呪術強化案

呪術廻戦(自己解釈)

【呪術廻戦】において、呪術を行使するためのエネルギー「呪力」は負の感情を加工することで得られ、それによって超能力である「術式」を稼働させることが出来ます。同時に、人に害を成す敵である「呪霊」も負の感情を基に生まれてくるので、作中では「負の感情」がとても重要になります。

 この負の感情/因子が大きいほど呪力が高まるので、呪術を扱う者達である「呪術師」だけでなく呪霊も強くなります。つまり、呪術廻戦の強キャラは総じて「強烈な負の因子」を保有していることになります。

 そのことから私は、逆説的に「強烈な負の因子を与えれば強くなる」と考えました。今回はそのあたりの自己解釈を基にした「呪術強化案」について語っていきます。

 あくまで呪術の設定に対する自己解釈なので、ストーリーのネタバレはありません。ですが、例などでアニメ以降の情報を出しているので、ご注意ください。一応、直前に警告は出しています。

 ちなみに、呪術についての解説は以下で行っていますので、よければそちらも観ていってください。


呪術おさらい

 まず強化案について語る前に、呪術について簡単にさらっていきます。

 呪術とは、己の内にある負の感情を火種に捻出された呪力を用いて行使された術です。術には大まかに二種類あり、「基礎呪術」と「術式」があります。

基礎呪術

 基礎呪術は、簡単に言えば「術式を用いない呪術」です。そのため、身体強化、簡単な符術を用いた式神使役、結界術、あるいはただの呪力操作まで分類されます。もしかしたら「呪霊に干渉出来る術」ならばなんでもいいのかもしれません。

 基礎なので誰でも扱える術で、強さの土台となる力です。だれでも扱えるので、訓練によって補える力になります。ですが何においても言えることで、基礎練は「ただ熟しているだけ」で向上するものではなく、それは呪術においても同じです。

 必要なのはセンスであり、呪力への理解、知識あるいは慣れなどになります。作中では「呪力の核心」と称されていますね。核心に至ることで「自身にとっての呪術」というものを理解し、意識的に行っている呪術を無意識に落とし込むことが可能になるのです。

 だからこそ、作中の強キャラは大抵が基礎能力が高くなっています。ちなみに、強キャラというのはだいたい一級術師以上を想像しています。

術式

 術式とは「魂の遺伝」によって獲得できる「特定の現象を引き起こす装置」であり、作中では家電に例えられています。

 電気(呪力)を家電(術式)に出力することで、家電(術式)が作用を発揮する。作用は各種家電(術式)によって規格が決まっているので、使い方(解釈)次第で使い道は多くあるものの、出来ることは変わらない。

アニメ呪術廻戦第6話「雨後」より

 基本的に術式によって引き起こされる現象は、基礎呪術によって引き起こされる現象よりも高度になります。これは機械と人力によって発生させる作用の違いと同様で、どれだけ機械の仕組みを理解しても構造が複雑なので人力で引き起こされる単純な作用では敵いません。

 そして、術式を扱えるということは高度な呪術を無意識に扱えるので、呪術への理解が容易になります。だからこそ、基礎呪術が高度な呪術師は術式持ちが多い印象です。

 以上に加え、「縛り」を課すことで力を向上させます。

縛り

 縛りとは、能力や行動を制限する「制約」と、結んだ制約を履行するという「誓約」のことです。

 制約は多様性を犠牲に一芸に特化するのと同じで、能力や行動の制限により本来そこに回されるはずだった、あるいは既に回されていたエネルギーを回収し開放されている能力を向上させます。

 誓約は契約書のようなものであり、設定した制約を反故したときに誓約の重さに応じた罰則ペナルティを与えます。

 自身が自身に課する縛りは自身の内側で完結しているので、誓約の反故時の罰則ペナルティが分かりやすくなります。簡単に言うと、縛りによって得た利益バフを失うだけの場合が多いです。

 ですが、利害の一致により他者と結ぶ縛りは性質が異なり、制約は互いで決めますが誓約は互いの認識によって変化するので、罰則ペナルティが不透明という欠点があります。簡単に言えば、縛りに対して誓約を破られた側の重要度に依存する可能性が大きくなります。

 「確実に行動を縛れる」という利点はありますが、その不透明さから他者との縛りは慎重に成されます。そのため、縛りは主に自身に課するタイプが一般的です。実質「縛りプレイ」みたいなものですからね。

 例えば、「術式の開示」は「敵に情報を明かす」という縛りにより術式効果が上昇します。

 そして、以上の呪術は呪霊にも適用されます。

呪霊

 人間の負の感情は内側に燻っているだけではなく、それを向ける先である「感情の受け皿」となる場所へと送られます。感情なので送信に物理的距離は関係無く、また受け皿は明確な物である必要もありません。「学校」や「病院」のような建物が受け皿になる場合があれば、「海」や「森林」、果ては「人」の概念から発生する呪霊もいるので、漠然と人が認識できる規模スケールなら何でもいいのでしょう。

 受け皿には負の感情が澱のように溜まり、長い年月を掛けて感情は呪力へと変質し、呪力は呪霊を構成します。受け皿が大きいほど呪霊は強大になるので、全容の認識が困難な「スケールの大きい概念」ほど強い呪霊を発生させます。

 例えば、人は木を見ることは出来ても森全体を直接見ることは難しいので、森林?の呪霊「花御」は強大になりました。

 呪霊は呪力で形成されているので存在自体が呪術に近く、術式を保有している場合もあります。

 ここまでが呪術のおさらいになります。以上から私は、後天的な呪術強化案を考えました。

呪術強化案

 それは「恐怖の大王降臨+全国術式開示」です。これは「日本の大悪役になって国民の負の感情を自身へ集約させ、同時に全国に「術式開示」して術式効果を爆上げしよう」という案になります。

呪霊の発生経緯を利用

 これは、まず呪霊発生経緯から「負の感情を溜める受け皿を呪術師にできないか?」と考えたことから始まりました。感情とは場所や物だけでなく、人にも向けられます。そのため、実在する人間相手にも負の感情は送られると考えました。

アニメ呪術廻戦第10話「無為転変」より引用

 しかし、ここで話を折るのが「真人」の存在です。真人は「人が人へ送る負の感情により発生した呪霊」で、人間相手に送られる負の感情は真人に集約される可能性があります。

 そのため、呪術師が恐怖の大王になって民衆の呪力を貪る計画は頓挫しました。

 と思いきや、特定の人間が畏れから呪いとなった例が作中に存在していました。それが「両面宿儺」です。

 両面宿儺は千年前に実在した人間とされ、その鬼神の如き力から民衆の畏れを獲得し、死後呪霊へと変じています。

アニメ呪術廻戦第2話「自分のために」より引用

 そのため、「漠然とした負の感情」は「輪郭の朧げなスケールの大きい受け皿」へ、「明確な対象が居る負の感情はその対象が受け皿になる」ことが分かります。真人は、SNSが発達し不満をぶつける相手の情報が分からなくなった現代だからこそ発生したのでしょう。

現代流の呪い獲得方法

 そして、ここで思ったのが「テレビなどの全国放送で注目を集める人間ならば、日本中の負の感情を集められるのではないか」という事でした。それこそスキャンダルを起こした大物芸能人や政治家は、国民のバッシングを受ける的になります。それだけでなく、低迷した日本経済故に所謂上級国民といえる人間には低所得者の不満が常に蔓延っています。

 これならば、情報の伝達制度が段違いな現代で御伽噺に出てくるような恐怖の大王が降臨したら、国民全員の負の感情から発生する呪力を回収できるのではないでしょうか。もしもこれを行えば、人口1億人の負の感情を集約できるので、大妖怪や悪鬼などが目じゃないほどの呪霊となります。

 もちろん、宿儺は死後呪いに転じた例なので、生者が受け皿になれるかは分かっていません。しかし、これを「呪いを宿す人間」という括りにすると例はあります。それが受肉した呪霊で、これも虎杖/宿儺が代表例になります。

 呪力とは人間にとって毒なので、呪霊を取り込むと体を壊すか乗っ取られます。しかし、呪力への耐性があれば問題なく呪いの力を得られる、あるいは利用できることが分かっています。そのため、呪力への耐性が高いことが必須条件になりますが、日本中の大悪役ヒールになることで呪力を強化できると考えました。

 また、悪役ヒールになると同時に全国放送で不特定多数に向けて術式開示を行えば、その分の術式効果の上昇が見込めると考えました。術式開示は「手の内を明かす」というデメリットが大きいですが、相伝の術式のような有名どころはどうせバレているので、適正な人間はいます。

 そして、上記の方法で呪術を強化できる者が作中に存在します。以降単行本14巻ネタバレになるので、それが嫌な方は本文はここまでなのでブラウザをバックしてください。

作中の候補者(ネタバレ注意)

 それが「虎杖悠仁」です。

 まず、渋谷事変中盤で虎杖を乗っ取った宿儺が、漏悟や魔虚羅との戦闘で渋谷駅周辺を壊滅させています。そして、それを含む多くの被害が響いて日本政府は呪霊の存在を公表しました。

 「東京にのみ発生する呪いの具現化」という嘘を交えた報道でしたが、それにより東京は魔境と化し民衆の不安は東京へと集中しました。しかし、そこへ追い打ちをかけるように羂索が死滅回遊を起爆。10の結界コロニーを起点として、日本は先行きの見えない不満が燻っています。

 そこに不満をぶつける先〔元凶〕を用意した場合はどうなるでしょうか。民衆はそれが真実であるか否かを確かめることなく、〔元凶〕と報道された対象へ負の感情を爆発させるでしょう。そして、その対象として最適なのが虎杖なのです。

 宿儺はおそらく渋谷事変で最大の被害を出した者で、虎杖は宿儺の犯した行為も罪として受け止めています。

 つまり、虎杖は宿儺の呪いも引き受ける覚悟を決めているのです。そのため、渋谷壊滅に端を発した民衆に燻る負の感情の受け皿として、虎杖は最適でしょう。

 元々”呪いの王”である宿儺の器として作られた節のある虎杖は、日本の呪い全てを背負い込むのにちょうどいいでしょうし。

第165話「東京第1結界コロニー⑤」より

 そのため、今後の物語では虎杖が正真正銘の”呪いの王”になると考えます。これならば、当初の目的である「宿儺の呪いと共に死ぬ」以上の結果である「全ての呪いを引き受けて死ぬ」を達成できます。それに「日本中から目の敵になって死ぬ」というのは、虎杖のお爺ちゃんが刻んだ「大勢の人間に囲まれて死ね」という言葉に対する盛大な皮肉であり回答にもなるので、ありなのではないでしょうか。


 今回の記事は以上です。最後はなんか今後の考察みたいになりましたが、けっこう真面目に考えた結果です。

 何かしら誤字脱字等間違い、あるいはご意見ご指摘等あればコメントで教えて頂けると幸いです。

 最後までお付き合いいただきありがとうございます。


コメント

タイトルとURLをコピーしました