乙骨優太は、大まかな能力は明かされていますが細かなところが未知となっていました。私も一度、以下で術式の考察を行いましたが、呪力量や縛り、術式「リカ」の全容など、様々な考察点が存在していました。
ですが死滅回遊編、仙台結界に入ってからの活躍の影響で、次々に詳細が明かされてきました。
そこで今回は、烏鷺&石流戦を経て明かされた乙骨優太の術式について解説し、さらに修正を加えた考察を語らせていただきます。
※物語のネタバレはありませんが、【呪術廻戦】第180話までに既出の情報のネタバレを含みますのでご注意ください。
術式解説
乙骨優太の術式は「里香」となっています。「里香」は乙骨優太に取り憑いた特級過呪怨霊であるため生得術式ではなく、後付けの術式に当ります。
里香
折本里香と乙骨優太が互いを求めることで利害の一致を成した”縛り”は、「死者を現世に抑留する」という奇跡を招き特級過呪怨霊「里香」を発生させました。
「里香」の機能は単純で、乙骨優太への「呪力供給」とそれによる「術式補助」です。
元々乙骨が”底なし”と称されるほどの呪力量を誇っていたためか、その乙骨が縛ることで呪霊化した「里香」は”無尽蔵の呪力”を保有しています。それにより乙骨には無尽蔵の呪力が供給され、生得術式「術式模倣」は”無条件の術式模倣”に強化されています。
また、特級を冠する「里香」自身の強さも無視できず、完全顕現した場合は”最強”こと五条悟ですら命懸けで止める覚悟をしています。おそらくは単体で真人等未登録の特級呪霊組を超える強さを持っているのでしょう。
”呪いの女王”とも称されるほどの脅威は解呪に成功した後も影響は消えず、外装とも言うべき式神「リカ」が残りました。
リカ
外装というのは文字通りで、解呪によって核である魂折本里香が抜けて残った器です。もともと里香の呪霊化は乙骨の呪術的才能が基となって発生した現象なので、器を外付け術式の式神「リカ」として再利用することが可能だったのでしょう。
「リカ」には「折本里香」が縛られるきっかけであった”乙骨優太への恋心”が焼き付いているため、「里香」と同じ様に行動することが可能です。当然ながら乙骨に敵対する者への強烈な怒りも持ち合わせており、特に自身から乙骨を隔離しようとすると怒りで出力が上がるほどです。
ですが、「リカ」の完全顕現には制限が存在します。
まず前提として、乙骨と「里香」を繋いでいた指輪を着けていなければ完全顕現できるほどの繋がりを確保できません。そのため普段は顕現しておらず、乙骨が呼んだ際も頭部と腕のみの部分顕現に留まっています。
また、完全顕現できる時間は”5分間”のみです。発動間隔クールタイムは判明していません。
ですが、完全顕現した際は付随して「術式の使用」及び「リカからの呪力供給」が可能になります。術式は後述の生得術式「術式模倣」で、呪力供給は乙骨と里香の間に結ばれた縛りによる贈与ギフト「無尽蔵の呪力供給」に類するものでしょう。
また、リカは呪力だけでなく呪具の備蓄も可能なようです。「リカ」の胴体部分に出し入れ口があるので、胴体が顕現できる完全顕現時のみ引き出せる機能でしょう。
これは「里香」の時もあったので、細かい機能も引き継がれていることが分かります。
さらに、死滅回遊における泳者一の呪力出力を誇る石流龍の一撃を弾く硬度に、作中屈指の身体能力を誇る虎杖悠仁の身体を固めるパワーを持つため、式神にダウングレードされても特級の中で上位に位置する強さを持っていることが分かります。
まとめると以下になります。
- 里香
- 特級過呪怨霊
- 完全顕現は自由自在
- 無尽蔵の呪力供給可能
- 収納あり(容量不明)
- パワーは作中最高?
- リカ
- 式神(特級)
- 五分間のみの完全顕現(通常は頭、腕部のみ)
- 完全顕現時五分間のみの呪力供給
- 収納あり(容量不明)
- パワー・出力ともに作中最高峰
術式模倣
乙骨の生得術式の有力候補ですが、明示はされていません。
「術式の模倣」を行う術式で、作中では狗巻家の「呪言」やドルゥヴ・ラグダワラの「軌跡領域(仮称)」を模倣しています。模倣する条件は明かされていませんが、「里香」解呪前が「無条件の術式コピー」と称されていたので解呪後は条件があることが考えられます。
リカの完全顕現時のみに使用可能なので、それ完全顕現が条件なのかもしれません。
術式考察
今回、乙骨の術式で考察する点は以下になります。
- 「乙骨↔リカ」間での縛り
- 模倣条件
- 領域展開
「乙骨↔リカ」間での縛り
まず乙骨について詳細が明かされていないのが「里香と結んだ縛り」です。というよりも「無意識的に結んだ縛りの為、詳細があるのか疑わしい」と言うべきでしょうか。
まず先に”他者間での縛り”を簡単に説明すると、主な目的は「互いの行動制限」であり、損益の齟齬から制約を厳密に定める必要があるとされています。これは他人が自身に制約を定める形になるので、その制約の重要度は測りにくく違反した場合の罰則事項が予測不能になる為です。
そして乙骨=里香間で行われた縛りが以下の簡易図になります。
折本里香が轢き殺された直後に乙骨は「里香の存命」を求め、要求された里香の方は「優太と一緒に居たい」と考えていたために”利害の一致”が成立しました。それと乙骨の呪術的才能によって折本里香の魂は特級過呪怨霊「里香」として存続しています。
ここで里香が特級過呪怨霊となったのは「乙骨に才能があったから」というだけではなく、「最愛の人折本里香を抑留する」縛りの形だったためと言われています。
最愛の縛り
縛りの原則が「代償と等価の恩恵を受ける」なので、「最愛の人を抑留すること」が多大な代償になっていることが分かります。このことから、縛りは「客観的な代償の大きさ」ではなく「主観的な代償の大きさ」に依存していることが分かります。
縛りにおいて主観が重要なのは、他者間での縛りが当事者にとっても予測不能な罰を齎すことからも分かります。
ここで「なぜ主観が重要になるのか」という疑問があるかもしれません。これは簡単で「呪術が主観負の感情に依存した力だから」です。客観的に視て軽い事象でも人によっては重い事実である場合はあります。そして重い事実は大きい精神的負荷を与えるので、強い呪いを発生させます。
乙骨↔里香
乙骨と里香の交わした縛りが以下だと考えられます。
- 乙骨の要求
- 里香の存続
- 乙骨の代償
- 最愛の抑留
- 乙骨への恩恵
- 無尽蔵の呪力供給
- 里香の要求
- 乙骨との共存
- 里香の代償
- 最愛と結ばれない状態
- 里香への恩恵
- 特級への進化
利害の一致による縛り(互いに要求がある状態)なので、互いに代償が発生していると考えました。乙骨は先述したように「最愛の人を醜悪な形で抑留すること」です。そして里香の代償は、自身の存続「一緒に居たい」の前提にある”結婚願望”が絶対に叶わない形になったことだと考えます。
乙骨は里香が醜悪な姿で在り続けることを許容し続けなければならず、里香は乙骨と一緒に居ることが出来ても結婚することは出来ません。どちらも互いに「相手に乞う最大の要求」が絶対に叶わない循環が出来ています。
だからこそ乙骨は里香への恩恵として特級に魔改造することが可能になり、里香は乙骨の気を引くために恩恵として無限に呪力を供給すると考えられます。
そして、以上の「乙骨↔里香」間での縛りは、一部が「乙骨↔リカ」間の縛りに引き継がれていると考えられます。
「乙骨↔リカ」間での縛り
まず前提として「リカ」には魂がありません。そのため「縛りを課する」という意思が存在せず、乙骨との縛りも成立しません。
しかし先述したように、「リカ」には”乙骨優太への恋心”が焼き付いているとされています。そのため、「乙骨を求める」ことが可能です。さらに冥名の術式から操術系は操作対象に縛りを強制することが可能であることが判明しているので、縛りを補強することができるでしょう。
そこで乙骨が「リカ」を欲する類の要求を行えば”利害の一致”が成立するので、縛りを交わすことが可能です。
もちろん以上では乙骨のリカへの認識が”最愛の者”にならないので、「最愛の者を抑留する形」になりません。なので五分間のみの限定的な繋がりしか確保できないのでしょう。
術式模倣
先述したように、「術式模倣」は乙骨の生得術式第一候補となっています。
これはファンブックに記載されていた乙骨の術式「里香」が、外付けの式神術式であり「生得」ではないことが第178話にて判明したためです。それにより、乙骨が使っている残りの能力は「術式模倣」のみなので、「術式模倣」が生得術式なのではないかと考えられます。以下の二人もそう確信しているようです。
ですが、この術式はリカと完全に繋がっている完全顕現時のみしか使用できないため、これは生得術式と確定してはいません。つまり、上記の気付き描写は烏鷺と石流視点の話で、読者に対するミスリードである可能性もあるわけです。
完全顕現時使用可能である理由は、以下が考えられます。
- 術式発動条件が厳しく、リカからの呪力支援が必要であるため
- リカ完全顕現の縛りの一環として、乙骨自身の能力を制限しているため
- リカの機能の一つであるため
1は術式発動条件の問題があった場合の可能性です。羂索が言っていたように乙骨の術式コピーが”無条件”だったのは「最愛の者を抑留する縛り」を課していたからで、石流の考察通り「余程の条件」が必要です。その「余程」をクリアするには「リカからの呪力供給」が必須であると考えました。
2は里香再現の問題があった場合の可能性です。先述したように、里香は”呪いの女王”と称されるにふさわしいほどに圧倒的なスペックを誇っていました。それを外装があり、五分間のみという条件があるとはいえ再現するには足りないため、「自身の能力を制限する」形で自身に課するタイプの縛りを追加しているのではないかと考えました。
3は「術式模倣」が「里香」の保有していた術式であるという可能性です。夏油傑が称したように、「里香」は「変幻自在の呪力の塊」です。そして「里香」は「術式を持つ」準一級以上である特級に位置しています。そのため”変幻自在”という点が「里香」の術式である可能性があります。
もちろん、領域展開に使用したのが「術式模倣」である描写は上記右の画像から分かります。なので「術式模倣」は乙骨の術式である可能性は高いでしょうが、呪いに憑かれた場合その呪いの術式を獲得することがあります。実際に「リカ」が取り憑かれた結果獲得した術式なので、「術式模倣」は別と断言することは難しいでしょう。
以上3パターンを考えましたが、1と2の場合は乙骨の生得術式ということになるでしょう。ですが3の場合は乙骨の生得術式ではない可能性が発生します。
とはいってもこれ以上乙骨の能力を隠す意味は薄いので、メタ的な考えになりますが「乙骨は生得術式を隠している」ということは無いと思います。それでも虎杖曰く「宿儺にも勝てると思う」とのことなので、まだ何か隠している可能性もあります。
模倣条件
先述したように、模倣には「余程の条件」があると予想されます。その内の前提条件が「リカの完全顕現」があるため、実質五分間のみの使用制限となります。そのため大きな条件はクリアされていると考えられ、他の条件は軽いのではないかと考えられます。
- DNAの取得
- 術式模倣の許諾
1は作中で描写された石流の考察に則するもので、乙骨か乙骨と繋がっているリカが対象術式保有者の肉を喰らうことで模倣できるのではないかと考えられています。狗巻棘の術式「呪言」をコピーしているため、作中で乙骨が虎杖に対して言っていた「欠損した狗巻君の腕」は乙骨が喰らった結果と考えることもできます。
これは肉である必要は無く、DNAを取得できるならなんでもいい場合はあります。ですがそれには量が必要な為「肉」で十分な量を確保する必要があるのかもしれません。
そこで1の補足条件である2です。対象のDNAの量が十分に確保できない場合は、対象の許諾が必要だと考えました。これは1で指摘した「狗巻の腕を乙骨が喰った」というのは乙骨の性格上難しいのではないかと考えたことで追加した条件です。
「DNAが足りなくても対象の許諾があればいい」ということになれば、例えば狗巻棘の髪や血を少々貰うだけで乙骨は呪言を使えるようになるでしょう。
領域展開
乙骨の生得術式が「術式模倣」であると仮定して話を進めます。
術式模倣は現状呪言を使っているときは呪言のみ、「軌跡の領域化」を使っているときはそれのみ、と言った感じで「一度に模倣できるのは1つの術式」となっています。複数発動がどれだけの負担になり、どれだけ高度な技になるのかが分からない以上、これが発動条件なのかは分かりません。
しかし領域は術式を120%稼働させ制限を無視するので、そのあたりの制限は無くなるでしょう。そのため、領域を展開して得られる恩恵は「模倣術式の並列発動」だと考えられます。
また領域とは心の内の具現なので、「領域内で術式を使用された場合、DNAを取得していなくてもその術式が模倣可能になる」といった発動条件に関する制限も無視することが可能になるかもしれません。
「術式考察:乙骨優太」は以上になります。
何かしら間違いやご指摘等あれば、コメントお願いします。
最後までお付き合いいただきありがとうございます。
コメント