【呪術廻戦】の作中にて、単行本第0巻(劇場版アニメ)の主人公として登場した「乙骨優太」は、作中”最強”である五条先生に続く強さのキャラクターです。表面的な性格は「穏やか」で五条先生とは全く似ていないものの、その分戦闘時のイカレ具合が強烈な印象を与えてきます。また、肉体はひ弱ですが呪術の才能に満ち溢れている点が主人公の虎杖悠仁との対比になりながら、「秘匿死刑宣告を一度受けている」という共通点があるのも印象に残ります。
以上から分かる通り、呪術師として異常な強さを誇る乙骨優太ですが、未だ術式の詳細が判明していません。そこで今回は、そんな乙骨優太の術式について考察していきます。
※注…乙骨優太について第175話までのネタバレを含みます
乙骨優太についてのおさらい
まずは、乙骨優太について作中で明かされている情報をおさらいしていきます。
血筋
乙骨優太は先祖の覚醒遺伝で才能を受け継いだため、呪術師の家系ではありません。力の源となっている血筋の元は「菅原道真」です。
菅原道真を簡単に紹介すると、魑魅魍魎跋扈する平安時代(約千年前)の政治家です。主に当時の主権を握っていた藤原氏の政敵となる存在でしたが、敗北して罪人として左遷されています。そして死亡直後、当人を失脚させた人間が悉く急死し、京で天変地異のような災害が相次いだため「日本三大怨霊」に名を連ねています。
最強である五条悟も菅原道真の家系なので、まさに最強五条家の血筋と言ったところでしょう。
能力
現状判明している乙骨優太の能力は以下です。
- 作中最高の呪力量
- 術式「里香」
作中最高の呪力量
当人曰く「五条悟を上回る呪力量」とされています。それにより、常に身体から多量の呪力が立ち上ったような状態となっています。
そのため、単純な基礎身体能力強化だけで「作中屈指の身体能力」を持つ虎杖と並ぶ身体能力を発揮することが可能となっています。つまり「肉体が貧弱なのに運動能力は化け物」という状態になっているのです。
また普通の呪術師は、攻撃/防御の瞬間に合わせて攻撃/防御部位に呪力を集中させますが、乙骨は「並みの呪術師が集中させた以上の呪力」が常に全身を覆っているため、全ての攻撃が必殺クラスで、全ての防御が最硬となっています。
そこに禪院真希に教わった剣技が合わさることで、近接戦で無類の力を誇っていた虎杖を術式未使用の近接戦のみで圧倒していました。
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リカ
乙骨優太の術式であり強さを象徴する存在が、乙骨の式神「里香」です。
その存在の発生原因として、乙骨と幼馴染である折本里香の間で結んだ「利害の一致による”縛り”」があります。里香の「乙骨と一緒に居たい」という想いと、里香の事故死直後に乙骨が抱いた「里香が死んでほしくない」という想いが偶発的な”利害の一致”を招き、乙骨自身の呪術的才能もあって”特級過呪怨霊”という折本里香の魂を核にした式神「里香」が発生しました。
特級過呪怨霊という分類から分かるように特級呪霊に相当する呪いの力を持っており、”呪いの女王”とも称されています。その凶悪さの理由は縛りによって成立する里香の特性、「底なしの呪力量」と「無条件の術式模倣」にあります。どちらもそのままの意味で、呪力は「無制限」となり、術式を表す印を模倣することで「術式のコピー」を行えます。
ですが、それも乙骨側の要求する縛り「里香が死んでほしくない」が消えた結果、里香の解呪が成功し消滅しています。だというのに第137話で再登場した乙骨には「リカ」が取り憑いていました。
ここで第90話「渋谷事変⑧」で羂索は「無条件の術式模倣、底なしの呪力量、どちらも”最愛の人の魂を抑留させる縛り”で成り立っていたに過ぎない」と言っており、「里香」と「リカ」の形状は異なるので、成仏した「里香」と現在憑いている「リカ」が別固体なのは確実でしょう。
そのため縛りの発生していない「リカ」は「里香」よりも弱いことが伺えます。とはいっても第140話では怪力自慢の虎杖を簡単に抑えつけ、第174話では一撃で橋を落としたりと強力なままです。
以上、乙骨には大まかに二つの強さの理由が存在しています。
術式考察
まず、乙骨の術式として候補に挙がるのが「術式模倣」と「式神術(里香)」ですが、これは公式ファンブックより「里香」と表記されています。そのため、「術式模倣」が乙骨の術式ではないことが分かります。
そうなると「術式模倣」は「里香」の機能ということになりますが、なぜ「そんな機能があるのか」という疑問を持たれた方がいると思います。私は思いました。ですがこの問題は、乙骨と里香の間で結ばれた縛りの内容から理由を推測することが出来ます
乙骨優太と折本里香の”縛り”
先述したように、乙骨と里香は無意識に利害の一致による縛りを交わしていたため、乙骨は死後の里香を式神「里香」とすることが出来ました。その縛りは婚約指輪を媒体に刻まれたもので、内容は以下だと考えられます。
- 乙骨優太の要求
- 里香の存続
- 折本里香の要求
- 乙骨との共存
- 乙骨優太の代償
- 最愛の者里香の呪霊化
- 折本里香の代償
- 最愛の者乙骨から供給されるの愛情の喪失
どちらも「一緒に居たい」と願ったからこそ「乙骨の術式としての共存」が成され、代償として乙骨は「最愛の者を愛せない状態」にさせて、里香は「最愛の者から愛されない状態」となりました。だからこそ「里香」は乙骨に愛されている他人に嫉妬しますし、乙骨側の要求が破棄され、里香は乙骨に愛されたことで里香側の代償が喪失し、縛りが解除されたのでしょう。
また、この縛りによって発生する利益は以下となります。
- 里香による乙骨優太への贈与
- 里香による無限の呪術的手段の供給
- 乙骨優太による里香への贈与
- 乙骨による無限の呪力供給
この贈与は、互いに「最愛の者に最大の代償愛を喪失させる形」となっていた為、供給できるものが「無制限」となっていたのでしょう。簡単に言えば、乙骨は「里香」に呪力を無限に搾取されますが、「里香」は搾取した呪力を使って「乙骨の願いを叶える手段呪術を提供する」サイクルとなっています。
また、以上の贈与となっている理由は縛りから想像がつきます。乙骨はどうやってでも里香を生かしたいから最も強力な力(呪力)を無制限に与えており、里香は乙骨に愛されたいからこそ無条件に”なんでも”与えようとするのです。
そのため、乙骨の術式は「里香」という式神術に当たり、「術式の模倣」が縛りによって発生した里香の機能であることが予想出来ます。
そうなると現在の「リカ」の機能も、ある程度は予測できます。
リカの機能
またも先述の羂索のセリフから「”互いに最愛の者を代償にした縛り”ではない」という予測ができます。そうなると、縛りの贈与に付随する「無制限」は得られません。そのため「リカ」には”無条件の”術式コピー機能は無いでしょう。
術式コピー
しかし、先述から術式コピーは「里香が乙骨に愛されたい」と願ったからこそ発生した機能であると予想しました。そのため、リカもまた「乙骨に愛されたい」と願えば術式コピー機能は搭載できると考えます。
もしも術式コピー機能がなくても、操術系ならば操作対象に縛りを強制させられることが確定しているので、自分を愛させることで呪術的手段を提供させることは可能に思えます。もちろん”無条件”ではないでしょうが、ある程度の条件設定をすれば術式コピーが可能でしょう。
例えば「コピー元の許諾」とかですね。「著作権の侵害をしない」といったイメージで、「呪言をコピーする場合は事前に狗巻君の許可が必要」みたいな。
第174話から、乙骨はもともと呪力の総量が底なしであることが伺えるので、出力の制限などはあるでしょうが「無制限の呪力量」は提供できるでしょう。そうなれば後は条件の複雑さ次第です。
顕現
また、「リカ」は「里香」の違いとして「顕現」があります。
「里香」は、乙骨が意識していなくとも顕現することが可能です。また、乙骨の意識に反して行動することが可能なので、無意識化でも操作可能であることが伺えます。
ですが「リカ」は、乙骨の意志により初めて顕現します(明確な意識があれば口頭での命令も不要)。また、現状は「里香」と違い上半身ではなく腕のみの顕現で、一気に顕現するのではなく手からゲートを通るように顕現しています。
そのため、「リカ」は乙骨が呼ばない限り黒い靄の内側に潜んでいるのでしょう。
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また、以上に出てきた「黒い靄」のゲートは何か。
黒い靄
これは「里香」も使っていました。なので、「リカ」にも引き継がれている機能の内1つだと考えられます。
おそらくは伏黒恵の術式「十種影法術」の召喚媒体に似通った能力でしょう。式神の召喚における出入口であり、何かを収納する為の戸口にも使えるようです。
ですが、影ではないので空中にゲートを作ることが可能です。また「里香」は右の掌から排出を行い、「リカ」は手から顕現していたことから、「手をかざした場所」がゲートとなるのでしょう。
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以上が「リカ」の機能です。
ですがここで「乙骨の生得術式はなんだ?」と思う人は多いのではないのでしょうか。少なくとも私は思いました。だって「里香」は乙骨が10歳になって契約した式神ですから”生得”とは言えません。
そのため、核である式神術としての生得術式があるはずです。だからこそ「里香」の解呪後に「リカ」と契約している訳ですから。
生得術式
乙骨の術式は「式神契約」に類するものでしょう。
まず「里香」が強力になった理由が縛りにあるので、術式自体が強力な訳ではないと考えられます。また「リカ」が「里香」と同じような機能を持ち、どちらも主人に従順です(里香はプラス甘ったるい口調)。そしてどちらも似た姿をしています。
こうなると乙骨は解呪した「里香」と再契約したのでは?と考える人もいるでしょう。ですが死者と意図的に契約することは出来ないので、それはありません。そもそも、やっとのことで解呪した里香ちゃんをもう一度戦闘に使うとは考えづらいです。
そのため、そもそも現在の「リカ」が元々の乙骨の式神だったのではないかと考えます。
というのも、先述で解説したように「里香」は折本里香の魂を核として呪霊化させた式神です。つまり折本里香は核でしかなく、怨霊としての皮は乙骨の力であるのです。
だからこそ私は、元々あった「リカ」という式神術式に「折本里香」の魂を封入することで凶悪化させたのが”特級過呪怨霊「里香」”であったと考えました。他で例えるならば、伏黒の術式を器として誰かの魂を封入し受肉させる、とかでしょうか。宿儺が伏黒を狙っているのもこれが出来るからかもしれませんね。
話を戻します。そのため、現在の「リカ」こそが乙骨の生得術式であると考えました。条件設定次第で様々な機能を加えられる傀儡のようなものですね。また、「リカ」がしゃべるのは指輪に残っている折本里香の記録を使ったからでしょう。
乙骨優太の術式に関する解説と考察は以上です。
いやほんと難しい。堂々巡りって感じでした。縛りによる能力の範囲が曖昧すぎる。それに術式コピーを出来ると考えましたが、出来なかった場合は結構変わる気がするから大変。
というか今でも乙骨優太の術式は「搾取」とかに関する術式なのでは?と思ってます。弱すぎるので記事には出しませんが。
ミス、意見等ありましたらコメントで指摘して頂ければ幸いです。
最後までお付き合いありがとうございました。
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