作型CAD
- シルバートーラス
- 道具
- レリック
- ピクシー
- フリードスーツnew
- ウイングレスnew
- エアカー(戦闘用含む)new
- 人造レリックnew
- 衛星軌道居住施設「高千穂」new
- 立場(対外的)
- 四葉家次期当主の婚約者
- 四葉家当主の息子
- 元トーラス・シルバーnew
- 恒星炉プラント事業主new
- 抑止力new
- 手駒
- 四葉の配下new
- アンジェリーナ・シールズnew
- 九島光宣new
- 協力new
- 日本政府(東道青波)の後援
- ホクザングループ(北山潮)の後援
- アーシャ・チャンドラセカールとの協調
- ワイアット・カーティス(影の中央情報局CIA長官)の後援
- 北アメリカ大陸合衆国USNA(ホワイトハウス)との同盟
手駒も協力関係も増えて向かうところ敵なしって感じですね。
しかし、その分しがらみも増えてフットワークが重くなりました。また、成長している部分は生来の力を強化していったものが多く、苦手はそのままです。
だからこそ、科学的アプローチだった前作と比べてオカルト要素が強いメイジアン・カンパニーでは、いままで克服できなかった弱味を改善していくのではないでしょうか。
今回で司波達也成長記が最後になります。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
誤字脱字や間違い、ご意見等ありましたらコメントでご指摘頂ければ幸いです。
今後もよろしくお願いします。
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