【ONEPIECE】の《FILM RED》にて、メインキャラとして劇場版限定キャラである〈ウタ〉が登場しました。ウタは作中の大メインキャラ2人との関係性とその生い立ちから、たった1度の登場のみで絶大な人気を獲得しています。
しかし、ウタの魅力はその2人に付随した物だけではありません。その代表が「ウタウタの実」の能力です。
ウタウタの実の能力はウタが劇場版での登場のみだったために、注目度に反して多くを明かされていません。
そこで今回は、ウタウタの実の能力について解説および考察をしていきます。
最後までお付き合いいただければ幸いです。
解説:ウタウタの実
まずは、ウタウタの実について分かっていることを挙げていきます。
子守唄
ウタウタの実の能力における最大の武器は、子守唄とも称せる”歌声を聴かせた相手を眠らせる“力です。
発動までのタイムラグは不明ですが、発動条件は聴かせることのみ。そのため、肉声だけではなく音声通信による歌でさえ眠りに誘うことが出来ます。
記録音声で発動条件を満たすのかは不明ですが、能力とはあくまで”能力者が能力を発動しようとする”ことで発揮されるものです。現状、受動的な能力発動は確認されていない以上、地雷式の録音発動は無いでしょう。
しかし、逆に言えばライブであれば無差別ということです。そのため、少しでも歌を聴いてしまえば眠りに誘います。
眠らされた対象による自発的な解除は不可能で、解除条件は能力者自身が眠ること。子守唄である以上、歌い手がいなくなれば起きることも出来てしまうのでしょう。
能力の行使には多くの体力が必要なようで、時間的に言うと一晩保たせることは不可能です。ウタの場合は「一度のライブで寝落ちしてしまう」とのことなので、能力の維持は数時間が限界だと考えられます。ちなみに、発動対象人数による体力の消耗具合は分かっていません。能力の規模を大きくすれば消耗は激しくなりそうですが、如何に。
ウタ・ワールド
ウタウタの実の最大の武器が子守唄ならば、最大の特徴は「ウタ・ワールド」でしょう。
ウタ・ワールドは、子守唄で眠らせた対象が見る”夢の世界“です。夢の支配者は当然ながら能力者であり、夢であるが故に世界の内側では何でも可能にします。
物理法則に逆らって空を飛んだり、無から有を発生させたり、本当に何でもありです。
眠らされた者はウタ・ワールドで夢を見るわけですが、意識ははっきりしているようで自分の意志で行動することが可能です。そのため、子守唄は”眠らせる”というよりも”意識を送る“と言った方が適切でしょう。
ウタ・ワールドに送られた者は自由意志で行動できるものの、全ての事象は能力者の意のままなので何も成せないことには変わりません。
ウタ・ワールドは備え付きのようで、抜け出す方法は”起きる”こと。つまりは、能力者が眠ることです。そして先述したように、眠らされた者が自発的に起きることは不可能なので、能力者が眠るまで待つことしかできません。
トットムジカ
最後に、ウタウタの実の切り札が「トットムジカ」になります。
トットムジカは、世界政府の最高権力者である五老星さえも危険視する”終末兵器”です。”古代兵器”に比する脅威として描写されていて、”歌の魔王“とも称されていました。
魔王の名にふさわしい巨体であり、ウタウタの実の能力者が媒体となる楽曲「TotMusica」を歌うことで発生し、その巨体を生かした暴力やビームなど何でもありの暴虐を尽くします。
また、あくまで眠らせるだけのウタウタの実の能力における唯一の例外で、トットムジカは現実世界にも発生します。現実世界とウタ・ワールドを繋げる起点となっているようで、二つの世界を跨いで存在するようです。
そして、トットムジカの最大の特徴は「普通に打倒出来ない」ことです。トットムジカを打倒するには、現実とウタ・ワールドの両方から同時に攻撃する必要があり、攻撃する場所も一致させなければいけません。
ウタ・ワールドにいる者は現実世界で眠っている以上、現実世界とウタ・ワールドの境を超えて意思疎通を図ることはできません。それでも連携を図るとすれば「ウタ・ワールドに囚われている電伝虫が受信するウタ・ワールド内の情報を現実世界の電伝虫に送信して、その情報を現実世界の者が読み取って合わせる」くらいでしょうか。
一応、トットムジカもウタウタの実の能力の一部なので、能力者の体力が尽きれば消滅します。しかし、先述の通り難易度の高い打倒方法の上で暴虐が発生するので、古代兵器と比する脅威となっています。
以上が、ウタウタの実の能力で判明していることです。
考察
ウタウタの実は劇場版のみの登場なので、当然ながら不明な部分は多くあります。その中で個人的に2つ劇中で疑問に思ったことがあります。それが以下になります。
- 能力解除の抜け道
- 現実への能力波及
能力解除の抜け道
先述した通り、歌も聴いた者は無差別で眠ってウタ・ワールドに囚われるわけですが、ウタのライブを観ていながらウタ・ワールドに囚われていない者がいました。それがカタクリです。
カタクリは、ウタの能力に目を付けたビッグマムとともにライブ映像を観ていて、当然ながら歌を耳にしていました。そうなるとカタクリはビッグマムと共にウタ・ワールドへ囚われるはずですが、カタクリはそうはならず眠ってさえいませんでした。
つまり、能力を防ぐことが出来る、あるいは解除する抜け道があるということになります。
劇中において、カタクリ以外で能力を解除していた者は描写されていませんでした。そこで、カタクリとそれ以外の者で相違点を探したところ、思い付いたのが”覇気の強さ”でした。
覇気は人に潜在する3種の超常能力です。そして、覇気には以下の言及が成されています。
“能力”が世界を制することはない!!!
この世はうまくできてるロジャーが能力者じゃなかったように…!!!
集英社,週刊少年ジャンプ,著:尾田栄一郎/ONEPIECE第1047話「空の都」,by.カイドウ
覇気だけが!!!全てを凌駕する!!!
だが…四皇戦で学んだ…!!!
敗れるハズだ…
集英社,週刊少年ジャンプ,著:尾田栄一郎/ONEPIECE第1063話「たった1人の家族」,by.トラファルガー・ロー
過剰な覇気に”能力”は通じねェ!!!
”最強生物”カイドウは覇気が能力よりも上位の力だと断言し、ローは覇気で能力を敗れると実証しました。つまり、ウタウタの実の能力による“子守唄”も覇気で防げると考えられます。
カタクリは、ルフィのギア4に打ち勝つ武装色、未来を視る見聞色、その実力に裏付けられた覇王色を持ちます。ここまで鍛えられた覇気は希少で、能力を破ることも可能なレベルに達しているのでしょう。
そのため、カタクリはライブを観ていても眠りに誘われなかったと考えられます。
しかし、そうなると疑問が浮かびます。それは「ルフィもまた覇気で能力を破ることが出来たのではないか」という点です。
ルフィはカタクリに勝利していることから、カタクリと同等以上の覇気を発することが出来るはずです。また、鬼ヶ島では自身が気絶していても覇王色の覇気を発して周囲にいるモブを気絶させていました。
つまり、ルフィならば子守唄を防げるだけでなく、例え眠ったとしても覇王色で傍にいたウタを気絶させて起きることができたはずです。なぜ出来なかったのか。
それは、ルフィとウタの関係性にあると考えられます。
ウタはルフィの幼馴染であり、共に「新時代を築く」と誓い合った親友です。そして、幼少期からルフィはウタの歌と夢を享受していました。だからこそ、子守唄を防げなかったのでしょう。
また、劇中でルフィは変わり果てたウタの歌を否定しましたが、ルフィはウタに対して戦意を向けませんでした。対話による解決を辞めなかったのです。それでは覇気を向けることはできないでしょう。
だからこそ、カタクリは覇気で能力を防げたものの、ルフィは防げなったのだと考えます。
以上より、ウタウタの実の能力もまた”過剰な覇気で防ぐことが可能”という原則の元に解除できると考えられます。
現実への波及
先述の通り、ウタウタの実の能力はあくまで”眠らせる”ことであって、ウタ・ワールドの事象は夢の出来事です。現実へ直接的な影響を及ぼすトットムジカは、あくまで例外のような扱いをされていました。
しかし、私は「トットムジカは例外ではない」のではないかと考えています。
なぜそう考えたのかは以下になります。
まず、作中にて悪魔の実の正体について以下の仮説が登場しました。
“悪魔の実”とは……!!!
誰かが望んだ「人の進化」の可能性である!!!ああなれたら良いな……!!!
こうなれたら良いな……!!!多岐に渡る人類の未来が”能力”である!!!
集英社,週刊少年ジャンプ,著:尾田栄一郎/ONEPIECE第1069話「万物は望まれて、この世に生まれる」,by.ベガパンク
あくまで”仮設”となっていますが、間違っている仮説を出す意味が無いので正しいと受け止めるべきでしょう。つまり、能力とは誰かが望んだ結果だということです。
ここで、トットムジカの正体について触れましょう。
トットムジカの正体は小説版にて明かされていて、『「寂しい」「認められたい」「誰かに見つけてほしい」といった歌を愛する人々の負の感情の集合体』である”心の闇”とされています。人の想いが集積された結果であり、その具現だということです。
比較してみると、トットムジカが「人の想いの集合体」で悪魔の実の能力が「誰かの望みの産物」と、どちらも「誰かの意志が産み出した物」となっています。ここから、悪魔の実の能力は”誰かの願いも力に変えることが出来る“のではないかと考えました。
言ってしまえば能力は”願望器”です。誰かの願いを受け取り、それを具現化させる機構。
それならば、トットムジカの正体が理解できます。
いつの時代も不幸な人間は多くいて、そんな者たちが不満を歌という形で紡ぐ。より多くの人間がその歌を唄うほど想いは集積されて、より大きな力になる。
特に、ウタの場合は大海賊時代という世界的な不満に対する吐け口となっていたので、トットムジカに乗せられる力も割り増しでしょう。
ですが、同時にウタは”平和”を歌う世界の歌姫です。それならば、不満や悪意などだけではなく、幸福や善意などもまた集積できるのではないでしょうか。
そこで最初に戻ります。
負の感情を集積したトットムジカと同じ様に、正の感情を集積した歌もまた現実に影響を及ぼすほどの力に成り得ると考えられます。それこそ、大海賊時代では”癒し”を望む声は多いでしょうし、人々に癒しを与える能力があってもおかしくはありません。
今回の記事は以上になります。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
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