【転生したらスライムだった件】の文庫版小説は、この記事を作成している現在2022年6月から半年前に文庫版小説第19巻が発売しており、時期的にそろそろ20巻が発売するはずです。過去に何度も記事にしているように、19巻では状況が大きく動いたので20巻に進む前に現状確認が必須となっています。
今回はその内の一つである「クロエ=オベールの能力」について解説・考察していきます。文庫版19巻までの情報を用いています。ネタバレにご注意ください。
19巻以前
19巻にて進化し、能力が変化したので19巻以前と19巻以降に分けさせていただきます。
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第23話「救われる魂」より引用
クロエ=オベールは、後に勇者→魔王となったレオン・クロムウェルと共に基軸世界へと転移してきた異世界人です。転移直後に過去から作品開始時点の数年前の現代へと召喚され、井沢静江に4人の召喚者と共に保護されました。
シズの死後は意思を継いだリムルが教育を引き継いでおり、リムルによってクロエを含む5人は精霊を宿した精霊使役者となっています。
精霊使役者〈エレメンタラー〉
精霊使役者は、契約した精霊に魔素を渡すことで「精霊魔法」を行使します。
精霊
精霊とは「自然を構成する要素」であり、自然現象そのものが意思を持った存在といえます。そのため、精霊魔法は”元素魔法”などの「改変された独自現象」とは違って自然現象の一部であり、周囲の物質と反応させることで消費した魔素以上の影響力を発揮することができます。
例えば「神之怒」が分かりやすいでしょう。あれはただ「水玉をレンズ状に形成して浮かべる」だけの魔法ですが、自然現象の一部なので虫眼鏡の代替として光を屈折させて収束させることで、熱線が出来ます。イフリートに水を大量にかけることで水蒸気爆発が発生するのも同じで、精霊が自然の一部だからこその反応です。
また、精霊そのものが自然現象なので元素魔法とは違って精霊魔法は詠唱が必要ありません。術者が負担するのは魔素だけでしょう。とはいえ、発生させる現象の規模は魔素に依存するので威力は術者次第となります。術者自身が強く成り”契約”からその先の「精霊召喚」→”支配”にまで至ることで、精霊を直接使役するだけではなく使役した精霊が司る精霊魔法を完全に自分の物とすることが出来ます。
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第23話「救われる魂」より引用
精霊には司る属性が存在し、基本が「地・水・火・風・空」、勇者の資質を示す「光・闇」、全ての属性を兼ねる「時」があります。上位精霊になると個としての意思を持ち、さらに上に行くと最上位精霊である”精霊王”が存在します。また、「精霊」と「聖霊」の分別があり、明確な区分は明かされていませんが、おそらくは基本の五属性が「精霊」で勇者の資質を示す三属性が「聖霊」と称すると考えられます。
クロエに宿ったのは「時の聖霊」、ではなく未来から跳んできた「クロノア」です。
クロノア
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第23話「救われる魂」より引用
クロノアは「神智核」と呼ばれる上位存在です。神智核の詳細は分かっていませんが、スキルのような演算機能を有する独自の機構が余分な演算領域を持つことで思考の余地ができた結果自我が発生し神智核になると考えられます。「筋肉を動かす臓器」である脳が、肉の量に対して余分に大きくなったために思考の余地が生まれたのと同じですね。
また、クロノアは起源もはっきりしていませんが自身で「悪徳の化身」と称しており、Web版ではユウキが保有していた意思が同じように呼ばれていました。
発生したばかりの頃のクロノアは「破壊の意思」とも形容されるほどの暴れ馬で、クロエでなければ一切の制御が利かない存在でした。クロエの能力の高さも相まって、一度制御下から離れればギィや竜種のような最上位種でなければ抑えられません。
19巻までは、クロエ=オベールの能力全般であるヴェルドラに匹敵するほどのエネルギーや究極能力『時空之王』の制御を担っていました。
存在値
存在値は明確に数値として明かされていませんが、「ヴェルドラと同等の存在値」と称されています。ヴェルドラの存在値は「8812万EP」となっており、作中で詳細が出ている存在ではミカエルの存在値に次ぐ大きさとなっています。
また、詳細が明かされていない者でもヴェルザードが「約8000万EP以上」で、同じく竜種であるヴェルグリンドは「7435万EP」なので、クロエは少なくともヴェルグリンド以上の存在値を保有していることが分かります。
個人的には「ヴェルドラ≧クロエ>ヴェルザード」だと思います。
なぜ人間であるクロエが竜種クラスのエネルギーを保有しているのかは分かりません。但し、これほどのエネルギーを人間が制御するのは無理があるようで、「無限牢獄」に封じていなければ肉体が崩壊してしまうようです。【NARUTO】における「人柱力」に近いでしょうか。内に封じたエネルギーは、使う時だけ封印を緩めて取り出すのでしょう。
時空之王〈ヨグ・トソース〉
クロノアやヴェルドラを封印していた「無限牢獄」に、時間跳躍を行う権能の「時間旅行」、ユニークスキルながら究極の権能に匹敵する攻撃力を誇る「絶対切断」、名付け時に親から授けられた「簒奪者」の4つを統合することで創られた究極能力です。「無限牢獄」、「絶対切断」、「時間旅行」の三つが究極の権能に匹敵するスキルであり、それらをヴェルドラに匹敵する膨大なエネルギーを用いて統合しているためか、究極能力の更なる進化で獲得することが出来るクトゥルフ系の究極能力となっています。
解析・分析特化の演算系究極能力の頂点である智慧之王でさえ解析が一朝一夕では追い付かず、解析が終わらなかったようです。シエルに進化した後は『時空之王』の描写が無く、結局権能は分からずじまいでした。
権能の構成予想(時空之王)
ですが統合に使った能力は分かっているので、構成する権能は以下だと考えられます。
- 無限牢獄
- 絶対切断
- 免許皆伝
- 時間流支配
- 時空間操作
- 3と4はオリジナル
簒奪者が「格上相手への技術学習/奪取」でありそれの進化なので「免許皆伝」で、「時間旅行」の時間干渉を「時間流支配」と考呼称しています。演算・解析系の権能はクロノアが保有していると考えているので、時空之王に構成されていないと考えています。
因みに、時間干渉では「時間加速」のような順転操作だけではなく「時間の逆行」のような逆転操作も可能であると考えられます。
停止世界
天災級の超越者の中には、純粋な存在力を以って世界の時間を停止させる者がいます。世界の時間を完全に停止させるので、膨大なエネルギーが必要で最低でも竜種クラス(数千EP以上)の存在値がなければ発動できません。つまり、一度で世界全体に干渉できる影響力が必要な訳です。
”停止世界”では時間が停止しているので、身体を動かすどころか思考することすら出来ません。停止世界に干渉するには、最低でも情報子に直接干渉する力のある”情報生命体“である必要があります。情報子で周囲の情報子と交信することで停止世界を認識することが可能で、自身の情報子を隣接する空間座標にタイムラグ無しで送信し転移し続けることで身体を動かします。
クロエはスキルで時間干渉が可能で、さらに竜種クラスのエネルギーを保有しています。そのため、停止世界で動くだけでなく時間停止を発動することも可能です。しかし、時間停止技能はまだ権能依存のようなので、権能を手にしてから日の浅いクロエは自ら発動するのはリスクがあるようです。(時間停止を失敗すればただエネルギーを大量に消耗するだけになる)
希望之王〈サリエル〉
美徳系究極能力の内一つである『希望之王』は元勇者であるグランベル・ロッゾが獲得し、人類の希望を託す意味を込めて最強の勇者であるクロエへと送られたスキルです。グランベルはユニークスキル「不屈者」から進化させていますが、ユニークスキルともども詳細の権能が明かされていません。しかし美徳系究極能力ということから簡単に権能を明かされており、希望之王は「生命の根源であり、輪廻の輪を管理する為の権能」とされています。
そのニュアンスや劇中でのグランベル/クロエの活躍から、大まかに「生命力を増幅させる権能」と「生命を支配する権能」があると考えました。また、先述の通りこの希望之王はグランベルが不屈者から進化させたスキルなので、それに付随する権能もあるでしょう。
権能の構成予想(希望之王)
そこで、構成する権能は以下を考えています。
- 思考加速
- 英雄覇気
- 不撓不屈
- 賦活再生
- 生々流転
- 3~5はオリジナル
グランベルが元勇者なので「英雄覇気」、精神・身体耐久上昇の「不撓不屈」、近接戦に必須な「思考加速」の3つが不屈者からの引き継ぎとして考えています。そして、希望之王固有の権能として、生命エネルギーを増幅させる「賦活再生」、”生と死”を操作するための「生々流転」を考えました。
作中で披露された技である「運命流転」は「クロエが”そうあれ”と定めた状態に変化する」という能力でした。これは時空之王の権能による技だと考えられますが、”今まで辿ってきた状態へと回帰させる”という能力だと個人的に解釈しました。それならば「輪廻の輪を管理する」権能である希望之王でも可能に思えます。なので、「運命流転」は時空之王と希望之王の権能を組み合わせた技術かもしれません。
聖霊武装
聖霊武装とは「精霊武装の原典の衣」とされています。
精霊武装
まず、精霊武装とは精霊をより具現化しやすく調整された聖なる鎧で、精霊の力をより万全に行使可能になります。非物質化可能なので持ち運びが不要で、重量も存在しないようです。さらに、武装に破邪の能力や耐性無視の能力が付与されるので、攻撃力の補助にも用いれます。
多性能な分消耗も激しいので長時間の使用は出来ないようですが、力で劣る人間が魔物に対抗する為に有用なので聖騎士が愛用している武装になります。
そして聖霊武装は「勇者も用いたことがある」とされるので、「光/闇/時」の精霊と契約した”勇者の資格”を持つ人間のみに着用できる鎧だと考えられます。対魔・竜武装となっているので、魔王や竜種と戦う為に用意された鎧と考えられます。
月光の細剣〈ムーンライト〉
伝説級の細剣で、精神体への攻撃も可能となっています。特性は「七採終焉刺突撃」で、効果は「七回の傷で相手を絶命させる」というものです。
精神体への直接攻撃であり魂ごと滅ぼすことが可能なので、精神生命体も変わりなく滅ぼすことが可能です。また、伝説級なので並の防御では意味を成しません。少なくともユニークスキルでも最上位の結界系スキルでなければならないでしょう。
以上のように強力な権能に技術、ヒナタから受け継ぎ神話級へと昇華させた聖霊武装と月光の細剣、さらには2000年のループを幾度も経験して得た技量が合わさることで、作中最強格であったミカエル・フェルドウェイと互角に戦っています。
以上が19巻の中盤までの能力ですが、終盤のミカエル戦後に進化し能力の構成が変化しています。
19巻以降
クロエは19巻の最終盤で、神智核ミカエル(並列存在)を究極能力『正義之王』へ逆行させ打倒した際に、生きる意味を忘れている正義之王にクロエは「自身を主として世に留まるか」と提案しました。するとクロエに「勇気・希望・正義」の三要素が集まり、希望之王の欠陥要素が埋まって時空之王に完全統合されました。それにより『時空之神』へと完全進化しています。
時空之神〈ヨグ=ソトホート〉
”勇気”が真なる勇者としての格、”希望”が究極能力『希望之王』、”正義”が究極能力『正義之王』だと考えられます。そうなるとクロエは「希望之王を保有して真なる勇者」なので”勇気”と”希望”の要素を持っており、ミカエルであった究極能力『正義之王』を取り込むことで”正義”の要素を揃えたのでしょう。
そのため、時空之神は時空之王、希望之王、正義之王の権能が組み合わさっていると考えられます。
また、ミカエルは支配していた者のスキルを複製?し保有しているので、同じくミカエルを取り込んだリムルはミカエルの保有していた七つの天使系究極能力の情報を得ています。そのため、クロエは何かしらの天使系究極能力の権能を時空之神に組み込んでいる可能性があります。つまり、時空之神は時空之王、希望之王、正義之王の権能だけで構成されているわけではないかもしれません。
また、クロノアと一体化した影響で演算系の権能も統合されていると考えられます。少なくとも4つ以上の究極能力が統合されていることになるので、クロエの許容量も相まって盛り沢山の構成となっているでしょう。
権能の構成予想(時空之神)
そこで考えた権能が以下です。
- 思考加速
- 神聖覇気
- 解析鑑定
- 並列演算
- 詠唱破棄
- 次元操作
- 時間流支配
- 勇猛果敢
- 精魂輪廻
- 神聖無為
- 多重存在
- 6~10はオリジナル
1と3~5はありがちな演算・解析の権能を並べているだけで、特に深い理由はありません。2の「神聖覇気」も同様に、勇者が獲得できると考えられる覇気系の権能を加えただけです。
6の「次元操作」は、正義之王の「王宮城塞」と「無限牢獄」、「時空間操作」を統合した結界系権能を考えています。王宮城塞は「自身へ向けた信仰心を燃料にした絶対防壁」、無限牢獄は「虚数空間を用いた封印」、時空間操作は「時空間(?)を支配する」的な空間操作能力です。なので、次元操作は「界を用いた限定的な世界創造」を考えています。ラミリスの「迷宮創造」の簡易縮小版みたいなイメージです。
7の「時間流支配」は時空之王の権能の引き継ぎです。
8の「勇猛果敢」は時空之王の「免許皆伝」と希望之王の「不撓不屈」、「賦活再生」の統合を考えています。格上相手への学習能力である免許皆伝と耐久能力である不撓不屈、生体エネルギーを増幅させる賦活再生は全て自分で予想したものなのでさらに統合させるともはや妄想なのですが、相性が良いと考えて統合版を考えました。単純に「攻撃を受ける度に強く成り、受けた技を模倣する権能」でいいでしょう。
9の「昇天輪廻」は正義之王の「天使之軍勢」に、個人的に予想した希望之王の権能である「生々流転」を統合させたものです。天使之軍勢は文字通り「強さに反比例する数の天使族を召喚する」権能ですが、天使族は種族特性で自我が希薄です。そこで、”生と死”を司り輪廻の輪を管理する希望之王の権能として考えた「生々流転」を用いて、召喚した天使族に管理下の魂を宿らせ受肉させる権能を考えました。
10の「聖性無為」は、正義之王の「天使長の支配」と”究極付与“「代行権利」が統合された、という想定の権能です。天使長の支配は正義之王を”支配系最強のスキル”足らしめる権能で、「天使系究極能力に支配人格を発生させることで支配を所有者にまで伝播させる」という完全支配の権能ですが、クロエのキャラ的に精神支配系の権能は合わないと考えました。
そこで、「自身の権能を貸し与え、支配対象の権能を行使可能する」という権能である代行権利と統合分離させ、さらに天使系究極能力の情報を収集完了した影響を加えて、「天使系究極能力や聖属性の能力を無効化する」という権能を考えました。なので、「聖属性を支配下に置く」ではなく「聖属性に対し絶対的優位を持つ」というニュアンスの権能となっています。
11の「多重存在」は正義之王の「並列存在」の進化系と考えてください。Web版で並列存在の上位互換として登場しており、Web版のリムルが獲得しています。おそらくは、ミカエルを喰らったリムルはこの権能を獲得すると考えられるので、同じ要素を吸収したクロエも獲得すると考えました。
現状、1つの究極能力に対する権能の最大数が『混沌之王』の「10」ですが、『究明之王』単体を進化させた混沌之王とは違って三つの究極能力、それもクトゥルフ系一つと美徳系二つで、さらに神智核を統合させて、天使系究極能力七種の情報を加えて進化させた時空之神はさらに多くても大丈夫だろうと考えたので、権能の数は「11」としています。
存在値
ミカエルはヴェルグリンドとヴェルザードの”竜の因子”を取り込んでいました。それによるものかは分かりませんが本体の存在値は1億EPを超えており、クロエは2割程度の並列存在を取り込んでいたので、クロエの存在値は1億EPを超えている可能性があります。
また、時空之神を獲得した影響かは分かりませんが、クロノアがクロエへ完全に統合されました。3人いる神智核の中で唯一スキルから進化した存在ではなく、起源のはっきりしないクロノアだからこそ主との融合という現象が発生したのでしょう。先述の通り、クロノアの権能は時空之神に組み込まれたと考えられます。
これらの身体への影響で種族が変化している可能性があります。まだ種族は人間だったはずですが、Web版では”半神半人“となっていたはずなので進化している可能性もあります(明言はされてないかも?)。
ちなみに、ミカエルを吸収しましたが器であるルドラの肉体はマサユキへと還元されました。ここで、ミカエルが保有していた”竜の因子”が精神に宿すものなのか、肉体に宿す物なのかでクロエの進化形態が変わってきます。肉体に宿すものであった場合はクロエに竜の因子が渡らないことになるので前述と変わりませんが、竜種が精神生命体であり竜の因子は精神に宿す物であった可能性もあるので、クロエに竜の因子が渡っている可能性もあります。
その場合、クロエの種族はリムルと同じ様に「竜種(亜種)」となっているでしょう。リムルは「竜種粘性星神体」となりましたが、クロエの場合は「神聖な竜」という意味で「竜天族」なんていう種族に進化しているかもしれません。
とはいっても、種族は「半神半人」が有力だと思います。「竜天族」はあわよくばといった感じです。
まとめ
以上が19巻を経たクロエ=オベールの能力の解説・考察は以上になります。予想したものまでまとめると以下のようなステータスになります。
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小説版第11巻挿絵②より引用
![](http://ykkapjett.conohawing.com/wp-content/uploads/2022/06/image-10.png)
存在値、究極能力は解説の通り。加護は文庫版第4巻にてクロノアを視たラミリスが「時の大精霊の加護を受けて―?」と言っていた為。称号は名乗りのまま。魔法は精霊使役者なので一応精霊魔法に。耐性は竜種のものを採用しています。
何かしらご意見やご指摘があればコメントで教えてください。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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