呪術解説/考察:天与呪縛

呪術廻戦(能力)

 【呪術廻戦】における超常要素である”呪力“は、負の感情を種にして生成される負のエネルギーです。意思によって生成されるエネルギーのため、自身の意思で条件を加えることで機能を強化させることが容易にできます。
 それが「縛り」とされる行為です。

 そんな縛りの中で、最も強力なものが”天与呪縛”です。今回は、その天与呪縛について解説と考察を行ないます。

※…アニメ第2期以降の情報も扱っています。ネタバレにはご注意ください。

 最後まで読んでいただければ幸いです。

解説:天与呪縛

 通常、縛りとは「明確な意思の下で成される選択」であり”自己に課する誓約”です。自身の意思だからこそ、能力の取捨選択も、縛りの重さも自由に決めることが出来ます。
 そのため、縛りは有用な手段として利用されています。

 しかし、天与呪縛は通常の縛りとは根本から違います。

天与呪縛と通常の縛りの違い

 天与呪縛と通常の縛りの違いは”先天性か、後天性か”という点にあります。
 天与呪縛とは「えたいの縛り」であり、縛りを課したのは自身ではなく天の導き。つまり、先天性の強制された縛りになります。

 人の意思が介在していないからこそ人間視点で理不尽な能力制限を課せられる場合もありますが、その分残された能力は人知を超えます

 天与呪縛の例は作中で3つ存在し、以下の2種類になります。

  1. 身体機能向上
  2. 呪力出力および術式範囲の向上

身体機能向上

 まず1つ目の天与呪縛は”身体機能向上フィジカルギフテッド“です。

 身体機能向上フィジカルギフテッドは単純に身体機能を向上させる縛りで、運動能力に限らす五感や反応速度など、肉体の機能全般を向上させます。対価として制限されているものは呪力です。呪力は、作品特有の超常要素であり人間を超人スーパーマンにする劇薬のため、それを縛ることで常時的な機能向上効果を得られます。
 向上度合いは縛られた呪力の度合いに依存するため、非術師や低級の術師では全ての呪力を縛られたとしても大した向上は望めないでしょう。

 しかし、作中では平凡な人間ではなく”御三家”の禪院家という呪術名門である非凡な人間が身体機能向上フィジカルギフテッドを与えられています。

例:禪院真希

 作中にて身体機能向上フィジカルギフテッドを与えられている禪院真希は、(厳密には違うものの)術師の等級で最高位に当る一級術師が強化した身体能力と同等の身体能力を得ています。

 例えば、数m程度の距離で拳銃リボルバーの弾丸を撃たれた場合、撃たれたことを認識してから銃弾を掴み取ってしまいます
 銃弾を視認する動体視力、銃弾を撃たれてから着弾するまでの数舜の間に「理解して、弾道を計算して、反応する」思考速度、その反応を実現する運動神経、銃弾を掴み取ってかすり傷で済む肉体強度。全てにおいて人外の域です。

例:禪院甚爾

 また、禪院家には呪力を完全に制限されている者も存在します。それが禪院甚爾です。
 呪力とは負の感情から捻出されるエネルギーのため、一般人でさえ持っていて当然のものです。そんな“当然に存在する物”を失っているわけですから、人知を完全に超越した能力を発揮します。

 例えば、マッハで飛び回る物体を把握する五感の精度、その物体と正面衝突して受け切る肉体強度、重症を数分で完治させる自然回復力、さらには水面や空中で跳躍できる運動能力などなど、完全に人知を超えています。
 呪術的に見ても、呪力への完全な耐性を獲得していたり、呪力への適性が無ければ視認出来ない呪霊を視ることができたりと、優位性を与えられています。(呪霊は呪力で祓うか反転術式で浄化しなければ倒せないため、素手で呪霊を倒すことはできません)

 以上が、作中で登場した身体機能向上フィジカルギフテッドの例です。

呪力出力および術式範囲の向上

 もう1つの天与呪縛が”呪力出力と術式範囲の向上呪術ブースト“です。

 これは呪力出力と術式範囲、つまりは呪術の全体的な向上呪術ブーストです。身体機能向上フィジカルギフテッドとはちょうど真逆の形であり、呪術ブーストの対価として制限されているものは”身体機能”となっています。
 「健全な肉体は健全な精神を作り上げる」と言われている通りであれば、健全な肉体からは負の感情ストレスが発生しにくいため呪術的に見て弊害に成り得ます。しかし、体調が悪くなったり、ケガで不便を強いられたりすれば、不幸を呪うことに繋がるので呪術的に見れば恩恵が発生します

 健全な肉体が当然に存在することも含めて考えれば、”健全な肉体を捨てる”というのは二重の恩恵が発生するのでしょう。作中で呪術の全体的な向上呪術ブーストを与えられた者は、さらに”瀕死の肉体”にまで追い込まれています。

例:メカ丸

 メカ丸ことむた幸吉こうきちは、右腕と両脚の欠損、下半身不随、夜間の紫外線にさえ焼かれる肌、全身に針を刺すような痛みを抱えています。病床から動くことができない状態であり常時点滴が必要なほどに瀕死なため、恩恵となる呪術ブーストは人知を超えた域にまで高められています。

 例えば、術式範囲は日本列島全域をカバーしています。この天与呪縛を与えられた者は操術系の術式ため、日本全域を常時監視可能であり、物理的に干渉可能となっています。呪力出力の上限は分かりませんが、操作している傀儡が出力に追いついていないようなので、相当高いことが伺えます。

 以上が呪力出力と術式範囲の向上呪術ブーストの例になります。

 どちらも、当然の存在を犠牲にすることで圧倒的な力を手にしています。

考察

 まず、天与呪縛関連で私が考えたのは「天与呪縛と同じ事を通常の縛りで行うことは可能なのか」という点です。

天与呪縛の模倣

 先述の通り、天与呪縛とは先天性の縛りであり与えられた本人にもコントロール出来ないものです。そのため、天与呪縛は特別であり、同じような縛りを意図的に模倣している者はいませんでした。
 しかし、天与呪縛を模倣する者がいないのは”出来ない”からではなく、”やるメリット”が薄いからだと考えます。

 そもそも、天与呪縛が天与呪縛たる理由は「高い効力によるメリットを打ち消すほどのデメリット」が存在することです。例えば、身体機能向上フィジカルギフテッドならば呪いによって得た力なのに呪霊に直接対処出来なかったり、呪術ブーストならば瀕死過ぎてそもそも何かをすることさえ辛かったり。
 天与呪縛は性能が尖り過ぎていて、利便性が無く対処能力に欠けてしまいます。そのため、普通の呪術師からすれば「隙が増える」といった感覚になるでしょう。

 また、天与呪縛もまたメリット恩恵デメリット制限の天秤が釣り合っています。あくまで、人の意思が介入しないため利便性を無視した理不尽な制限を課せられているというだけで、その制限を意図的に課することは出来るのです。
 作中では、禪院真衣が禪院真希の身体に存在する一般人程度の呪力を全て受け取って死ぬことで、禪院甚爾と同じ様な深度の身体機能向上フィジカルギフテッドを得ています。

 もちろん、禪院真衣が禪院真希の縛りに介入できたのは「一卵性双生児は呪術的に視て同一存在」というエラーがあるからこそですが、天与呪縛と同様の縛りを人の意思で行うことが出来るというのは作中で既に明記されているということになります。
 そのため、天与呪縛を模倣することはやろうと思えば出来ると考えらます。

天与呪縛の解除

 次に気になるのが天与呪縛の解除が可能なのかどうか、という点です。
 先述の通り、天与呪縛とは先天性の強制された強固な縛りであるため、自身で縛りを解くことは出来ません。医学的に言えば”障害“ということになるでしょう。

 そのため、通常の手段では治せないのだと考えられます。

 しかし、作中においてメカ丸は天与呪縛の解除に成功しました。
 この時は、真人の身魂改造術「無為転変」により普通の健全な肉体を手に入れました。これにより呪術ブーストも無くなっているので、天与呪縛を解除したことが分かります。

 天与呪縛とは縛りであり、縛りとは魂に刻むものです。だからこそ、魂の喝采である呪術に縛りを応用できるのでしょう。
 そして、縛りとは魂に刻まれるものだからこそ、天与呪縛は魂の改造でしか解除出来なかったのでしょう。

 つまり、魂に干渉する術式等の特殊な手段ならば天与呪縛も解除できるのだと考えられます。

 また、”反転術式”や”御祓い”などの手段で解除できないのかと考えました。しかし、あれだけ天与呪縛の解除を狙っていたメカ丸が真人に頼らざる負えなかったということは、反転術式などでは天与呪縛を解除出来ないということなのでしょう。
 おそらく、反転術式が天与呪縛に効果が無い理由は”反転術式が肉体に作用する呪術“だからだと考えられます。反転術式は術者次第で瀕死の肉体さえ万全の状態に回復さえることは出来ますが、真人によって魂を改造された者を治すことは出来ませんでした。これは反転術式では魂に干渉出来ないからでしょう。

 以上から、縛りには魂に干渉を行う呪術のみ干渉できるため、天与呪縛の解除は魂の改造呪術でのみ可能なのだと考えられます。


 以上で今回の記事は終わりです。

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 最後までお付き合いいただきありがとうございました。

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