【転生したらスライムだった件】の文庫版小説第19巻では、異界に存在する勢力と基軸世界に存在する魔王勢力の戦争である”天魔大戦”が本格的に開始されました。理由はどうあれ基軸世界に存在する生命を滅ぼしたい異界の勢力たちが基軸世界へ侵攻し、それに魔陣営(魔王勢力)が対応する形で始まった天魔大戦は基本的に攻め手である天陣営(異界勢力)が主導権を握っていjました。ちなみに、19巻までの天魔大戦の動向は以下の記事で解説しています。よければそちらも観ていってください。
20巻でも天陣営が大きく動くことで魔陣営を振り回すことで敵味方が入り乱れる大混戦の様相となっています。そこで今回は20巻の状況を章ごとに振り返っていきます。ちなみに、新しく出た設定等の解説や考察は別で行いますのでご了承ください。
当然ながら小説第20巻のネタバレにあたります。ご注意ください。
最後までお付き合いいただければ幸いです。(振り返りは飛ばしても支障はありません)
章ごとの振り返り
19巻は天魔大戦の緒戦となっていて、戦局は3つでした。そのうち2つ、イングラシア王国でのマサユキ暗殺ではフェルドウェイが敗北し魔陣営の勝利し、ダマルカニアでの二星侵攻ではダグリュールの裏切りが発生し魔陣営は撤退するも天陣営の首魁であるミカエルが消滅し痛み分けの形となりました。
そのため、残る戦局はミリム領ユーラザニアでの蟲魔勢力vsミリム軍のみです。開戦前の状況が以下です。(〇は超級覚醒者)
蟲魔勢力
- ゼラヌス〇
- ゼス〇
- ピリオド〇
- ムジカ〇
- ティスホーン〇
- サリル〇
- トルン〇
- アルバト〇
- ビートホップ〇
- 蟲魔全軍
計300万以上
ミリム軍
- ミリム〇
- ミッドレイ〇
- 武僧神官僧
- 雇われ後方支援軍
- カリオン〇
- 飛獣騎士団
- フレイ〇
- ミリム親衛隊
- オベーラ〇
- ミッドレイ〇
- カレラ〇
- エスプリ
- ゲルド〇
- 黄色軍団
- 橙色軍団
- 計35000名
- ガビル〇
- 飛竜衆
- 100名
- 飛竜衆
総計20万強
質の差はあまりありませんが、数における大きな違いが存在するので戦局は侵攻サイドの蟲魔勢力が圧倒的に状況な有利です。また、幹部級のマッチアップは以下のようになっていました。大将であるミリムとゼラヌスは互いに様子見のようです。
- ゼスvsカレラ
- ピリオドvsエスプリ
- ムジカvsゲルド
- ティスホーンvsオベーラ
- サリルvsミッドレイ
- トルンvsフレイ
- アルバトvsカリオン
- ピートホップvsガビル
ちなみに、19巻までにしていた個人的な予想では、ざっと以下の画像のようなことを考えていました。そのため、ユーラザニア攻防戦は消耗戦の膠着状態へ移行すると予想していました。
最初の決戦
軍団の動きとして、基本は以下でしょう。
- 蟲魔軍は損害度外視で特攻
- ミリム軍は完全回復薬をふんだんに使い、ゲルド麾下の黄色軍団と橙色軍団を前面に押し出すことで戦線を維持
ここで、連携の取れているミリム軍は幹部級同士の戦闘の余波を利用し蟲魔軍に被害を与えていくことでミリム軍有利となっていきます。
幹部級ではまず、ピリオドvsエスプリの盤面にカリオン麾下飛獣騎士団の三獣士であるフォビオ、魔国からの増援であるゴブタ&ランガ、ゴブアなどが援護に入り時間稼ぎに徹します。次に、ピートホップvsガビルの盤面に三獣士のスフィアが参戦し勝利します。同じくフレイ、カリオン、ミッドレイが勝利することで蟲魔軍の幹部級である下位蟲将が全滅しました。(上記5~8番のマッチアップで決着)
しかし、下位蟲将が倒されたことでピリオドが”蟲皇妃”としての本性を現し、「倒れた同胞の力を取り込み仲間に分け与える」という切り札を切ります。これは、戦場で打倒された蟲魔軍全ての死骸を取り込みパワーアップするということです。
それにより、まずピリオド相手の盤面はエスプリ&フォビオ、ゴブアが離脱し、フレイ、カリオン、オベーラ、ミッドレイが参戦しゴブタ&ランガを加えた5人で拮抗を維持させることになります。
vsピリオド
out…エスプリ、フォビオ、ゴブア
in…フレイ、カリオン、オベーラ、ミッドレイ
member…ゴブタ&ランガ、フレイ、カリオン、オベーラ、ミッドレイ
また、そこにムジカvsゲルドも巻き込むことで2vs6の混戦となりました。
そして幹部同士の戦況を動かしたのがゼスvsカレラの第1マッチで、カレラが切り札を切ることで強化されたゼスを打倒します。その残心に付け入り、両者を喰らい自身を強化しようとしていたゼラヌスがカレラを奇襲し戦闘不能に追い込むとともにゼスの死骸を捕喰。また、ゼラヌスが動いたことでミリムも乱入し、ゼラヌスvsミリムの大将戦が始まります。
- ピリオド
- ムジカ
VS
- ゴブタ&ランガ
- フレイ
- カリオン
- オベーラ
- ミッドレイ
- ゲルド
ゼラヌス
VS
ミリム
大将の一騎打ちは、互いに「土地にダメージを与えない」という利害が一致し膠着状態へ。そのため勝敗は2vs6の乱戦へと託されました。
倒れた蟲魔軍の存在値や技量を取り込んだピリオドが無双しながらもオベーラの指揮とゲルドの耐久により粘りますが、蟲魔軍のほとんどを統合したピリオド相手にジリ貧となります。ですがミッドレイがムジカと一騎打ちに持ち込み打倒し、1vs6に。さらに、ゼラヌスによる奇襲で戦闘不能となっていたカレラが戦線復帰し、限界突破による奇襲でピリオドを打倒しました。
残されたゼラヌスはミリムと五分であることを考慮して戦線離脱。つまり、蟲魔軍vsミリム軍のユーラザニア攻防戦はミリム軍の完全勝利となったわけです。
…がしかし、余韻に浸るミリム軍の前にヴェルザードが強襲し、ミリム軍が壊滅。それにより怒りに吞まれたミリムが暴走し、ヴェルザードvs暴走ミリムへ移行します。
報告と対策
ミカエルの消滅に動揺していたもののイングラシア王国から帰還していたヴェガの激励により立ち直ったフェルドウェイは、ミカエルが決死で遺した力を用いて再起を図ります。まず行うのは目標の再定義で、元々あった「美徳系究極能力の蒐集」と「竜の因子の蒐集」というミカエルが目指していた目標を変更しました。
現在、未取得の美徳系究極能力は智慧之王・誓約之王・希望之王で、竜の因子はヴェルドラのみです。ミカエルは、原初である美徳系究極能力を収束することでヴェルダナーヴァの能力を再現し、ヴェルダナーヴァの系列である竜種の因子を収束することで規模を再現し、最初の勇者であるルドラの系譜を器とすることでヴェルダナーヴァを復活させようとしていました
ここで、ミカエルがルドラの肉体とともにリムルに取り込まれ、マサユキは真なる勇者に覚醒した結果異界勢力では許容できる損害度合いで打倒できるビジョンが浮かばないため、器に関しては目標を切り替えます。それが後述するサリオンの神樹です。
そのために、ルミナスへのけん制の為に出動していたザラリオと暴走気味だったジャヒルを呼び戻し、一部作戦を変更します。
ところ変わって神聖法皇国ルべリオスでは、リムルとルミナスが今後の対処について話していました。
現在、ルべリオスは19巻で天陣営に寝返った魔王ダグリュールとその軍団による侵攻の危機に陥っています。もしもルミナスが負けルべリオスが墜とされれば西欧諸国は墜とされたも同然で、ジュラの森に存在する魔国の喉元まで食い込まれる形になります。そのため、リムルとルミナスは協力して巨人軍の侵攻を食い止めなければなりません。
そこで、ルミナスは防衛戦力の、リムルは派遣戦力の情報共有を行います。
ルべリオス防衛軍
- ルミナス
- ギュンター
- 血紅騎士団
- ルイ
- 7大貴族
- ギュンター
魔国軍ルべリオス派遣組
- シオン
- 紫克衆
- 恐怖騎士団
- アダルマン
- 死霊軍
- ガドラ
- ウルティマ
- 黒色軍団
数は色々と公開されていますが、正直なところ数はあまり意味を成す情報ではありません。実際に、ルべリオスの表の主戦力である神聖騎士団はBランク以下の為戦力として計算されていません。また、ルべリオスの表の主戦力の精鋭であり坂口日向が擁する聖騎士団は、フェルドウェイが行ったイングラシア王国でのマサユキ暗殺計画に伴う被害の後処理を行っているため開戦には間に合わないとされ除外されています。
ですが、ルミナスと同じく神祖の高弟であるギュンターや、魔王役を行っていた超級覚醒者のルイ、ルイを頂点とした魔王種の7大貴族。さらに上位種族である吸血鬼で構成される血紅騎士団が存在します。そこに対邪龍用防御機構等が存在し、魔王クラスの存在でも阻む防衛陣となっています。
以上に対する巨人軍「縛鎖巨神団」は大まかに以下となっています。
巨人侵攻軍
- ダグリュール
- グラソード
- バサラ
- 五大闘将
- 縛鎖巨神団
- フェン
縛鎖巨神団の中で精鋭であるAランク以上の者は千人弱存在し、中には厄災級以上の上級闘士が100名、超級覚醒者であるグラソード、バサラ、さらには竜種クラスであるダグリュールと双璧を成すフェンが存在します。そのため、雑兵ではルべリオスに軍配が上がりますが、幹部同士の質では巨人軍に軍配が上がるようです。
転スラにおいて戦争は「量より質」なので種族的に質が高い巨人軍は有利ですが、ダグリュールとフェンが揃っている時点で竜種2体を相手にするようなもので圧倒的に不利となります。
これらの確認作業中に、リムルはユーラザニアでのミリム軍+魔国援軍の全滅報告を受けて、対策の為に帰国します。ヴェルザード襲撃直前に一足早く帰還しようとしていたゴブタ&ランガが撮影した現地映像から状況を確認し、手が空いている聖魔十二守護王を招集。ミリム暴走はイヴァラージェ開放に代わる世界の破滅プランであり、ヴェルザードもいるためギィに増援を依頼してリムルとタッグで自体の対処に当ります。
しかし、リムルとギィの出撃直後に魔国へ魔導王朝サリオンへの天陣営侵攻報告が入り、魔国からはベニマルとソウエイが派遣されることになりました。また、ミリムとヴェルザードがサリオンへ移動の報告が入り、魔国で保護されていたカガリ、ティア、レオンの三人が追加出撃します。またまたさらに、出撃直後に巨人軍転移によるルべリオス攻撃が開始されたという報告が入りました。
震撃の巨人
巨人軍は古城舞依の権能で「転移による軍団奇襲」を行いますが、それを予想していただけでなく永い間”人類の守護者”として準備していた対魔結界を使用しているルべリオス防衛軍は難なく防ぎます。奇襲を防いだ防衛軍は、先鋒としてアダルマン率いる死霊軍をぶつけて主力を温存させる形になりました。
巨人軍の前衛に居た下級兵士は死霊軍の近代兵器に吹き飛ばされたため、ダグリュールは同程度の下級兵士を帰還させて主力で応戦します。それに対応する形で防衛側も紫克衆等の主力を順次投入していき、さらにはアダルマン・ガドラ両名の極大魔法により大きく損耗した巨人軍はついにダグリュールを含む幹部級が総出撃します。
グラソードはアルベルトが、フェンはウルティマ・アダルマンが抑えますが、ダグリュールの進撃を止められるもの居らず容易にシオンを蹂躙していきます。不意を突いたルナミス秘策も通用せず、絶望的な状況に陥るものの、まさかの助っ人が希望となって登場しました。
神樹攻防戦
ところ変わってリムル・ギィが向かったユーラザニア跡地では、フェルドウェイと会合します。そこでミリムが王権発動による支配を受けたことが判明し、ミリムはフェルドウェイの命令によりサリオンへ飛んで行きます。
因みに、ミリムにサリオンを襲撃させた理由は国家を形成する”神樹”の破壊にあるとのこと。神樹とは世界に現存する聖遺物であり、世界の魔素を安定させ天災を防止する役割を担っているようです。当然ながらそれを破壊されれば世界の混乱を必至です。
神樹のあるサリオンでは、放浪していたシルビアも含めたサリオンを構成する十三王家が足並みを揃えて迎撃を行い、魔国からの援軍が来るまではサリオン最強戦力であるシルビアとエルメシアの母娘がザラリオやジャヒル等の幹部級を抑えます。そこに援軍が来たため、両戦力は以下のようになりました。
サリオン侵攻軍
- ザラリオ
- ジャヒル
- 妖魔軍
サリオン防衛軍
- シルビア
- エルメシア
- 十三王家
- 魔法士団
- 十三王家
- ベニマル
- ソウエイ
- レオン
- カガリ
- ティア
防衛側は陽炎之王の「意思統制」があるベニマルが前線指揮の形で指揮を取り、サリオン軍を立て直していきます。また、妖魔軍の幹部であるザラリオはレオンとソウエイが、ジャヒルはシルビア、カガリ、ティアが受け持ちます。
ここでは、レオンとザラリオの実力がひっ迫していたり、ベニマルの指揮がシルビアたち三者に一体感を与えたり、カガリとティアが天の声により究極の権能を得たりすることで有利を取っていました。しかし最大の問題であるミリムの暴走を間近に控えています。
それを危険視するのは天陣営の者も同じで、正義之王の支配により攻撃を強制されているザラリオは神樹と心中したいわけではなく、さらには世界を滅ぼそうとしている天陣営に組したいわけではありません。そこでザラリオはレオンに支配解除の協力を要請しますが、天の声により「神樹防衛の協力」を対価に「支配の解除」を約束されます。協力を約束することでザラリオ(ついでにレオン)は無事に能力改変が成されました。
これによりミリム鎮圧への人員はリムル、ベニマル、ソウエイ、レオン、ザラリオとなりました。4人がミリムの気を引くことで攻撃方向を調整し、リムルがミリムへの支配を解除させました。ですが、ミリムの暴走状態は支配と関係無いので続いています。そのためリムルは、周囲への影響を考えてダグリュールの支配域である”不毛の大地”へと誘導します。
また、残っていたジャヒルはザラリオの離反により孤軍となったため、引く直前に高火力の範囲攻撃を放ち全滅を確認せず引いていきます。これにより妖魔軍の指揮権を持つ者がザラリオのみとなったため、神樹攻防戦は終了しました。
ところ変わって天陣営の本拠地”天星宮”では、神樹破壊作戦の失敗報告をフェルドウェイが受けていますが重要度は低かったようで、軽く切り替えて次の作戦「迷宮攻略」へと移行します。迷宮攻略の人員はディーノ、ピコ、ガラシャ、ヴェガの4名で、天陣営は総動員となりました。また、フェルドウェイも次の仕事へと動きます。
リムル消失
ミリムの誘導に成功したリムルは更なる対処に思考を回しますが、そこに迷宮侵攻の知らせが来ます。ですがミリムの相手をしているリムルは動けず、さらにその状態でフェルドウェイが乱入し、ミリムを再度支配します。
それにより2対1となり、リムルは圧倒的な不利に対処しようとしますが、その不意を突くようにフェルドウェイの時空転送をくらい、リムルはヴェルグリンドと同じように時間も空間も異なる座標へと転送されてしまいました。
21巻以降の考察
まずは、20巻終了時点での状況を整理していきましょう。
状況整理
20巻で発生した戦局は以下です。
- ミリム領旧獣王国ユーラザニアでのミリム軍VS蟲魔軍
- 神聖法皇国ルべリオスでのルべリオス防衛軍VS巨人軍
- 魔導王朝サリオンでのサリオン防衛軍VS妖魔軍
- ジュラ・テンペスト連邦国の迷宮での迷宮軍VS妖天
個人の戦闘として、ユーラザニアで発生しているギィVSヴェルザードとユーラザニア→サリオン→ダマルカニアへと移動してるリムルVSミリム(&フェルドウェイ)もあります。
内、終息したのは①と③です。①は結果的に双方の全滅という最悪の結果に終わり、③は逆にどちらも軽微な被害で終わっています。そして、②はダグリュールの震撃はありますが軍団としては双方均衡し、④は発生したばかりで未だ被害は出ていないでしょう。さらに、個人戦ではリムルが退場しています。
そのため、両陣営の戦力は以下のようになっています。
天陣営
- 妖魔勢力
- フェルドウェイ
- ディーノ
- ピコ
- ガラシャ
- ヴェガ
- ジャヒル
- 古城舞依
- 蟲魔勢力
- ゼラヌス
- 魔王勢力
- ダグリュール
- フェン
- グラソード
- 縛鎖巨神団
- ミリム
- ヴェルザード
- ダグリュール
天陣営は、フェルドウェイを含む竜種級が6人いるという圧倒的な戦力質を誇っています。なので、攻め手で在ることも相まって戦局を有利に動かすことが出来ます。また、単純にリムルを退場させてミリムを獲得しているのは相対戦力差的に大きなアドバンテージとなってるでしょう。
しかし、見ての通り軍団が巨人軍しか存在しましせん。もしかしたらフェルドウェイ麾下の妖魔軍がいるかもしれませんが、それもザラリオの離反に付随してザラリオ麾下の妖魔軍が離反しているので、妖魔軍は半壊と言っていいでしょう。
そのためすでに人員は総動員で、圧倒的有利ではありますが余裕がある状況ではありません。また、天陣営は各々で目的が異なるので空中分解の可能性が常に存在しています。
全てはフェルドウェイのカリスマに懸かっています。
魔陣営
- 魔王勢力
- ベニマル
- ソウエイ
- シオン
- ディアブロ
- テスタロッサ
- ウルティマ
- アダルマン
- ゼギオン
- 魔国軍
- ヴェルドラ=テンペスト
- クロエ=オベール
- ギィ・クリムゾン
- レイン
- ミザリー
- 悪魔軍
- レオン
- カガリ
- ティア
- 色騎士団
- ルナミス
- ルイ
- ギュンター
- 吸血鬼軍
- 坂口日向
- 聖騎士団
- ザラリオ
- 妖魔軍
- ベニマル
- 人間勢力
- 本城正之
- ヴェルグリンド
- 帝国軍
- ヴェルグリンド
- エルメシア
- シルビア
- サリオン軍
- シルビア
- 本城正之
対して魔陣営は、戦力の質的に圧倒的に劣っているでしょう。竜種級はギィ、ヴェルグリンド、マサユキ?、クロエ、ヴェルドラ、ザラリオ、ディアブロと天陣営を上回っていますが、全員が自国の防衛に気を使わなければいけならず、またマサユキとクロエは戦力として安定していないので駒としての自由度は低くなります。そのため、この中で自由に動かせるのは自身の領地を放棄できるギィと自国の防衛をゼギオンに任せられるディアブロのみでしょう。
しかし、天陣営とは対極に軍団は多く保有していて、自国防衛のための準備は永くから成されています。また、竜種級の中で「並列存在」を使える人数も天陣営を上回っているので、防衛側であることも相まって「手が足りない」という事態には成り得ないでしょう。
天陣営が既に総動員なこともあるので、今後は数を活かした連携が効いてくるかもしれません。
今後の展開
現在継続されている戦局が以下の三つです。
- ルべリオス防衛戦
- ギィvsヴェルザード
- 迷宮防衛戦
以上の3つは多少の違いはあれど、Web版と同じ展開を辿っています。そのため、今後の展開も大筋はWeb版と同じものになるでしょう。
ルべリオス防衛戦の今後
ここの戦況を端的に言えば「ダグリュール無双」です。侵攻軍である巨人軍”縛鎖巨神団”の幹部勢を魔国の援軍を中心に押し留めていますが、首領であるダグリュールが圧倒的すぎて防衛軍に勝ち目が無い状態でした。その絶望的な状況を打破するために現れたのが、魔国の最終防衛ラインことヴェルドラでした。
以上の内容で、Web版と異なっている点はほぼありません。違いがあるとすれば敵側に天使の軍勢、味方側に七曜の老師が居らず、味方側にウルティマが居る程度で主要キャラのマッチアップはほぼ同じです。そのため、今後の展開もほぼ同じでしょう。
ちなみに、Web版ではシオンの覚醒やヴェルドラvsダグリュールのマッチアップが存在していました。
ギィvsヴェルザード
ギィを引っ張り出したいが故にミリム暴走のきっかけを作ったヴェルザードと、その鎮圧に向かったギィは当然ながら二人で戦っています。これは対決までの過程や場所などでWeb版とは相違がありますが、二人が戦うことになった根本的な原因は変わりません。また、ルべリオス防衛戦と同時進行で行われていることも同じです。
そのため、展開の大筋は同じだと考えられます。ですが、戦闘勃発への過程が違う以上細かい違いはあるでしょう。
まず、元々16巻巻末で支配され離反を経てから二度目の戦闘である文庫版とは違ってWeb版では離反を経ておらず、支配されたクロエがギィを戦闘で喜ばせていることに嫉妬したヴェルザードが暴走し三つ巴の戦闘になる展開でした。そこにヴェルグリンドのギィへの助勢、ルシアの天使長の支配による介入、さらにヴェルドラの助勢を経て、ギィがヴェルザードの支配を解くことで事態は収束されます。
これらの展開が元になると踏まえて、文庫版にて介入が予想されるのは以下のキャラでしょう。
- フェルドウェイ(天陣営)
- 最大の障害であったリムルを退場させた場合、次に優先して排除すべき対象がギィのため
- ミリム(天陣営)
- フェルドウェイに支配されているため
- ヴェルグリンド(魔陣営)
- 世界を滅ぼされるのは都合が悪いため
- フェルドウェイに一度負けているため
- ヴェルドラ(魔陣営)
- 暇してたら姉に招集(強制)されそうなため
- レイン(魔陣営)
- ギィのお手伝い
- ミザリー(魔陣営)
- ギィのお手伝い
こうなれば3vs3+2サポートになり、ギィがヴェルザードを開放させる際の補助も足りますし、原初の中で覚醒イベントが発生していないレインとミザリーの覚醒イベントへ繋げることが出来ます。また、フェルドウェイの目的にヴェルドラの因子があるので、ここでヴェルドラと接触させて次のイベントを発生させることが出来ます。
ちなみに、Web版でここに居たクロエは、ミカエル戦の消耗が回復していないため魔国で休養を取っているため、こちらには介入しないでしょう。
迷宮防衛戦
Web版でもルべリオス防衛戦と入れ替わるように発生している迷宮防衛戦は、20巻の最後でやっと始まったばかりです。違いとしては、事前に消化されていたリムル退場演出が迷宮侵攻直後に発生していることです。リムル退場による影響は分かりませんが、Web版ではゼギオンが混乱を収めていたので防衛自体に大きな影響はないでしょう。
また、迷宮侵攻組や迷宮防衛組の構成はほぼ変わらないので、展開もほぼ同じでしょう。とは言い切れません。というのも、伏瀬先生によると21巻「迷宮浸蝕編」ではゼラヌスが大活躍する予定だとこちらで語られているからです。
ゼラヌスはWeb版に存在しないキャラで、現在はユーラザニアで撤退し行方をくらませています。ゼラヌスの目的は安住の地であり、ユーラザニアがヴェルザードにより氷雪地獄と化している以上どこかに流れことになり、魔国は地理的にユーラザニアの北西すぐに位置しているので次の目標とする可能性は高くなります。魔国には自身の糧に出来るほどの強者が多いのも狙う理由となるでしょう。
そのため、迷宮防衛戦は以下の戦力となるでしょう。
迷宮攻略組
- ヴェガ
- ディーノ
- ピコ
- ガラシャ
- ゼラヌス
攻略組は、存在値が高く成長性としぶとさを兼ね備えた究極能力を持つヴェガ、高い技量に天使系と大罪系究極能力の二つを持つ始原の一角であるディーノ、同じく天使系究極能力を保有する始原のピコとガラシャ、竜種級であるゼラヌスで構成されています。
質の面で圧倒的に勝っているだけでなく、ヴェガとゼラヌスは「他者を喰らって強く成る」性質を保有しているので、下手に数を投入できません。そのため、質で勝っている迷宮攻略組が圧倒的に有利となります。
しかし、その他三人がザラリオと同じく強制されている立場なので積極的ではなく、真面目に攻略しないため超級覚醒者では無くても止められる可能性があります。つまり、攻略の是非はヴェガとゼラヌスに全てが掛かっていることになるわけです。
迷宮防衛組
- ディアブロ
- テスタロッサ
- クマラ
- ゼギオン
- アピト
- ベレッタ
- エウロス
- ゼピュロス
- ノトス
- ボレアス
- トレイニ―
- トライア
- ドリス
- カリス
魔国の守護王の半数以上が他勢力に派遣されていて、さらにヴェルドラ、リムルという最強戦力が存在しないため質の面で圧倒的に劣っています。しかし、それらに代われる戦力は一応存在します。
それが配下最強であるディアブロとゼギオンです。
最恐魔王に並ぶディアブロは、リムル曰く「リムルと同じことが出来る権能」を持ち、頭が切れるので魔国の司令塔として機能することが出来ます。また、迷宮最強戦力であるゼギオンはヴェルドラの弟子であり、権能もヴェルドラに寄せられたものなのでヴェルドラの代わりを務めることが可能です。
さらに、迷宮十傑の上位戦力であるクマラ、ラミリスの副官であるベレッタ、ヴェルドラの副官であるカリスを筆頭に残っている迷宮戦力も充実していて、テスタロッサも手が空いてて指揮に加わることが可能なはずなので、ヴェガとゼラヌスに重点を置けばホームアドバンテージも相まって十分に防衛可能でしょう。
そのため、マッチアップが組まれるとしたら以下が考えられます。
- ヴェガvsテスタロッサ&アピト
- ゼラヌスvsゼギオン
- ディーノvsベレッタ
- ピコvsクマラ
- ガラシャvsトレイニ―&カリス
ヴェガの相手は19巻で止めを刺し損ねたテスタロッサと、テスタロッサと組んでいたヒナタの弟子であるアピト。ゼラヌスの相手はおそらく潜在能力的にゼラヌスに匹敵しそうなゼギオン。ディーノの相手は16巻で苦戦していたベレッタ。ピコの相手もディーノと同じ理由でクマラ。ガラシャは相手が居ないので適当に。一応ディアブロは全体の指揮もあるのでマッチアップさせず、場合によって補助で介入する形になると考えています。
Web版では迷宮への浸蝕によりホームアドバンテージを奪われるので勝利への確実性はありませんが、現状は不明ながらクロエ、ゲルド、ガビルが療養中なので回復次第では勝利を確実にすることもあるでしょう。一応、ミカエルの攻撃を受けて意識を失っていたレオンが既に回復しているので、クロエが回復して状況を改善させる可能性は大いにあると考えています。
問題は、Web版で発生した迷宮浸蝕を最終的にリムルが収めている点です。リムルは生存が濃厚とはいえすぐに戻ってこれるのか分からない状態ですし、Web版に沿った展開だった場合はリムルの役割を代行する者が必要です。先述したように、一応はディアブロが同じようなことが出来るとされていますが、こればかりはディアブロでも出来るか怪しいところです。そのため、もしかしたらラミリスの限定復活イベントが前倒しで発生するかもしれません。
リムルの帰還
そして最後に、巻末で発生したリムルの消失についてです。リムルの消滅もまたWeb版で発生したイベントなので、Web版と同じ様に帰還してくることは分かっています。ですが問題は、Web版よりも前倒しで発生したためWeb版と同じ帰還するためのピースを回収しきれていないことです。
Web版ではマイのユニークスキル「旅行者」を解析・複製することが帰還の足掛かりでしたが、今回はそれがありません。とはいえ、ヴェルグリンドの次元跳躍も同系統の権能であり、フェルドウェイによる時空転送が次元跳躍と同系統の能力とされています。そのため、戻ることは十分に可能でしょう。
次元跳躍は、異世界間で強力な繋がりを用いて時間も空間も隔てた跳躍先を捕捉し次元を超える権能です。ヴェルグリンドの場合は、最愛であるルドラの魂の欠片を跳躍先とすることで跳躍していました。そのため、リムルもまた”魂の系譜”の繋がりなどを利用して基軸世界へ帰還できるでしょう。
しかし、次元跳躍における時間の正確性に問題があります。ヴェルグリンドの次元跳躍では、跳躍時のルドラの魂の欠片を保有する人間の年齢は様々でした。若い青年の場合もあれば、死に際の老人の場合もあります。そのため、魂の縁から強い繋がりを持つ対象を捕捉し傍に跳べても、都合の良い時間には跳べないのです。
つまり、「リムルが消失直後から跳躍先にする仲間が死亡するまでのどの時期に跳躍するか分からない」というわけです。場合によっては「少数の仲間が生き残ったものの世界が滅亡した」という時期に跳ぶ可能性もあります。
とはいえ、ヴェルグリンドは基軸世界から跳んだ直後に時間誤差無しの入れ替わりで戻ってきているので、シエルの力もあればなんだかんだ大丈夫でしょう。今後最終版で登場するであろうイヴァラージェと同じタイミングで帰還するかもしれません。
以上で文庫版小説第20巻の振り返りと今後の考察は終わりです。新登場の究極能力の解説/考察も別途行いますので、楽しみにしていただければ幸いです。
誤字脱字を含む間違いや、ご意見等ありましたらコメントでご指摘お願いします。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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