呪術解説:領域展開

呪術廻戦(設定)

 【呪術廻戦】における特有の超常要素である”呪術”は、人に依って様々な作用を発生させます。

 既に在る機能を増幅する”基礎呪術”、人に依って一定の作用を発揮する機能を有する”術式”、呪力組み上げることで簡単な作用を発揮させる”構築術式”、術式を術師個人の解釈で制限の幅を広げて機能を増やす”拡張術式”などなど、呪術には様々な形態が存在します。

 その中でも”呪術の極致”と形容されるのが”領域”であり、類まれなる努力と一握りのセンスを持ち合わせた者のみが到達できる次元に位置しています。

 今回は、そんな選ばれた者のみが使える”領域”について解説と考察を行っていきます。アニメ以降にて判明する情報も存在するので、アニメ勢の方は今後の予習に使っていただけると幸いです。


解説/考察

 領域とは、術式を付与した”生得領域”を呪力で具現化する呪術です。

生得領域

 生得領域とは自身の内に生まれ持って保有する内在空間で、”心象風景”とも称されています。内在空間なので自身に都合の良い空間となっており、構造を好きに弄ることが可能なようです。

 その生得領域は、結界術により表へ展開します。

結界術

 結界術とは、術式を空間へと展開する呪術です。何かしらの作用を点から線へ、線から面へ、面から立体へ、立体から空間全体へと「術式の次元を昇華させる術」になります。

 最初から用意されている空間を結界に利用するのではなく、独自に立体的な空間の仕切りを想像し仮想空間を創造しなければならないので、現実の空間を無視するイメージ力と空間把握能力が必要になります。ある意味で、呪術的な才能に依らない技術と言えるかもしれません。

 この結界術を”術式の超過稼働”状態を維持しながら行うことで、”必中必殺”である領域へと至ることが出来ます。この二つを両立することが至難の業のようで、どちらかが苦手だと領域は成立しません。

 例えば、”呪術の核心”に至っており術式を”必殺”と呼べるほどに高めているであろう「七海健人」は領域に至れていません。これは、本人が結界術が苦手なこともありますが、自身の術式自体が結界術と相性が悪いということも大きいとされています。

必中効果

 これは結界術としての効果だと考えられます。というのも基本的に結界は、指定した範囲内の全域に効果を付与する呪術だからです。術式を壁面ではなく空間全体に付与しているので、空間内に存在する全てが術式対象に成り得るのでしょう。

 そのため、領域にも必中効果が付与されていると考えました。後述する「簡易領域」の「抜刀」でも、領域による命中補正が掛かっている描写があったので合っているでしょう。

 また結界術では術式が常に発動状態なので、術式的中までの過程をが省略され、術式の発動自体が一瞬に短縮されます。しかし、領域は自身がその場で構築するものなので、独自に必中効果をイメージする必要があります。

 例えば、七海の術式「十劃呪法」は必中効果をイメージしにくい術式でしょう。「十劃呪法」は「対象を線分して7:3の点を弱点にする」弱体付与系の術式ですが、「術式で創り出した弱点に攻撃を当てる」のが難しい分元から術式は必中です。そのため、領域による必中効果は意味を成し得ません。

 このように、領域で必中効果を適用させにくい術式が存在します。おそらくその場合は、縛りで領域による必中効果分の容量を術式効果の上昇に回すことが出来るでしょう。

環境バフ

 領域を使うには術式を超過稼働させなければいけせん。これは単純に攻撃力を上げるというだけではなく、展開した空間の全体に常時発動可能状態の術式を付与しなければならないので、術式出力の制限解除を行わなければ領域を維持できないからです。

 ですが、生得領域とは心象風景という自身に都合の良い空間で、そこに術式を張り巡らせているので、術者には環境要因による能力上昇バフが入ります。

脱出不能

 また、領域は閉じている空間なので脱出ができません。これは領域を展開する際に「内側から外側に向かう力への抵抗力を極端に高めている」という理由があります。

 領域は「展開された時点で勝ち確定」の切り札に近く、既に展開されている領域に後入りするメリットはありません。そのため、外壁への抵抗力の振り分けにおいて「外側から内側へ入ろうとする力外圧」に対策する必要は無く、「内側から外側へ出ようとする力内圧」のみの対策に集中できます。

 ですが領域が脱出不能な最たる理由は、領域が「現実空間とは違う体積の仮想空間」だからです。

 先述したように生得領域は”心象風景”と同様なので、領域内の構造を自在に構築することができます。そのため、領域内の体積と領域外から認識できる結界の体積は異なっており、領域内の空間は術者次第で無制限に広くすることが可能です。

 そうなると、領域内にいる者の中で術者以外は領域の端を認識することが難しく、壁を抜けることが出来ません。そのため、領域は”脱出不能”となっています。

術式の冷却時間

 以上まで「領域の長所」を挙げましたが、当然ながら短所も存在します。それが「術式の冷却時間クールタイム」です。

 先述したように、領域には術式の超過稼働を要します。つまり、術式に100%以上の稼働率を強いるということなので、術式がオーバーヒートします。機械でもそうですが、オーバーヒートした場合は稼働が困難になります。そのため、領域を閉じて術式を停止させると強制的に冷却へ移行します。その冷却時間クールタイム自体は短く数秒程度のようですが、当然ながら領域を使えば術者も疲弊するので致命的な隙になります。

 領域に使用した術式が使用できなくなるだけなので、術式を使わなくても戦える者や生得領域とは別に術式を保有している者ならばその隙をカバー出来ます。

旧式の領域

 領域とは”必殺”まで効力を高めた術式を”必中必殺”へと昇華する呪術です。”必中”と”必殺”を両立させなければならないため、領域は「使い手が世代に1人」というレベルの難易度になっています。ですが昔の、旧式に当たる術式はそこまでの難易度ではありませんでした。

 それは、領域が”必中必殺”ではなかったからです。前述の通り、領域とは”必中必殺”に昇華することで最強の切り札足り得ますが、それ故に難易度が高すぎる使用になっています。ですが旧式では、”必中必殺”における”必殺”の部分を省くことで難易度が下がっており、それにより「優秀ならば使える」程度にはありふれていたようです。

 以上の差異から旧式の領域は、使えば勝ち確定の「最強の切り札」ではなく自身の敷く法則を強制させるための「環境バフ」のような扱いだったようです。

第164話「東京第1結界コロニー④」より引用

 ”必殺”ではないため勝ちを確定させるほどの強さではありませんが、”必殺”を追い求めることによる術式の超過稼働が必要無いと考えられ、それにより術者だけでなく術式自体への負荷も軽減されると考えられます。つまり、旧式の領域ならば前述した「術式の冷却時間クールタイム」が発生しないと考えられます。

 以上が現状判明している領域の情報です。旧式のように、領域であっても条件を足し引きして縛りを設けることで効果を変えられるので、同じ術式であっても人に依って様々な領域を展開できるのでしょう。

対抗手段

 先述したように、現代で領域は展開すれば勝ち確定の切り札で、旧式も戦いを有利に進める為の有効な手段です。結界術を合わせて生得領域を自分なりの解釈の下展開する以上、相伝の術式であっても術者独自の形になります。そのため、対策が難しくなります。

 ですが、それは周知の事実です。当然ながら、有力な呪術の家系あるいは派閥は独自に領域への対策を執っています。

簡易領域

アニメ呪術廻戦第15話
「京都姉妹校交流会-団体戦①-」より引用

 呪術全盛と呼ばれている平安時代にて、乱立していた凶悪な呪詛師や呪霊から「弱者が自身を護る」為に創られたのが「簡易領域」です。シン陰流の創設者である蘆屋貞綱が考案した呪術で、「彌虚葛籠いやこつづら」を原型として作られました。

 彌虚葛籠いやこつづらは領域に利用される”結界を中和”することで、術式に付与された”必中効果を打ち消す”呪術です。

 そのため簡易領域は、一から呪力で構築した領域で結界を自分一人分の体積だけ上書きし、必中効果を無効化する呪術です。”弱者の自衛”の為に創られた呪術なので術式が必要無く、呪力操作のみで使用できる構築術式となっています。

 また、領域なので命中補正が発生すると考えられ、「抜刀」は領域内に侵入した対象を追尾する居合となっています。そのため、構築できる領域半径次第では攻撃に転用することができます。

 弱者の為の技術を強者に悪用されるわけにはいかないので、簡易領域は”一門相伝”となっており門下外への伝承を縛りで禁止されています。ですが視て盗むことは出来るので、技術が漏洩することはあるようです。

落下の情

 御三家に伝わる対領域用の秘伝術式の一つです。

 自身を呪力で覆い、触れた対象をカウンターで攻撃する呪術です。対象に制限は無いようで、それが術式であっても付与された攻撃を破壊することで無力化します。

特徴的な領域

 次に、現在第183話時点までで登場している領域の中で、特徴的な物を主観的に選別して紹介していきます。こちらはキャラの能力のネタバレになる可能性が高く、それによって不快な思いをされる方はブラウザをバックして頂けると幸いです。

無量空処

アニメ呪術廻戦第7話「急襲」より引用

 皆さんお馴染み”最強”こと五条悟の領域である「無量空処」です。

 この領域に付与された術式は「無下限呪術」で、「無限」を相手に付与することによる効果は「無限回の作業の強制」です。本来なら一度の作業で終了する行動を無限回強制されることで、次の行動に移れなくなります。

 特徴は「術式の常時稼働」と「対象の選定不能」です。

術式の常時稼働/対象の選定不能

 これは、五条悟は元から術式を常時稼働しているからでしょう。

 五条悟は通常時から無下限の術式を常時稼働させ、自身を守っています。術式は「脳と直結している機械」のような物なので、当然ながら常時稼働させようとすれば脳がショートします。無下限呪術のような高度な術式ならば猶更です。

 しかし、五条悟は「六眼」持ちの「反転術式」使いです。

 六眼の詳細は明らかになっていませんが、「呪術による偽装を看破する」や「呪力消費によるロスエネルギーを最小限にする」という効果があります。そして反転術式は回復用の呪術で、五条悟は自身の傷ならば致命傷だろうと一瞬で治します。デメリットは「呪力消費が激しい」という点で、軽々と連発は出来ません。

 以上の二つを合わせることにより「反転術式の消費呪力を自然回復による呪力回復量未満にする」というコンボを発揮しています。そのため、ショートしそうになる脳を常に回復させながら術式を常時稼働できるようになります。

 そのため、領域も術式を常時稼働させる形になったと考えられます。これは解除することは出来ないようです。

 そして、術式が常時稼働している為に対象の選別が困難になっています。触れている対象などは自分と一緒に術式の対象外に出来るようですが、それ以外は全員が術式対象になります。

伏魔御厨子

アニメ呪術廻戦第7話「呪胎戴天」より引用

 呪術全盛の時代から最恐とされる両面宿儺の領域「伏魔御厨子」です。

 この領域に付与されている術式は「解/捌」です。対象に応じて使い分ける2種類の斬撃で無慈悲に切り刻みます。

 特徴は「領域と閉じない」という点です・

開放型の領域

 先述したように、領域とは「結界術で閉じられた空間に具現化された生得領域」です。閉じた空間だからこそ現実空間にある物理法則などの雑多な要素を排除して、心象風景である生得領域を具現可能になります。

 ですが、両面宿儺は圧倒的技術を以って現実空間の上に生得領域を具現化します。その御業は、作中において「キャンパスを用いず空に絵を描く”神業”」と称されています。

 また、開放型なので領域のメリットの一つである「脱出不能」という点を放棄していることになります。「練度不足で結界閉じれない」というならばともかく、この場合は「意図的に逃げ道を残している」ことになるので、縛りが適用できます。

 「相手に逃げ道を与える」という縛りを己に課すことで領域半径を大幅に伸ばし、最大半径200mの範囲に領域を展開できます。他の領域の展開半径は見た限りですが数十メートル程度だったので、この異常さが伺えるでしょう。

 領域は閉じることによって内部体積と外部体積の相違が発生するので、この領域では内部と外部の体積の違いは無いと考えられます。

 以下はアニメ第1期以降で登場する領域になります。「それはさすがに…」という方はここでブラウザをバックしてください。

誅伏賜死

呪術廻戦第164話「東京第1結界コロニー④」より引用

 誠実故の嫌われ者となった天才弁護士である日車寛見の領域「誅伏賜死」です。

 この領域に付与されている術式は不明です。ですが、裁判を再現する領域となっています。

 特徴は「術式にデフォルトで領域が組み込まれている」という点です。

デフォルトで組み込まれた領域

 これは、術式の機能自体に「領域展開機構」が存在するということです。

 先述したように、領域の前提は「結界術による必中効果を付与できる」ことです。そのため、結界術系の術式ならばデフォルトで領域展開機構が存在していると考えられ、領域展開難易度が低くなっています。

 もちろん、”必殺効果”は練度の上昇によって発揮できるものなので、デフォルトで組み込まれている領域は”必中効果”のみの旧式となります。しかし、自身の優位を維持できる旧式の領域をセンス次第で最初から使えるのは強力です。

座殺博徒

 曰く、「ノッてる時は乙骨より強い(乙骨談)」らしい秤金次の領域「座殺博徒」です。

 付与された術式は分かりませんが、パチンコを模した領域となっています。スロットが揃えば大当たりで、それによるボーナスを引けば勝ち確定となるようです。

 特徴は「事前に全てのルールを開示する」という点です。

全ルールの開示

 座殺博徒は、展開した時点で術式に対して術者と被術者が介入できない領域となっています。スロット中の術者は予告演出を発生させるだけでスロットの結果には介入できず、相手もスロット自体は妨害できません。

 そのため、領域に敷かれたルールを伏せる必要が無いのでしょう。そこで、「術式開示」を縛りとして組み込むことで術式効果を上昇させているのではないかと考えられます。

 座殺博徒は「展開したら勝ち確定」というよりも、「自身の敷く法則を強制させる」形なので”旧式の領域”なのかもしれません。あるいは、術式の出力を操作して旧式と”必中必殺”の領域を使い分けているのかもしれません。


 以上で今回の記事は終わりです。

 誤字脱字等の間違い、ご意見等ありましたらコメントでご指摘お願いします。

 最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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