転スラ19巻状況整理

ストーリー解説/考察

 現在の【転生したらスライムだった件】はアニメ2期からスピンオフ【転スラ日記】のアニメ化、アプリ化、劇場版の製作決定、小説最新19巻発売と怒涛の勢いとなっています。転スラのストーリーで最新を行く19巻では、物語も完結まで後3巻程度という最終盤まで来ています。

 終盤らしく全ての陣営やキャラの登場は終わったと考えられ、その証拠に基軸世界では世界を巻き込んだ騒乱”天魔大戦”が本格的に勃発しました。以下の記事で簡単に解説したように、相対する2陣営の動きだけでなく双方でのスタンスも確定し、様々な陣営の思惑が入り乱れている様子が伺えます。

 今回は19巻で登場した勢力の紹介と大戦での立ち位置を解説していきます。また、ついでに異界陣営の動きも少し考察してみます。

 良ければ最後まで読んでみてください。


基軸陣営

 こちらの陣営はリムル達のような、元々基軸世界に住んでいた者達を指しています。主に関わっているのはその中でも魔王勢力のみですが、それ以外の力を持たない人間国家も巻き添えをくらうので一括りにしています。

 基軸陣営は、安定した世界で市民権を得られなかった異界陣営からの侵攻を食い止めるために結託しています。

ちなみに、基軸世界における魔王が住まう大陸こと「魔大陸」の地図は以下のようになっています。

転生したらスライムだった件13.5巻,p148より引用

ジュラ・テンペスト連邦国

 主人公であるリムルが興した魔物の国で、元々人魔国家を目的としていた為人間国家との交流が深い国です。しかしリムルが魔王となることで魔王勢力との関わりも深くなり、それにより魔王勢力と人間国家の繋ぎ役を担っています。それによりリムルの目標である”人魔繁栄”が近づきました。

 その状況で東の帝国が西側諸国侵略に動き、自国の防衛だけでなく西側諸国守護の為にテンペストによる殲滅が完了しました。しかし帝国軍敗北により、帝国を隠れ蓑にして進行していた異界陣営の基軸世界侵攻が明るみになります。異界陣営の目標に至るまでの手段により引き起こされる結果が容認できないリムルは、異界陣営との正面衝突を選択します。

 リムルを国家元首とする魔国連邦テンペストは竜種であるヴェルドラおよび同じく魔王であるラミリスを擁しているだけでなく、”調停者”であるギィとそのライバルであるルドラが世界のバランスを保つために数千年間燻らせていた戦力を丸々取り込んだ為、総合的に言えば基軸世界で最高の勢力となっています。

 そのためかリムルは、魔王間では長年癖のある魔王勢力を取り仕切っていたギィと並ぶ苦労人で、「痒い所に手が届く」という類の便利屋という印象です。まあ各々から頼られているとも取れますが。「面倒な奴が出てきたらリムルに任せよう。あいつなら大概丸く収めてくれる」みたいな。

 天魔大戦でも主に魔王勢力が異界陣営と戦火を交えることから、各魔王勢力に魔国連邦テンペストの最高幹部である”聖魔十二守護王”を半数も派遣しています。これはラミリスとヴェルドラが本国の防衛を担っていることが大きく、それによりリムルはその他勢力の防衛に意識を割くことができます。また、各勢力との連携の要所を担っており、どの戦線にも魔国連邦テンペスト勢が送られているので、基軸陣営の戦力土台と言っても過言ではありません。

 異界陣営の目標が魔国連邦テンペストの迷宮奥に居るヴェルドラであることや迷宮が難攻不落であることから、異界陣営のミカエル勢力は魔国連邦テンペストを最終目標としています。なので、魔国連邦テンペストの本国は未だ天魔大戦の戦地とはなっていません。

ミリム領(竜の都/獣王国/傀儡国/天翼国)

 元々あったミリム領「忘れられた竜の都」に、リムルによって失脚した元魔王クレイマンの領地「傀儡国ジスタ―ヴ」、部下となった二人の元魔王カリオン、フレイの領地「獣王国ユーラザニア」、「天翼国フルブロジア」を併合した国です。まだ名前は無く、とりあえず「ミリム領」と呼称されています。

 傀儡国の戦力はリムルに取り込まれたも同然とは言え3つの魔王勢力を治めているので、基軸陣営で最大規模の勢力となっています。獣王国が地上戦力および兵站の製造、天翼国が航空戦力、竜の都が補助戦力を担うバランスの取れた組織となっています。同時に魔国連邦テンペストとの交流が長く、隣接し獣王国や傀儡国に資源が溢れているためか、貿易が最も盛んに描写されています。

 そのため各国の流通の要である列車工事以外で唯一魔国連邦テンペストが建設工事を受け持っている国でもあり、ミリム領には最も多く魔導連邦テンペストの戦力が送られています。

 ミリム領での戦火は最も大きい規模となっており、異界陣営の2勢力の内1つである蟲魔族インセクト勢力全軍と相対しています。両軍の長であるミリムとゼラヌスは出ていませんが、その分総力戦の削り合いとなるでしょう。

神聖法皇国ルべリオス

 数いる魔王の中でもまとも枠とも言えるルミナスが支配下に置いており、ルミナスは人間を国民として支配下に置く数少ない魔王でした。ルミナスを唯一神として信仰する宗教国家で、腹心に魔王役と勇者役を担わせることで国内の被害を操作し信仰を集約させ、平穏な統治と自身への糧の生産を両立しています。

 ルミナスの治めていた吸血鬼族ヴァンパイアの国はヴェルドラやルドラ(天使之軍勢ハルマゲドン)により度々崩壊の憂き目にあっているため、自身の平穏を守る為にルべリオスを創設しました。吸血鬼族ヴァンパイアは人間の生気が必要なので人間を管理下に置いていますが、生気といっても”幸福を感じる心”を搾取しているので人間達の幸福水準は高く、平和のモデルケースにもなっています。

 それにより吸血鬼族ヴァンパイアの糧は多くなることで強化されるだけでなく、操作された被害と嚙合わせることで絶妙に人間達の危機感を煽ることで才能ある人間を潰すことなく騎士として徴兵します。さらにルミナスの”信仰と恩寵の秘儀”により、騎士達はルミナスの権能の一部である神聖魔法を行使することを可能としています。

 そうして

  1. 高いレベルの質と数を兼ね備えた騎士達を西欧諸国に派遣し魔物の脅威を排除することで信仰圏を広げる
  2. ルミナスの力を増大させる
  3. ルミナスの恩寵を騎士達に還元する

というループを行って影響力を大きくしていました。とはいってもルミナス自身は温厚であり、自国の利益を損なわない変化に寛容なので、魔王間の協調でも揉めることはせず情報共有等積極的に発信しています。

 ルべリオスは優先度が低いので未だ異界陣営の標的になっていませんが、ルミナスが脅威であることは事実なので「標的にならない」などということはありません。実際に、以西のダマルカニアが乗っ取られることで巨人族ジャイアント軍を吸収した妖魔族ファントム軍はそのままルべリオスへと進軍することとなったので、20巻では衝突することとなるでしょう。

 強力な吸血鬼族ヴァンパイアは数が少なく主戦力となる聖騎士団クルセイダースは人間で戦力的に心許ないので、派遣されたシオン率いる紫克衆ヨミガエリとアダルマン率いる死霊族アンデッド軍の不死コンビの活躍が鍵になります。幸い、騎士団長のヒナタは”真なる勇者”として覚醒し、さらにリムルが敵の首魁であるミカエルを喰らって強化されるはずなので、リムルによる強化の余地がある不死コンビとルミナスの寵愛を受けたヒナタがいれば何とか一矢報いる可能性があります

 また、ダマルカニアから後退してきたウルティマ、ディアブロ、ソウエイの三名とその指揮下の軍団も合流するはずなので、強化次第では拮抗できるかもしれませんね。

黄金郷エルドラド

 主に人が集まっている魔大陸のすぐ南にあるオーストラリアのような大陸全てを統治下としている、レオンが治める国です。国内の整地は大手ゼネコン勤務だったリムルを唸らせるほどの精緻さで、都市構造をそのまま大魔法の魔法刻印としている大規模都市を設置しています。元勇者であった名残からか、人間から魔人化した人魔族デモノイドを騎士として軍に組み込んでいるので、国民も人間に依った種族であることが伺えます。

 都市近郊にある活火山では希少鉱石が採掘され、また付近の地獄門からはリムルの部下となったカレラこと”原初の黄ジョーヌ“が居た場所なので、”原初の黄ジョーヌ“率いる悪魔族デーモンに散々迷惑を掛けられていました。それによるものかは分かりませんが、騎士団の練度は高いようです。

 レオンの目的が”クロエ=オベール”の安寧にあり、クロエがリムルの国で平穏に過ごしていることから魔王間での協調に不満は唱えませんでした。それどころか大戦で弱味となることが予想されるためとはいえ、自身の権能を積極的に語り、自国に同じく魔王であるギィとリムルの腹心であるディアブロを護衛として受け入れました。ギィとディアブロの喧嘩による被害も許してたりと、予想外に寛大な性格をしています。なのでマサユキとは対極に、寡黙故に勘違いされやすい”不憫な奴”という扱いです。

 自身を囮にして”天使長の支配アルティメットドミニオン“の解明に協力したりと、損な役回りも受け入れる度量を持つためか、 大戦ではレオンが美徳系究極能力アルティメットスキル純潔之王メタトロン』を保有しておりミカエルの支配下に置けることから、異界陣営と基軸陣営の緒戦をエルドラドで行うこととなりました。主にヴェルザードによりエルドラドは甚大な被害を受けましたが、レオンが支配されたため異界陣営の用は無くなり、エルドラドはすぐに復興出来る程度の被害に収まりました。

 そのため、エルドラドはもう大戦の舞台には上がらなそうな気がします。とはいってもレオンは支配を脱したと思ったらミカエルによって昏倒され、意識が回復しないので、シエルの改造オルタネーションを受ける可能性は高いです。

白氷宮

 魔大陸以北にある大陸で、ヴェルザードの影響で全土が永久氷土となっており丸々ギィの領地としています。とはいってもギィは”調停者”であり国家を作る余裕は無いので、白氷宮という拠点を持っているだけです。後は人類の危機感を煽る為に西欧諸国へ継続的に配下の悪魔を放っており、増長が過ぎれば自身で脅しに行っているそうです。

 原初の魔王であり魔王達のまとめ役でもあるので、魔王間での決定はギィが決断する場合が多く、魔王をコントロールして調停者の役割を果たしています。また、白氷宮は環境故に生命は根絶しており、ギィも外の調停に忙しいので土地に興味は無いため、魔王間での協調ではすぐにレオンの護衛に名乗り出てエルドラドへ拠点を移しました。

 ギィは転スラにおける最強の一角なので、ギィが協力しているだけで有利と言えたはずですが、相棒でありギィに匹敵する実力を保有するヴェルザードが異界陣営に加入してしまったので、ギィはヴェルザードへの抑止力としての運用以外できにくくなっています。そうなるとギィとヴェルザードの戦いの余波を防ぐためにレインとミザリーも離れられないので、白氷宮勢はほぼ無力化されていると言えるでしょう。

ナスカ・ナムリウム・ウルメリア東方連合統一帝国

 最強最古の勇者であるルドラが統治していた国家で、ジュラの大森林以東の国家をほとんど取り込んでいる大国です。ギィとのゲームで勝つために数千年間虎視眈々と軍拡に努めており、さらに五百年周期で起こす「天使之軍勢ハルマゲドン」により、魔王勢力だけでなく西側の文明を崩しています。それにより文明レベルで一人抜けすることで、人間国家ながら「三つの魔王勢力と張り合える」とも称されています。

 ですが魔国連邦テンペストに侵攻し、敗北することで戦力のほとんどを刈り取られます。また帝王であるルドラはミカエルに乗っ取られ、帝国は戦力的に詰まれることとなりました。

 とは言ったものの、帝国軍人の約7割は蘇生され、売りである基軸世界一の技術力は健在。元帥であり守護竜であるヴェルグリンドは強化され、帝王はマサユキへと挿げ替えられることで戦力を保っています。むしろテスタロッサが派遣されたこととマサユキの人心掌握の権能により、帝国内部の統制は強固になった雰囲気があります。

 ミカエルの目的であったルドラの乗っ取りとヴェルグリンドの”竜の因子”は奪われたので、帝国は異界陣営の攻撃目標になる可能性は少ないでしょう。しかし、ルドラの転生者であるマサユキやその恋人であるヴェルグリンドは障害となりかねず、魔国連邦テンペストと隣接していることから侵攻先に選ばれる可能性はあります。

 実際に、19巻ではマサユキがイングラシア王国に行っていたため帝国は侵攻先になりませんでしたが、マサユキが狙われたのは事実なので帝国としては気が気じゃないでしょう。とはいってもマサユキとヴェルグリンドが強すぎるので、現状の異界陣営では帝国を侵攻するには手が足りないでしょう。

 不安要素としては、フェルドウェイ達が帝国へ潜入するために使った地獄門が内部にあると推察されることです。それの位置次第ではマサユキの再活躍も近いでしょう。

その他人間国家

 ドワルゴンを含むその他の人間国家は、基本的に異界陣営の侵攻に曝されることはありません。というのも、異界陣営からすれば人間の軍は脅威ではないからです。それにあくまで目標はヴェルドラで、欲しい物もありません。そのため、人間国家は基本的に平穏を謳歌できます。

 とはいっても、魔王勢力が異界陣営に敗北したら高確率で基軸世界は滅びるのですが。

異界陣営

 次に敵陣営である異界陣営についてです。異界陣営はヴェルダナーヴァによって「基軸世界から追放された者「と「追放者を監視する者」の二種類が存在し、手を組んでいます。追放者は”滅界竜”イヴァラージェとその系譜である幻獣族クリプテッド幻獣族クリプテッドの変異種である蟲魔族インセクトの二勢力が存在し、監視者は天使の変異種である妖魔族ファントムが存在します。

 異界の環境は安定とは程遠く、幻獣族クリプテッドは本能のまま暴れまわり、蟲魔族インセクトは安住の地を求めて基軸世界へ手を伸ばし、妖魔族ファントムはそれらを抑止する為に闘争を繰り返してきました。ですが、ルドラが保有していた究極能力『正義之王ミカエル』が自我を獲得したことでヴェルダナーヴァの復活を望み、その自我が同じ望みを持つ同胞であり監視者の主であるフェルドウェイに接触することで異界陣営が発足されました。

 さらにフェルドウェイは究極能力『正義之王ミカエル』に生じた自我に名を与えることで神智核マナス「ミカエル」が発生し、異界陣営の拡大が進みます。元々ヴェルダナーヴァの復活策に対してフェルドウェイと決裂していた蟲魔族インセクトの王「ゼラヌス」をミカエルが説得することで陣容に加え、さらに基軸世界とは別の世界にも手を伸ばしながら軍拡を続けていました。

 そして帝国でルドラに取り憑いているミカエルがフェルドウェイを潜入させ、西側諸国への侵略を隠れ蓑にして基軸世界への侵攻を始めました。しかし、帝国が魔国連邦テンペストに敗北したため表舞台に上がらざる負えなくなり、異界陣営と基軸世界の天魔大戦が発生しました。

妖魔族〈ファントム〉勢力

 ヴェルダナーヴァが最初に創り出した配下の天使族エンジェル“始原の七天使”の内、筆頭であるフェルドウェイとその指揮下にあるザラリオ、コルヌ、オベーラの四名が統制している軍団です。ヴェルダナーヴァが異界に追放した”滅界竜”イヴァラージュを監視するために異界に移住した天使族エンジェルですが、異界の混沌とした魔素に長年曝され続けた影響で妖魔族ファントムへと変化しました。それによって天使族エンジェルに常設されている枷である”明確な自我を保有しにくい”という制限が取り払われ、上の階級の存在は自我を保有し始めました。

 その後、ヴェルダナーヴァが帝国内の内乱で死亡します。普通ならば竜種は復活するところが復活しなかったため、首魁であるフェルドウェイは「ヴェルダナーヴァに見捨てられた」と考え、同時にヴェルダナーヴァに愛されていた基軸世界の生命体に憎悪を抱きました。それにより妖魔族ファントム軍は基軸世界への侵攻を目論みます。

戦術目標

 ミカエルが発生することで主とし、最高指揮官をフェルドウェイとすることで基軸世界への侵攻が開始されました。目標はヴェルダナーヴァを復活と、基軸世界の崩壊です。前者は言わずもがなで、後者は邪魔者の排除も兼ねています。

 まずヴェルダナーヴァの構成要素に成り得る他3種の竜種、ヴェルザード、ヴェルグリンド、ヴェルドラの因子の獲得が第一目標です。ヴェルザードとヴェルグリンドの姉妹は美徳系究極能力を与えられているため所在さえ分かれば因子の獲得は簡単で、実際に2人の因子は獲得済みです。なのであとはヴェルドラの因子ですが、ヴェルドラはラミリスの迷宮奥に引き籠っているため魔国連邦テンペストの端から削っていかなければなりません。

 そのため次の目標として脅威の排除です。

  1. 美徳系究極能力を保有していたレオンを支配
  2. ルドラの転生体であるマサユキを抹殺
  3. ヴェルザードとゼラヌスを煽ることで、ギィとミリムの最強魔王をけん制
  4. フェンをきっかけにダグリュールも引き入れ、ダグリュールを使ってルミナスを墜とす

 これらを、攻め手の有利を活かすことで不意を突きながら行います。これにより魔国連邦テンペスト侵攻の外堀を埋めてから、孤立した後に迷宮を墜とす作戦です。

 19巻ではマサユキ暗殺とダグリュールの引き入れ、ミリムの封殺を同時に行いました。その結果、ダグリュールの引き入れとミリムの封殺は出来ているようですが、マサユキ暗殺を失敗するだけでなくルドラの覚醒を促し、さらに首魁であるミカエルがリムルに墜とされる事態に発展しました。

 これは異界陣営を最悪の状況へと促しかねません。というのも、まず最優先の目標であった”竜の因子”を保有していたのはミカエルなので、竜の因子獲得の進行状況が白紙に戻りました。さらに異界陣営がまとまっていたのはミカエルの存在あってのことなので、空中分解直前です。

 また、究極能力『正義之王ミカエル』は並列存在で複製することでフェルドウェイも保有しているとはいえ、ミカエルの権能である以上ミカエルが消滅すれば権能も消滅する可能性があります。権能を与えられて、未だ生き残っている者は以下になります。

  • フェルドウェイ…究極能力『正義之王ミカエル』の並列存在を保有
  • ジャヒル…究極能力『救恤之王ラグエル』を与えられ、権能を究極付与『火焔之王アグニ』へと調整
  • 古城舞依…究極付与『代行権利オルタナティブ』を消費して『旅行者サマヨウモノ』を究極付与『地形之王ワールドマップ』へと進化
  • ヴェガ…オルリアを捕食し究極付与『武創之王マルチブルウェポン』を獲得

 究極付与は『正義之王ミカエル』(この場合は神智核マナス「ミカエル」のものを含む)権能の内、限定した一部の権能を資格者に付与するというものです。少なくとも舞依の『地形之王ワールドマップ』は『代行権利オルタナティブ』を前提としているので、フェルドウェイが『正義之王ミカエル』を使えなければ消滅しますね。

 また権能が消滅した場合、天使長の支配アルティメットドミニオンの支配により配下となっていた者は離反しかねません。ディーノ、ピコ、ガラシャの三名は離反濃厚です。ザラリオは離反までは行かなそうですが、連携が取れなくなりそうです。

 もちろん、ダグリュールによるルミナス陥落指令はフェルドウェイによるものですし、ゼラヌスは既に勝手にさせてもいい段階なので、直近でミカエルが必要な場面はありません。ヴェルザードもギィへの執着は支配によるものではないので、ルミナス、ミリム、ギィへの抑えは効いています。さらにフェルドウェイの本体も残っていますから、まだまだ挽回は効くでしょう。

 ですが、作戦を次に進めるには手の足りなさが否めません。妖魔族ファントム軍の行く末はフェルドウェイの手腕に掛かっているでしょう。

 ルミナスを墜とせれば西欧諸国まで一気に手を広められるので、南のミリム領が膠着状態に陥っている間に西側から魔国連邦テンペストを攻めることは出来るでしょう。そうなったら、ヴェルザードでエルドラドにいるギィを孤立させ、東の帝国は魔国連邦テンペストの背後に回る配置上、魔国連邦テンペストと一騎打ちに持っていけます。西と南に目を向けさせて、帝国内の地獄門を使った東からの不意打ちも有効でしょう。

 地味にサリオンが危ない位置にいることに気付きましたが、サリオン~魔国連邦テンペスト間にある魔導列車が良い味出してます。サリオンとエルドラドの海路とサリオンと魔国連邦テンペストの陸路、この流通網で魔国連邦テンペストへの兵糧攻めを防いでいます。まあ転移魔法があるので地理とか関係ないかもしれませんが。

 それにしてもミカエルの能力全てをリムルに奪われたのは致命的過ぎますね。

蟲魔族〈インセクト〉勢力

 劣化版イヴァラージュである幻獣族クリプテッドが意思を持つことで変性した個体がゼラヌスで、その眷属が蟲魔族インセクトです。フェルドウェイと決別する前は妖魔族ファントムと共同で幻獣族クリプテッドの討伐に協力していましたが、決別後は三竦みとなり独自に安住の地を求めて基軸世界に手を伸ばしていました。ですが、妖魔族ファントムの主がミカエルに交代することで共同戦線を張ることになります。

 見返りとして基軸世界の半分を貰うという内容で協力したようです。フェルドウェイとしても滅ぼそうとしている世界なので特に思うところはなく、長年の決別を感じさせないほど簡単に異界陣営に参入しました。

 半精神生命体であるため物質世界でも自由に精神体と物質体を入れ替えられるので、妖魔族ファントムのように受肉する必要がありません。また強固な外骨格と虫の特徴を保有しているので、一種族では考えられないほどの多彩な戦闘手段をもっています。また、混沌とした魔素環境の異界で発生したためか魔法に対して絶対の耐性を保有しており、悪魔族デーモンに対する優位性を得ています。

 幹部である十二蟲将の内三名が離反し、一名が死亡しているため軍団は全盛期の2/3程度となってるようですが、個ではなく群体としての思考が強いのか軍隊は死を恐れることなく特攻をしてきます。そのため威嚇や示威行為が意味を成さないので、被害を低く抑えるには指揮官の幹部以上を早期に倒す必要があります。因みに離反した三名はグランベルの友であり西欧諸国の北壁であったラズルと、リムルによって保護されたゼギオンとアピトで、死亡した者は帝国の近衛騎士インペリアルガーディアンであったミナザです。つまりシオンは蟲将の内二名を打倒しているわけですね。

 ある意味真剣に基軸世界の土地を欲している勢力のため、ぶつかった勢力は削り合いを余儀なくされます。19巻では基軸陣営最大であるミリム勢力を抑えるために、ミカエルはゼラヌスに対し「ミリム領を献上する」として蟲魔族インセクト軍を侵略させました。蟲将はゼギオンクラスの覚醒魔王級がいるようなので、ミリム軍+αでも消耗戦になりそうです。

巨人族〈ジャイアント〉勢力

 ”聖虚ダマルカニア”を支配域としている魔王ダグリュールが統率している軍団です。ダグリュールは太古の昔に兄弟三人でヴェルダナーヴァに挑んで負けた後、穏やかになりダマルカニアを支配していたようです。そこには会心しなかった三男「フェン」が封印されているので、その場を動くことは出来ません。

 また、ミリムの魔王覚醒時に暴走したミリムとそれを抑えようとするギィの激突の衝撃を抑えたのがラミリスですが、その際の抑えきれなかった余波をダマルカニアから異次元へと逃がしたようで、ダマルカニアの周辺は”不毛の大地”となってしまったとのこと。さらに周囲には”死の砂嵐”が常に吹いているので一部の強者しか出入りできず、資源輸入などの貿易は出しません。

 そんな状態なのにダグリュールはフェンの封印を守護するためにダマルカニアを動けない、という雁字搦めな状態に陥っているのです。それでも基軸陣営に協力してくれたのが聖人ダグリュールだったのですが。19巻にてフェルドウェイがフェンを解き放ち、世界に反乱し続けるフェンの記憶と同調した結果異界陣営へと鞍替えしました。

 ダグリュールの影響下にあるらしい巨人族ジャイアント軍も異界陣営へと参入し、フェンを大将としてダマルカニアへ攻め込んでいたフェルドウェイ麾下の妖魔族ファントム軍とともにルべリオスのある東へ進軍します。そこにはルミナスをけん制しているであろうザラリオ麾下の妖魔族ファントム軍も居るので、合流して妖魔族、巨人族全軍が集合することになりそうです。

 妖魔族ファントム軍だけでもルべリオスを攻略できそうなところに巨人族ジャイアント軍まで来たので、ルミナスの軍は絶望的状況でしょう。ミカエルが脱落した影響で妖魔族ファントム軍が機能しなくなったとしても、ルミナスではダグリュールを抑えられず、フェンに敵う存在はいないので巨人族ジャイアント軍だけでも十分かもしれません。

 妖魔族ファントム軍が健在だとした場合は

  • ディアブロ原初vsザラリオ始原
  • シオンvsダグリュールWeb版の再現
  • ヒナタvsグラソード存在値同等の剣使い(巨人次男)
  • ウルティマvsピコ&ガラシャ19巻からの再戦
  • ルナミスvsジャヒル神祖の高弟
  • アダルマン&アルベルト&ウェンティ貧乏くじvsフェン余り者

のマッチアップになるでしょうか(ディーノはどうせ戦わない)。

 ミカエル脱落による影響が出た場合はピコとガラシャが抜ける可能性があり、ジャヒルの究極付与アルティメットエンチャントがどうなっているのかが不可解ですが、そうなった場合は手の空いたウルティマがアダルマン達の助勢ですかね。三兄弟が悪魔合体した場合はウルティマとヒナタでジャヒルを、シオンとルミナスで三位一体を相手取ることになるかもしれません。

第三勢力

 最後に、大戦の行く末を予測困難にする第三勢力の存在です。これから参入してくる存在、あるいはもう消滅したけど復活しそうな存在で、大戦に影響を及ぼせる者を挙げます。なので、ここにまとめたからと言って協調しているとは限りません。

幻獣族〈クリプテッド〉

 正確に言うならば”滅界竜”イヴァラージェですが、とりあえず種族表記にしておきます。

 どこでいつ生まれたのかも分からない”暴虐の具現”であるイヴァラージェと「劣化版イヴァラージェ」のような存在である幻獣族クリプテッドは、知性を持っていないので種族内で協力し合っているわけではありません。しかし狂暴で狡猾、半精神生命体なのでどんな環境でも存在することが出来、戦闘に明け暮れているので凶悪な種族とされています。

 なので、脅威を取り除くには絶滅させるしかありませんが、魔素から自然発生するので大本であるイヴァラージェを討伐する必要があります。しかし、おおよそヴェルダナーヴァでなければ倒せないのがイヴァラージェなので、その派生である幻獣族クリプテッドは消えません。

 今のところ大戦に影響はありませんが、フェルドウェイが基軸世界にイヴァラージェを放とうとしていたように、これからどう動くか分かりません。そんなところに19巻ではイヴァラージェに悪意が芽生えました。それまでとは違う、明確な”破壊の意思”です。

現状は”進化の眠り”に着いているので20巻での本格的な動きは無いでしょう。しかし、19巻で異界陣営の主であるミカエルが脱落したので、20巻で天魔大戦の情勢が異界陣営の不利に陥る場合もあります。そうなればフェルドウェイがイヴァラージェを世界に解き放つことも考えられます。

 経過した時間的にも、21巻ならばちょうどイヴァラージェが眠りから覚める時になる可能性は高いです。そうなればフェルドウェイが決断をする/しないに関わらず、芽生えた悪意に従ってイヴァラージェは基軸世界に侵略してくるでしょう。同時に幻獣族クリプテッドも発生すれば、両陣営ともに混乱は必至です。

 魔王間ではギィがイヴァラージェを抑えることになっているので、そうなれば「どれだけ早くヴェルザードを諫められるか」が問題になってきます。個人的にはギィとルドラマサユキのコンビでイヴァラージェと戦って欲しい。

道化

 14巻で分裂した中庸道化連は、18巻で一味のフットマンがジャヒルに乗っ取られ、それによりボスであるユウキと副会長であるラプラスを失いました。残る会長のカガリと負傷中のティアは魔導連邦テンペストの預かりとなり、中庸道化連は事実上消滅しました。

 しかし、ユウキとラプラスの復活フラグが立っています。過去にユウキを”悪意”と表現されていた場面もあり、イヴァラージェとの関連付けも出来るので、イヴァラージェの進撃とともにユウキの復活が成される場合もあります。

 そうなればイヴァラージェによって混乱する情勢に成り上がるチャンスを見て、道化ジョーカーよろしくさらに混沌とした情勢に変えるでしょう。現状イヴァラージェと同様に読めない存在です。もしかしたら、カザリームのように精神体のみでさ迷ってイヴァラージェに取り憑くかも。


 現状をまとめると、以下になります。

 色々と解説しませたがミリムvsゼラヌスが膠着状態に陥りそうな状況なので、20巻では主にルべリオスの戦場が描写されるでしょう。そうなった場合の戦力は以下です。

ルべリオス防衛サイド

  • ルべリオス軍
    • ルミナス
    • ヒナタ
      • 聖騎士団クルセイダース(百数十名)
    • ルイ
      • 法皇騎士団ルークジーニアス(約三十名)
    • ギュンター
      • 吸血鬼族ヴァンパイア軍(?名)
  • テンペスト軍
    • ディアブロ
    • ウルティマ
      • ゾンダ
      • ヴェイロン
        • 黒色騎士団ブラックナンバーズ(約三百名)
    • ソウエイ
    • シオン
      • 紫克衆ヨミガエリ(約一万名)
    • アダルマン
      • アルベルト
      • ウェンティ
        • 死霊アンデッド軍(アダルマンの匙加減=数)

総数…10,500+?名

ルべリオス侵攻サイド

  • 巨人勢力
    • ダグリュール
    • グラソード
      • 巨人族ジャイアント軍(?名)
    • フェン
  • 妖天勢力
    • ジャヒル
    • ザラリオ
      • 妖魔族ファントム軍(三十万名)
    • ディーノ
    • ピコ
    • ガラシャ

総数…300,000+?名

 転スラでは「数より質」なので数の違いはあまり関係ないですが、全体的な質の差が響きそうです。妖魔族ファントムもそうですが、巨人族ジャイアントも”死んだ土地”で生活している以上強者であることは想像できます。もちろん、吸血鬼族ヴァンパイアは長年天魔大戦対策で技術開発を行っているはずですし、ダマルカニアは砂漠を挟んで隣なので対策を考えていないわけはないでしょう。

 その長年の準備にも注目です。なろうの伏瀬先生の雑記ページでも20巻の天地鳴動編はダグリュール大活躍となっているので、どんな風に活躍するのか気になります。21巻がゼラヌス大活躍だから、ダグリュールは敵として活躍するのか。

 魔国連邦テンペスト本国はミリム領への援軍でしょう。リムルはルミナスへの援軍を含めて休む暇がなさそうです。


 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 誤字脱字等の間違い、ご意見等ありましたらコメントでご指摘お願いします。


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